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小川芳夫

ファシリテーションの活用を支援するコンサルタント

小川芳夫(おがわよしお) / ファシリテーター

BTFコンサルティング

コラム

会社の会議:ファシリテーションでどう変わる?:共感マップ(考える・感じる)

2020年3月8日 公開 / 2021年8月30日更新

テーマ:ファシリテーション

コラムカテゴリ:ビジネス

コラムキーワード: 業務効率化 手法生産性向上 取り組み働き方改革

このコラムは、ビジネスパーソンの方々を対象に書いています。

私は、『会社の会議:不要な会議がもたらす悪影響を考える:今理解すべき3つの視点』というコラムを書きました。
このコラムの中で、朝日新聞のアンケートの結果を紹介し、時間が長い、結論が出ない、物事が決まらない、等々の悩みや課題があるということを書きました。

今回は、共感マップというフレームワークを用いて、会社の会議に参加している方々の悩みや課題を見える化し、ファシリテーションを活用することで、どう変わるのか、ということを、下記の3つの章で説明します。5分程度で読める内容です。


私は、ファシリテーションを核としたコンサルティング・サービスを営んでいる個人事業主です。屋号を BTFコンサルティングといいます。BTF は Business Transformation with Facilitation の頭文字をとりました。トランスフォーマーという映画をご存知の方がいらっしゃると思います。クルマがロボットに変身したり、ロボットがクルマに変身したりする映画です。トランスフォーメーション(transformation)とは変身させることです。ビジネス・トランスフォーメーションとはビジネスを変身させてしまうことです。ビジネス変革とも言われています。「ファシリテーションを活用してビジネス変革を実現して欲しい、そのために貢献したい」と考え、この屋号にしました。

ファシリテーション(Facilitation)。「人と人が議論し合意形成をする。この活動が容易にできるように支援し、うまく合意形成できるようにする。」これを実現するためにはどうしたら良いのかという課題を科学的に考え、試行錯誤を繰り返しながら作りあげられた手法、これがファシリテーションです。ファシリテーションをする人をファシリテーター(facilitator)と言います。


1. 共感マップの紹介

共感マップというのは、XPLANE という会社が開発したフレームワークです。英語では Empathy Map と言います。ある1人の利害関係者、あるいは1つの利害関係グループについて考えるものです。ペルソナを見える化するフレームワークといえます。

ペルソナ(persona)とは、サービス・商品の典型的なお客様像のこと。サービス・商品を利用するお客様の中でも特に重要なお客様像をモデル化したものといえます。

共感マップは、①頭で何を考え・感じ、②目で何を見て、③耳で何を聞き、④口で何を言い何を行動するのか、を見える化するためのものです。さらに、⑤苦痛なこと、⑥獲得すること、を見える化します。

例えば、デザイン思考(Design Thinking)のワークショップでも共感マップは使われます。お客様志向でアプローチするときに、お客様を理解するために便利なフレームワークです。

  1. まず最初にやることは、「誰について書くのかを決める」ことです。ペルソナを決めるということです。
  2. 次にやることは、「その人の視点に立って想像する」ことです。
  3. その次にやることは、「実際に確かめる(精度を上げる)」ことです。インタビューして聴いたり観察したりしながら確かめていきます。想像した事(仮説)が正しいか否か、漏らしていることはないのか、実際に検証します。


お客様について共感マップを作るときのキーポイントは下記a〜cの3点です。
a. どのくらい先のお客様まで考えられるか?
お客様は、彼ら彼女らのお客様(あなたから見るとお客様のお客様)のことを見て、ビジネスをしています。お客様の共感マップを作っているのですから、この視点はとても大切です。言われると当たり前に思えるでしょうが、実はこれはそんなに簡単なことではないのです。

b. 実際のインタビューで聴くときの注意点
注意点を3つあげるとしたら、「想定外を楽しむこと」、「先入観を捨てること」、「誘導しないこと」でしょう。
ペルソナの視点に立って想像した事をインタビューなどで検証するとき、想定外のことが起こり得ます。想定していなかったことが起こると慌ててしまう方もいらっしゃるかもしれませんね。インタビューの場で、誰に何をどのように訊くのか、事前に戦略を立てるべきです。想定外のことが起きたとしても、いくつかの戦略を事前に準備していれば、対応できる可能性が高くなります。先入観を持たずにインタビューに望むこと、決して相手を誘導しないこと、これらも事前に質問を準備することで対応できます。オープン・クエスチョン(Open Question)とクローズド・クエスチョン(Closed Question)をうまく使うことが大切です。仮説検証技法を活用すると良いでしょう。

c. お客様の共感マップがあなたの会社の施策・方針と違う場合もある
これは悩ましい点です。あなたの会社の施策・方針にそぐわないと判断される場合もあるでしょうね。
もし、インタビューの場でこのようになった場合はどう対応するのか、事前に戦略を準備しておかないと、慌ててしまうでしょう。


2. ファシリテーション活用前(現状)の「考える・感じる」

この章では、現状「参加者は会議中に何を考え・感じているのか」を書いてみたいと思います。

下図は現状の会議について、共感マップで見える化したものです。(タップやクリックして拡大できます)
共感マップ現状

ペルソナは、会社の会議に参加している方(あなた)です。
私はあなたに実際に確かめていないので、私が想像して書いたレベルのものです。とはいうものの、全くの想像ではなく、例えば朝日新聞の特集や、私が会社の会議について話を聴くことができた方々の意見を総合したものになっています。


会議に対して悩み・課題をお持ちの方について、下記 1〜6 の観点から共感マップを作成しました。

  1. 考える・感じる:会議について何を考えているのか?どう感じているのか?
  2. 見る:会議中に何を見ているのか?
  3. 聞く:会議中に何を聞いているのか?
  4. 言う・行動する:会議中に何を発言するのか?何をするのか?
  5. 苦痛:会議に参加することについてどんな苦痛があるのか?
  6. 獲得:会議に参加すると何が獲得できるのか?


何の目的の会議なんだっけ?

会議が始まるまで「何の目的のために集められたのか」不明の会議に参加したことはありますか?
会議が始まっても「何の目的のために会議をしているのか」参加者に目的が伝えられずに(目的が参加者間で合意されずに)時間ばかりが経過していることはありますか?
私はたくさんあります。

バスツアーでミステリーツアーというのがあります。私は参加したことがありませんが、参加した方に伺うと「どこに向かっているのか・どこに連れていかれるのかが分からない」ので面白いそうです。
しかし、ミステリー会議はよくありません。事前に「何のために集め集まっているのか」について共有し合意すること、が必要です。

「梨狩り」のバスツアーの集合場所に到着して、「あれ?ぶどう狩りだと思って参加したのに...」みたいなことにならないようにすることが必要です。

結局声の大きい人や権力のある人の意見が通っちゃうよね

これ「あるある」でしょうか?

声の大きい人や権力のある人の意見が通るのであれば、人々が集まって議論する必要はないのかもしれません。その人だけで決めれば良いので。
そもそも、何のために参加者の方々を集める必要があるのか、ということを参加者全員が納得していることが必要です。

忙しいのに会議に出なきゃいけないのかなぁ(当事者意識がない)

これも「あるある」でしょうか?
自分が参加する必要性を納得していない場合、こんな風に思ってしまうこと、ありますよね。「何のために集め集まっているのか」が共有され納得されていることは、とても大切です。参加する必要性を感じていない会議に出ることは苦痛です。

会議ってつまらないし時間の無駄

私は「集まって議論し合意形成する行為」はかなり重要なものだと思っています。私はそれを会議と呼ぶと思っています。
会議がつまらなくて時間の無駄ということは、「会社がつまらない」ということと結構近いことなのだと思うのです。早急に手を打つべき課題です。

リモートからの参加は疎外感を感じる

テクノロジーの進化により、オフィスにいなくても会議に参加することが可能な時代になりました。リモート (例えば自宅) から参加すると、オフィスから参加している時に比べて疎外感を感じるということはありませんか?まだ慣れていないからかもしれませんね。打ち手を考えるべきです。

外人との会議嫌だな

企業規模に関わらず海外企業と協働する必要が出てくる時代だと思います。日本語ではない言葉を母国語とする企業と協働する場合、まず最初にくるのは言語の壁。
例えば英語を使う場合「英語嫌だな」がくるのではないかと思います。
英語が何とかなった次にくるのは、「何故かうまく通じないなぁ」「何故わかってくれないんだろう」という言葉以外の壁です。海外企業と協働するのであれば、ここは改善しなければならない課題です。


3. ファシリテーション活用後の「考える・感じる」

この章では、ファシリテーションを活用した会議では、「参加者は会議中に何を考え・感じているのか」を書いてみたいと思います。

下図は、ファシリテーション活用後、言い換えると私が伴走型で支援させていただいた後の共感マップです。(タップやクリックして拡大できます)
共感マップ協働後

忙しいけど会議に出て積極的に参加しよう(自分は役立っているから)

私BTFコンサルティングは、会議室を発言しやすい・発言が否定されない安心安全な場になるよう伴走型で支援します。

そのためには、参加者の方々に守っていただきたいグラウンド・ルールがあります。このグラウンド・ルールは参加者の方々の納得をいただいて運用するものです。

会議室は、みんなの意見が尊重される安心安全な場になります。あなたの意見は否定されず、前向きな話し合いが行われ、みんなでアイデアを紡ぎ合わせようとするマインドを持った場で会議をすることになります。あなたが発言したアイデアが受け入れられ、そのアイデアを紡ぐことで、アイデアとアイデアが化学変化を起こして、議論が進行します。言い換えると、自分が役に立っていると実感できる場になるのです。

目的・目標が定められた会議で議論するのが楽しくなってきた

会社の会議は、「何の目的のために、この会議室にいる人たちが集まっていて、会議終了時にどこに到達したいのかという目標」を定めることが可能な場合が多いです。

目的・目標が事前に共有され、参加者の納得感を得られるものであり、さらに会議の冒頭で今一度確認され、発言しやすい・発言が否定されない安心安全な場であったら、どんな議論になるでしょうか?
1回で変わるとは思いません。何回か続けると変わっていきます。

参加しやすい雰囲気

上で書いたことと被りますが、会議の雰囲気が変わると、会議そのものが変わってきます。たかが会議なのかもしれませんが、会議が変わることで人・組織・会社が変わっていくことが多いです。

リモートからの参加でもF2Fでいるみたい

F2FはFace to Faceの略で「対面で」という意味です。最近F2Fという表現を日本でもよく目にするようになりました。

テクノロジーが進化していますので、自宅やカフェからでもPCやタブレットやスマホを利用して会議に参加することが可能になりました。ただ、リモートから参加する方は勿論、会議室から参加する方も注意することがあります。

なお、カフェの場合は機密情報を話していると周囲に聞こえてしまいますので、クルマの中から参加するとか場所の工夫が必要になります。

目標に到達するまでのプロセスが共有されていて良い

ファシリテーターが入る会議は、「何の目的のために、この会議室にいる人たちが集まっていて、会議終了時にどこに到達したいのかという目標」が納得・共有されています。さらに、そこに到達するために「どのように目標に到達するのか」「どうやって参加者全員の時間を使うのか」というプロセスを共有してから会議を始めます。

もし時間内に到達するのが無理そうな場合は、会議の終了時刻までに、次回は誰を集めてどんなプロセスで進めるのかを合意して会議を終了します。

外人との会議の抵抗が少なくなってきた

会議で議論される内容そのものはお客様(参加者)のものですし、外人との議論をするのはお客様の責任です。
私BTFコンサルティングは通訳・翻訳業はいたしません。

私は「何故かうまく通じないなぁ」「何故わかってくれないんだろう」という言葉以外の壁を取り除くための支援をさせていただきます。通訳・翻訳はいたしませんが、議論が円滑に進むための言い回しですとか、重要と思われるポイントでの確認ですとか、1つ1つ合意を積み重ねていくための支援をさせていただきます。

実際の会議にファシリテーターとして参加させていただく場合もあります。


本当に変わるのか信じ難い、という方もいらっしゃるかもしれませんね。
本を読んだり話を聴いたりするのも良いでしょう。

百聞は一見に如かず。百見は一体験に如かずです。体験するのが一番早い、と私は思います。例えば「いつもの会議にファシリテーターが入った場合どうなるか」をリアルに体験できたら、分かっていただけるかもしれません。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事を書いたプロ

小川芳夫

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小川芳夫(BTFコンサルティング)

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