会社の会議:BTFコンサルティングの使い方(オンライン対応):お客様のご成長のために
このコラムは、ビジネスパーソンの方々を対象に書いています。
従業員体験とは、従業員が会社の中で働くことを通して得る全ての体験のことです。体験を通して従業員が感じたこと・考えたことなどの、心理的・感覚的な面も従業員体験に含まれます。
従業員体験は英語では Employee Experience と言います。EXやEEと略されることがあります。
コロナ前もそうでしたが、コロナ禍の今、ますます従業員体験が重要視されています。感染拡大によりテレワークが推奨されている中、zoom疲れという言葉に代表されるように、コロナ前とは異なる体験を毎日送ることでいろいろストレスを感じている方々が多くいらっしゃるのではないか、と思います。
従業員体験の観点から、ココに対応することは喫緊の課題だと思っています。
このコラムは次の3つの章で構成します。10分程度で読める内容です。
私は、ファシリテーションを核としたコンサルティング・サービスを営んでいる個人事業主です。屋号を BTFコンサルティングといいます。BTF は Business Transformation with Facilitation の頭文字をとりました。トランスフォーマーという映画をご存知の方がいらっしゃると思います。クルマがロボットに変身したり、ロボットがクルマに変身したりする映画です。トランスフォーメーション(transformation)とは変身させることです。ビジネス・トランスフォーメーションとはビジネスを変身させてしまうことです。ビジネス変革とも言われています。「ファシリテーションを活用してビジネス変革を実現して欲しい、そのために貢献したい」と考え、この屋号にしました。
ファシリテーション。Facilitationという名詞です。「人と人が議論し合意形成をする。この活動が容易にできるように支援し、うまく合意形成できるようにする。」これを実現するためにはどうしたら良いのかという課題を科学的に考え、試行錯誤を繰り返しながら作りあげられた手法、これがファシリテーションです。ファシリテーションをする人をファシリテーター (facilitator) と言います。
1. コロナ禍の今こそ今従業員体験に焦点が当たっている
顧客体験
顧客体験(Customer Experience、CXと略される)は、お客様が商品やサービスを購入する前、購入するとき、利用しているとき、利用した後に体験する一連の体験のことです。
商品やサービス自体がお客様に提供する価値や体験に加えて、商品やサービスを提供する企業とのあらゆる機会で、お客様を理解しよう・理解したい、という考え方です。
何故、顧客体験に焦点が当たっているのかというと、「自分たちは、まだまだお客様のことが理解できていないよね。マズイんじゃない?」という気持ちだと私は思っています。
お客様が体験することの価値を考えるということは 、コロナ禍の今こそ求められていることかもしれません。既存の枠組みを取り払って、新しい枠組みで見つめてみることで、お客様に提供する新しい体験とその体験がもたらす価値のアイデアが出てくるかもしれません。
お客様を自社の商品やサービスに惹きつけ収益を上げる。このために、お客様志向でCXを大切に考えている企業は多いと思います。
従業員体験
自社の従業員についてはどうでしょう。海外の事例では、顧客体験に加えて従業員体験を向上している企業は、生産性が向上しているそうです。
優秀な人を惹き付けたい、働き続けて欲しい、生産性を上げたい、そのために従業員体験を向上すべく努力しているそうです。
冒頭で書いたとおり、従業員体験は、従業員が会社の中で働くことを通して得る全ての体験のことです。体験を通して従業員が感じたこと・考えたことなどの、心理的・感覚的な面も従業員体験に含まれます。
従業員にとって、目的が明確に理解できる仕事が求められる時代が来ている、と私は考えています。
自らの仕事の価値を知ることを望んでおり、その要望が満たされる職場で働きたい、という人が増えているそうです。お客様を理解する。そして、自分の仕事が、お客様の体験にどんな価値を提供しているのかを理解している・理解したい。
言われたことを言われたまま実行するような労働ではない。
こんな感じの欲求なのだ、と私は考えます。
労働と仕事。私は『働き方:今考えたい「働くとは?」:考えるべき3つの理由』というコラムを書いています。その中で、労働と仕事の違いを説明し、労働ではなく仕事をしよう、と訴えました。
働きやすい職場環境、毎日仕事するのが楽しくなるような環境。そんな環境で仕事ができたら良いですよね。ギスギスした職場、個人の生活を犠牲にするような職場(例:子供のお迎えに行く時間なのに、会議が終わらなくて、遅れてお迎えに行った)は良くありません。
従業員が元気でないと、良い顧客体験をお客様にお届けすることは無理です。マクドナルドは、お客様を笑顔で迎えるようにしているそうです。ひきつった笑顔の店には行きたくないですよね。
ということは、従業員が楽しくやりがいを持って働く環境であること、が必要です。東京ディズニーランドも同様です。
従業員体験を向上させるためには、従業員間のコミュニケーション(意思疎通して相互に作用し合うこと)に焦点を当てることが大切だと言われています。リーダーとの間、先輩との間、後輩との間、チームメンバーとの間、などの職場でのコミュニケーションです。良好なコミュニケーションは従業員体験の向上に寄与します。
会社の会議はどうでしょう。人が集まって議論し合意形成する行為は、コミュニケーションですよね。
会社の会議における良好なコミュニケーションとは何か?何を意識すべきなのか?ファシリテーターは何をすべきなのか?
私はファシリテーターとして、ファシリテーションを中核とするコンサルティング業を営んでおりますので、会議やワークショップに参加する方々の、人間関係・コミュニケーションに関わるストレスは、できるだけ少なくしたいと考えています。
テレワークとオンライン会議
コロナ禍でオンライン会議が増えました。2020年には「Zoom疲れ」という言葉が言われ始めました。
参照:
既に色々と職場のチーム内で工夫して対策をとっている方もいらっしゃると思います。他方、非日常のストレスを感じ続けている方もいらっしゃるかもしれません。
ストレスを抱え続けているとメンタルヘルスによくありません。高ストレス下の状態では、正しい判断が出来なくなると言われています。カウンセラーやドクターに行かなくても良いように、そうなる前に職場のチームとして対応することが必要だ、と私は思います。
テレワークとは、「職場」がクラウドの中に入ってしまったようなものだ、と私は思います。
リアルな会社の職場にいた時のように、雑談できていますか?
とりとめのないおしゃべりは?
愚痴ったりネガティブなことも言える「場」はありますか?
会社の中を歩いている時に偶然会った人との立ち話、ランダムな会話、そんなコミュニケーションはテレワークの中でできていますか?
セレンディピティ(serendipity)はありますか?
ウィキペディアによると『セレンディピティとは、素敵な偶然に出会ったり、予想外のものを発見すること。また、何かを探しているときに、探しているものとは別の価値があるものを偶然見つけること。平たく言うと、ふとした偶然をきっかけに、幸運をつかみ取ることである。』とあります。
従業員体験は与えられるものではありません。みんなで創るものです。働きやすいクラウド上の「職場環境」を自分たちで創らないと、あなたのチームはみんな疲れてしまうかもしれません。
みんなが働きやすいように新しい文化・ルールを創るべきだ、と私は思います。
私は、「新しい文化・ルールを創る」ためのワークショップを開催することを、『新型コロナウイルス対策:withコロナの会議をどうするべきか:意識すべき3つのポイント』というコラムの中で提案しています。そのコラムに書いたとおり、オンラインの会議やワークショップを円滑に進めるためにはファシリテーターが必須です。是非、ファシリテーターを入れて、みんなで話し合っていただきたいです。
具体的なイメージとしては、『新型コロナウイルス対策:withコロナの組織文化を創る:ウェビナーのご紹介』 というコラムでご紹介しているウェビナーが参考になると思います。
2. 交流分析の紹介
この章では、交流分析をご紹介します。
交流分析とは、人と人との交流(やりとり)を分析して、より良いスムーズな交流ができるようにするものです。
創始者はアメリカの精神科医エリック・バーン博士(Eric Berne)で、1950年代に開発されました。英語では、Transactional Analysis(トランザクショナル・アナリシス)といいます。
ウィキペディア によると、人格と個人の成長と変化における体系的な心理療法の理論であり、応用範囲は広いとされています。
自我状態
自我状態とは、今の自分がどんな状態にあるのか、考え方、感情、態度、行動の様式を分類するものです。
「今の自分」です。さっきは「親のような私」だったけど、今は「成人のような私」という感じです。今の自分は「成人のような私」ということです。数分前の「今の自分」は「親のような私」でした。
交流分析の自我状態は時々刻々変化する、ということを覚えておいてください。
大きくは、下記のP、A、Cの3つに分類されます。
- P:親のような私(Parent、ペアレント)
- A:成人のような私(Adult、アダルト)
- C:子供のような私(Child、チャイルド)
さらに、PとCについては各々を2つに細分して、下記の5つに分類します。
- CP:批判的ペアレント(Critical Parent、クリティカル・ペアレント)
- NP:保護的ペアレント(Nurturing Parent、ナーチャーリング・ペアレント)
- A:成人(Adult、アダルト)
- FC:自由なチャイルド(Free Child、フリー・チャイルド)
- AC:順応したチャイルド(Adapted Child、アダプテッド・チャイルド)
具体的に見ていきましょう。
CP:批判的ペアレント(Critical Parent、クリティカル・ペアレント)
CPは、育ててくれた人の考え方を受け継いだ部分です。
- プラスの側面:道徳的、価値基準を持つ、礼儀正しい
- マイナスの側面:頑固、偏見を持つ、支配的
言動例:
- どんな理由があろうと規則は規則なんだから、しかるべき責任はとるべきだ。
- 俺の目の色が黒いうちは、誰にもそんなことはさせん!
- 君にはそういう服装をしてもらいたくないね。それを着ると女らしさがなくなるから。
NP:保護的ペアレント(Nurturing Parent、ナーチャーリング・ペアレント)
NPは、育ててくれた人から受け継いだ養育的心情や保護的行動様式です。
- プラスの側面:愛情深い、やさしい、配慮する
- マイナスの側面:過保護、教育ママ的、おせっかい
言動例:
- きみ、あんまり無理しないでくれよな。きみは会社にとって、かけがえのない人なんだから。
- あいつ、叱られてばかりいて、かわいそうで見てられないよ。
- さあ、本当のことを打ち明けてごらんなさい。決して、悪いようにはしないから。
A:成人(Adult、アダルト)
Aは、状況を客観的に見て対処する部分です。
- プラスの側面:論理的、事実に基づく、冷静な判断
- マイナスの側面:打算的、冷たい、人間味がない
言動例:
- 賛否両論を聞いてみよう。
- 相手側の真意がどんなものか、もう少し探ってみてください。
- どうやってそこへ行く予定ですか?
FC:自由なチャイルド(Free Child、フリー・チャイルド)
FCは、生まれたままの自由な子供らしさ、直感力、その人本来の部分です。
- プラスの側面:天真爛漫、明るい、直感的、エネルギッシュ
- マイナスの側面:わがまま、自己中心的、衝動的
言動例:
- わあ、すごい!
- カッコイイ!
- あなたはとても美しい。僕はあなたが好きだ。
AC:順応したチャイルド(Adapted Child、アダプテッド・チャイルド)
ACは、しつけに順応して、または保護者の意図に沿う過程で身に付けた部分です。
- プラスの側面:素直、従順、協調的
- マイナスの側面:依存的、自分を責める、反抗、すねる、頑固、偏見を持つ、支配的
言動例:
- 比較的簡単に妥協や同意をする態度。
- 精神的に萎縮したり、閉鎖的な態度。
- くってかかったり、かみつく態度。
相手との交流をスムーズにするためには、相手の自我状態が5つのうちのどれなのかを把握できるようになると良いですね。
3つの交流パターン
次に、下記3つの交流パターンをみていきます。
- スムーズな交流(相補的交流)
- ゆきちがいの交流(交叉的交流)
- 裏のある交流(裏面的交流)
スムーズな交流(相補的交流)
下図をご覧ください。(タップやクリックしてピンチすると拡大します)
スムーズな交流例です。相補的交流ともいいます。
矢印が並行になっていることに注目してください。
上図の会話は、下記のとおりです。
【恋人同士の会話】
- 女のCから男のCへ:ねぇ、私のこと愛してる?
- 男のCから女のCへ:もちろんだよ。きみは?
【入院中の彼女を彼氏が見舞いに】
- 女のCから男のPへ:また来てね。
- 男のPから女のCへ:大丈夫、明日も来るからね。
ゆきちがいの交流(交叉的交流)
下図をご覧ください。(タップやクリックしてピンチすると拡大します)
ゆきちがいの交流の例です。交叉的交流ともいいます。
矢印が交叉していることに注目してください。
上図の会話は下記のとおりです。
【電車に忘れ物をした男女の会話】
- 男のPから女のCへ:きみが不注意だからいけないんだ。
- 女のPから男のCへ:うそ!あなたが見てるって言ったじゃない。
【部下が上司に進言】
- 部下のAから上司のAへ:このプランにはまだ検討の余地があるように思われます...
- 上司のPから部下のCへ:きみ!今は理屈を言ってるときじゃないだろう。さっさと実行したまえ。
相手に発信した言葉に対して、予想外の反応が返ってきたり、あるいは自分の方が相手の気持ちを裏切る反応をすることがあります。
電車に忘れ物をした男女の会話では、CP(批判的ペアレント)が相手のAC(順応したチャイルド)に鋭く切り込んでいます。
部下が上司に進言する例では、部下は上司のA(成人)の冷静な判断を求めたのですが、予想に反して、上司は自分のCP(批判的ペアレント)から部下のAC(順応したチャイルド)に切り込んで来たという例になっています。
裏のある交流(裏面的交流)
下図をご覧ください。(タップやクリックしてピンチすると拡大します)
裏のある交流の例です。裏面的交流ともいいます。
上図の会話は下記のとおりです。
【患者から医者に遠回しの依頼】
- 患者のAから医者のAへ:先生、お手隙の時でイイから、◯◯さんを診てあげてください。何か先生にお話したいようですから。
- (裏面)患者のCから医者のPへ:先生、私の話もじっくり聞いてください。
【妻が夫に皮肉めいた交流】
- 妻のAから夫のAへ:お隣のご主人のボーナスは100万円。お向かいは150万円。
- 夫:不快な顔。答えず。
- (裏面)妻のPから夫のCへ:あなたって甲斐性なしね。もっとしっかりしてよ。
私たちは言いたいことをストレートに言葉に出すとは限りません。
表面では一見合理的なメッセージを発信しているように見えて、その裏に、異なった目的や動機を隠し持っている場合があります。これを裏のある交流といいます。
特色の1つは、ほとんどの場合、相手のP(親のような私)、A(成人のような私)、C(子供のような私)の2つに向けて、同時に異なるメッセージを送っていることです。
患者から医者に遠回しの依頼の例では、医者のA(成人のような医者)と医者のNP(保護的ペアレントの医者)に同時に送っています。
妻から夫への皮肉めいた交流の例では、夫のA(成人のような夫)と夫のAC(順応したチャイルドの夫)に同時に送っています。
ビジネスの場面での活用例
交流分析をビジネスに活用する例をご紹介しましょう。
- 上司(CP:批判的ペアレント)頼んでおいたデータ分析の件、どうなってる?
- 部下(AC:順応したチャイルド)すみません。忙しくて忘れてました。
- 上司(CP:批判的ペアレント)まだ、手付かずか。何がそんなに忙しいんだ?
- 部下(AC:順応したチャイルド)要領が悪くて、すみません。よその課から頼まれた急ぎの仕事を先にやっていて...どうもすみません。
- 上司(CP:批判的ペアレント)きみ、すみません、すみませんばかり言っていては困るんだよ。
- 部下(AC:順応したチャイルド)ええ、でも本当にすみません。
- 上司(A;成人) 仕方がないな。その急ぎの仕事はいつ終わる予定ですか?
- 部下(A;成人) そうですね。今の仕事は5時までには終わると思います。
- 上司(A;成人) それからすぐにデータ分析を始めるとして、いつ終わるか見通しを立ててください。
- 部下(A;成人) 3時間集中すればできますので、明日の午前中には終わります。もし、今日中ということなら残業して終わらせますが...
CP(批判的ペアレント)とAC(順応したチャイルド)のやりとりが続き、これでは事態が進展しないと判断した上司が、A(成人)とA(成人)のやりとりに変えたことに着目してください。
仕事上の会話で、やりとりが凍結してしまう場合があります。この例では、CP(批判的ペアレント)とAC(順応したチャイルド)のやりとりが凍結した状態です。生産性が悪いというか、時間ばかり浪費してしまっています。
凍結した状態から抜け出すために、A(成人)の自我状態を活用してみると良い場合があります。
これがうまく機能するためには、交流分析の基本を理解し、自我状態を把握できるようになっていることが求められます。
私BTFコンサルティングでは、会社の会議をより良いものに変革するために、ファシリテーターが使うツール(手法)として、交流分析のワークショップを開催することも行っております。
この章は、書籍『交流分析のすすめ(杉田峰康著)ISBN978-4-8210-7504-1』を参考にしました。
3. 外部のファシリテーターを活用することの効用
外部のファシリテーターを活用することの効用について、2章の『ビジネスの場面での活用例』を例にとって、説明します。
CP(批判的ペアレント)とAC(順応したチャイルド)のやりとりが続き、やりとりが凍結してしまった。あなたは、このやりとりに登場する部下の人ではないものの、上司の部下だとします。上司はあなたの人事評価者だとします。そして、あなたはこの会議のファシリテーターだとします。そして、上司はこの例のようにCP(批判的ペアレント)を使って批判的な行動をとることが頻繁に起きる傾向がある人だとします。
あなたは、ファシリテーターとして、どう対応しますか?
会議に参加している人が、上司も含めて、交流分析をよく知らないとしたら、凍結したやりとりが続いてしまうかもしれません。
ファシリテーションを会議に取り入れようとしているものの、まだ浸透していない状況だとします。例えば、あなたのチームには会議のグラウンド・ルールがまだ浸透していない状況だとします。あなたは、あなたの人事評価者である上司に対して、どう対応するべきか、かなり迷うかもしれません。
そもそも、ヒートアップしてしまった当事者であるこの上司と部下が、凍結状態から自らの意思で互いにA(成人)に移ろうと思えるか否か疑問です。当事者以外の第三者の介入が必要な場合があるのです。
ファシリテーターとして、あなたの関わり方次第では、CP(批判的ペアレント)状態の上司が、今度はあなたのAC(順応したチャイルド)に対して批判的に対応してくるかもしれません。
テレワークでリモートから参加しているとしたら、もっと迷うかもしれませんね。
もしかすると、「今は何もしないでいよう」とか「人事評価が下がるかもしれないというリスクをとるのは嫌だな」と考えるかもしれません。
一方、「ファシリテーターとして会議が凍結してしまっている状況はなんとかしなくてはならない」と考え、A(成人)の自我状態を活用するように働きかけよう、と考えるかもしれませんね。
さて、外部のファシリテーターがこの会議に入ったら、どうなるでしょう?
外部のファシリテーターは、CP(批判的ペアレント)状態の上司に働きかけることに対してリスクがありません。
例えば、私が外部のファシリテーターとして入ったと仮定すると、上司の方は私の人事評価者ではありません。上司はこの例のようにCP(批判的ペアレント)を使って批判的な行動をとることが頻繁に起きる傾向がある人だとしても、最悪私は出禁になるくらいでしょう。私はそれをリスクだと思っていません。私は、「人と人が議論し合意形成をする、この活動が容易にできるように支援し、うまく合意形成できるようにすること」をするファシリテーターであり、ファシリテーションの効果を知っていただく好機だと捉えます。
私だったら、「会話が凍結してしまっているようですね。Bさん(部下)はAさん(上司)から依頼されたデータ分析の仕事と、よその課から依頼された仕事と、2つお持ちのようですね。ここは話を前に進めるために、優先順位や完了期限などを見える化して話し合ってみるというアプローチはいかがでしょう?」などと切り出して、CP(批判的ペアレント)の上司をA(成人)へ、AC(順応したチャイルド)の部下をA(成人)へ切り替えるきっかけを提供します。
なお、見える化するときには、それに合うフレームワークをホワイトボードやフリップチャート(模造紙)に書いて、議論を進めていきます。
会社の会議やワークショプにファシリテーションが浸透し始めるまでは、外部のファシリテーターを使うことは有効だ、と私は考えています。
ファシリテーションは、研修に参加しただけで身につくようなスキルではありません。リアルな実戦の場で研鑽してこそ身に付くスキルです。スポーツの本を読んでも、そのスポーツがうまくできるようにはならないのと同じです。この考えのもと、私は起業いたしました。詳しくは、『会社の会議:BTFコンサルティングの使い方(対面対応):お客様のご成長のために』 で説明しています。
テレワークで会議にリモート参加しているとき、どのように議論を見える化するのか、お知りになりたい方もいらっしゃると思います。
コロナ禍となり、私のコンサルティング・サービスをオンライン対応しています。具体的な内容を説明したコラム 『会社の会議:BTFコンサルティングの使い方(オンライン対応):お客様のご成長のために』 がございますので、そちらをご参照いただきたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。