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小川芳夫

ファシリテーションの活用を支援するコンサルタント

小川芳夫(おがわよしお) / ファシリテーター

BTFコンサルティング

コラム

会社の会議:不要な会議がもたらす悪影響を考える:今理解すべき3つの視点

2020年3月1日 公開 / 2021年8月30日更新

テーマ:ファシリテーション

コラムカテゴリ:ビジネス

コラムキーワード: 業務効率化 手法生産性向上 取り組み

このコラムは、ビジネスパーソンの方々を対象に書いています。

2019年春、朝日新聞で「カイシャの会議」という特集が組まれました。


朝日新聞のアンケートの結果として、ビジネスパーソンの方々は下記の悩みや課題を感じているそうです。

  • 時間が長い: 62回答
  • 結論が出ない、物事が決まらない: 46回答
  • 目的がはっきりしない: 39回答
  • 自由に発言しにくい: 30回答
  • 資料が分かりにくいなど準備が不十分: 20回答
  • 参加者が多すぎる: 19回答
  • 会議室や備品などの環境が悪い: 6回答
  • 悩みや問題はない: 3回答
  • その他: 23回答

多くのビジネスパーソンにとって、会社の会議は嫌われ者のようです。

私は先日、『会社の会議:不要な会議を数字で考える:今理解すべき3つの視点』というコラムを書きました。

このコラムでは、不要な会議がもたらす悪影響を考えます。
理解すべき視点として、次の3点を書きます。5分程度で読める内容です。


私は、ファシリテーションを核としたコンサルティング・サービスを営んでいる個人事業主です。屋号を BTFコンサルティングといいます。BTF は Business Transformation with Facilitation の頭文字をとりました。トランスフォーマーという映画をご存知の方がいらっしゃると思います。クルマがロボットに変身したり、ロボットがクルマに変身したりする映画です。トランスフォーメーション(transformation)とは変身させることです。ビジネス・トランスフォーメーションとはビジネスを変身させてしまうことです。ビジネス変革とも言われています。「ファシリテーションを活用してビジネス変革を実現して欲しい、そのために貢献したい」と考え、この屋号にしました。

ファシリテーション(Facilitation)。「人と人が議論し合意形成をする。この活動が容易にできるように支援し、うまく合意形成できるようにする。」これを実現するためにはどうしたら良いのかという課題を科学的に考え、試行錯誤を繰り返しながら作りあげられた手法、これがファシリテーションです。ファシリテーションをする人をファシリテーター(facilitator)と言います。

  

1. 仕事に取り組む姿勢 (モチベーション・充実感) が下がる

徒労感が生まれ、やる気が削がれてしまう

朝日新聞のアンケート結果の「会社の会議に対する悩みや課題」を持ったままだと、徒労感が増殖し、次第にやる気が削がれてしまう可能性があります。

会議以外の仕事の効率・品質へも悪影響をもたらす可能性がある

会議が終わって自分の席に戻ったからと言って、急に徒労感や削がれたやる気が回復するわけではありません。自分の仕事の効率・品質にも悪影響をもたらす可能性があります。

プライベートな生活へも悪影響をもたらす可能性がある

朝から夕方まで仕事をしている方でしたら、1日の時間の多くを仕事に使っていますので、仕事で上の節の悪影響が出ると、プライベートな生活へも悪影響をもたらす可能性があります。


2. 「残業することが当たり前」から脱却できなくなる

ワーク・ライフ・バランスが崩れることの様々な弊害

会議が長時間になると、会議以外の仕事の時間が圧迫されてしまいます。結果、残業するか、高ストレス状態でなんとか時間内に終わるように頑張ってしまうか、ということになってしまいます。残業が常態化してしまうと、ワーク・ライフ・バランスが崩れてしまい、友人や家族との関係がギクシャクしたり、様々な弊害が出てくる可能性があります。

「生活残業」しないと生活レベルを維持できない悪循環

仕事の質を上げる方法として、スキルを上げること、やり方を工夫して改善すること、などがあります。やり方の工夫は職場の改善活動などで、すでに対応されているのではないかと思います。つまり、すでにできることは対応ずみということかと思います。
さらに何ができるのか?スキルを上げることです。今このブログを読んでくださっている方の中に「生活残業」しておられる方がいらっしゃるとしたら、スキルをあげないと今の状態から抜け出せないかもしれないと、私は思うのです。

残業時間が長いほど「頑張った」と評価する昔ながらの悪習慣

これは管理者の方々へのメッセージです。評価基準は何ですか?勤務時間だけですか?有能で早く質のいい仕事をする人は、どう評価しますか?人事評価そのものは、ファシリテーションの外の話ですが、ここはとても重要だと思います。


3. スキル (特にホワイトカラーが労働市場で評価されるもの) を研鑽する時間が取れない

そもそも、どんなスキルが労働市場で評価されるのか知る機会がない

毎日毎日忙しく仕事をしている。会社だけでなく、家庭でもプライベートでも。
ちょっと待ってください。あなたは「今どんなスキルが高く評価されていて」「それらの中から自分に興味があるのはコレかな」ということを考える時間を持っていますか?
Noと答えた方々は是非ちょっと考えてみてください。あなたのスキルを上げることで、あなた自身だけでなく、周りの人にも、会社にも良い影響を与えることができます。

個人として、将来に対する不安が増す(例:他社の知り合いは成長しているのに自分は停滞)

学生時代の友人、就職してから付き合いが始まった友人、そんな方々と仕事以外の時間に会って食事したり飲みに行ったりして、友人は成長しているな、と感じたことはありますか?もしそういう経験をお持ちの方、次はあなたが成長する番ではないでしょうか?待っていても何もやってきません。自分からスキルをゲットしましょう。

組織・会社として、特に他社(国内と海外)と比較して、相対的にスキルが落ちていく

個人が停滞していたら、個人の集合体である組織・会社も停滞します。国内外を問わず他社と比較して、相対的にスキルが落ちる、というか会社としての魅力が落ちていってしまいます。
個々人でできることには限度があります。組織として、会社として対応する必要があると思います。


いかがでしたか?

ファクトフルネスという本がベストセラーになりました。本の帯に『あなたの”常識”は20年前で止まっている!?』とあります。
(注:私が持っている本は第10刷で、この帯がついていました。最新の帯は違うようです。)

あなたは自分のスキルをアップデートし続けていますか?それとも、相対的に退化の道を進んでいますか?

若い人たちは新しいスキルを身に付けていますし、スキルアップに意識の高い人たちが多いですから、停滞したままでは同じところに居続けられなくなり、相対的に退化してしまいます。

私は海外(主に米国)のこの辺りの情報もウォッチしています。よく見聞きする言葉が、Perpetual learningとかLifelong learningです。Perpetualは、「果てしない」とか「終身の」という意味です。Lifelongは「生涯にわたる」という意味です。終身学習とか生涯にわたる学習です。
彼らは、自分のスキルをアップデートし続けようとしているようです。
自分の既存スキルをアップデートしたり、新たなスキルを獲得したりすることで、自分の価値が上がる世界だからでしょう。

ピクシーダストテクノロジーズ株式会社 代表取締役社長、筑波大学 学長補佐、等々の多くの肩書きを持つ落合陽一さんの話を特集した『先進国一、勉強しない日本の会社員に明日はあるのか?』という記事があります。

日本において、終身雇用や年功序列という言葉は私語になった、と私は思います。「自分の命は自分で守る」という言葉があります。「自分のビジネスパーソンとしての価値は自分でしか守れない」と私は思います。

そもそも、会社の寿命は永遠ではありません。
会社は何歳まで生きるのか? 高校生のための金曜特別講座 (2011/10/14)。当時、東京大学大学院総合文化研究科・教養学部准教授だった清水剛さんが高校生に説明した内容です。(清水さんの資料へのリンク
清水さんは色々分析しておられます。私にもっとも刺さった文は「高校や大学を卒業して企業に就職することを考えてみよう。10年ぐらいしか企業の「盛り」の時期がないとすれば、人生設計には注意しなくてはいけない。」です。
これからの自分の人生の長さと企業が存続する長さとを比べれば、自ずと企業に頼っているだけではリスクが高い、と思うのは当たり前だと思うのです。
また、経済産業省も「企業の誕生・消滅は日々起こっており...」と語っています。(経済産業省の情報へのリンク
もちろん長年存続している企業はたくさんあります。そのことを踏まえた上で上記を意識する必要があると思うのです。

朝日新聞のアンケート結果の会社の会議に対する悩みや課題の多くは、ファシリテーションをうまく使うことで解決されます。

先日書いた『不要な会議を数字で考える』というコラムは、チリも積もれば大きな金額の損失になる、ということを書きました。

今回の『不要な会議がもたらす悪影響を考える』は、ボディーブローのように効いてくるものだと思います。もし、あなたが体験している日々の会議が、入社以来変わっていないのなら、「会議とはこんなものだ」という感じで、いわゆる「茹でガエル」になってしまっているのかもしれません。

変える必要があるはずです。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事を書いたプロ

小川芳夫

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小川芳夫(BTFコンサルティング)

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