会社の会議:不要な会議を数字で考える:今理解すべき3つの視点

小川芳夫

小川芳夫

テーマ:ファシリテーション

このコラムは、ビジネスパーソンの方々を対象に書いています。

朝日新聞の2019年4月21日に組まれた特集「カイシャの会議」では、「1万人規模の企業では、1年間に約67万時間、約15億円も「ムダな会議」に費やしています。」とあります。

あなたはどうでしょう?具体的に考えてみませんか?

このコラムでは、ムダな会議について考え、どうすべきなのかを提案します。
3分程度で読める内容です。


私は、ファシリテーションを核としたコンサルティング・サービスを営んでいる個人事業主です。屋号を BTFコンサルティングといいます。BTF は Business Transformation with Facilitation の頭文字をとりました。トランスフォーマーという映画をご存知の方がいらっしゃると思います。クルマがロボットに変身したり、ロボットがクルマに変身したりする映画です。トランスフォーメーション(transformation)とは変身させることです。ビジネス・トランスフォーメーションとはビジネスを変身させてしまうことです。ビジネス変革とも言われています。「ファシリテーションを活用してビジネス変革を実現して欲しい、そのために貢献したい」と考え、この屋号にしました。

ファシリテーション(Facilitation)。「人と人が議論し合意形成をする。この活動が容易にできるように支援し、うまく合意形成できるようにする。」これを実現するためにはどうしたら良いのかという課題を科学的に考え、試行錯誤を繰り返しながら作りあげられた手法、これがファシリテーションです。ファシリテーションをする人をファシリテーター(facilitator)と言います。


1. あなたの会議のムダはいくら?

あなたのムダについて、不要な会議を数字で考えるためにシュミレーションするための簡単なエクセルを作ってみました。

このコラムにはファイルを添付することができないので、私のホームページ内のブログに添付しました。 (「私のホームページのブログ」のリンクを辿っていただき、ブログを下にスクロールすると、エクセルの画像が出てくるので、その画像をクリックすると、ダウンロードできます)
今スマホで読んでくださっている方は、スマホでエクセルを操作できないかもしれませんね。その場合は、お手数ですが、パソコンでダウンロードしてお使いください。

使い方を説明します。
不要な会議を数字で考えてみる

黄色いセル B3 に、1週間に参加している不要な会議の時間を入れてください。
例えば、内職をしている時間参加はしているものの会議以外のことを考えている時間など、会議に集中していない時間を入れてください。
急いで対応したいメールを作成するその10分間午後一の会議でついうとうとしてしまうその3分間次のミーティングのことを考えてしまうその5分間。積もり積もるとどのくらいになりますか?

黄色いセル B9 に、あなたの1ヶ月のコストを入れてください。
支払われる月給や賞与だけでなく、会社が払う確定拠出年金や保険料、さらに光熱費や家賃などオフィスコストなどを加えた金額を入れてください。
もしわからない場合は、上司の方や周囲の方に聞くとわかると思います。

セル B10 が、1か月に不要な会議に参加しているコストです。
セル B12 が、1年間に不要な会議に参加しているコストです。

黄色いセル C2 には、あなたが所属しているチームの人数を入れてください。
チームとして浪費しているコストが、C10 と C12 に計算されます。

いかがですか?
チリも積もれば山になるという感じではないでしょうか?
会議のムダを解決することで、これらのコストの大部分は削減されます。時間も。

セキュリティの観点で、ファイルをダウンロードしたくないという方もいらっしゃるでしょう。
簡単な計算式を使っていますので、下表に計算式を書いておきます。
セルの書式はセルに合わせて設定しています。

セル
C3=B3*C2
B6=B3/(B4*B5)
B8=B7*B4*B6
C8=B8*C2
B10=B9*B6
C10=B10*C2
B11=B8*12
B12=B10*12
C12=B10*C2
B14=B11*B13
B15=B12*B13



2. ファシリテーターを育てる、あなたの会議にファシリテーションを導入する

多くの日本人はカルロス・ゴーンという人の名前をご存知だと思います。
そもそも、彼は、日産自動車の経営を立て直すために、日本にやってきました。
彼は、日産自動車の中にたくさんのファシリテーターを育成し、ファシリテーションを会議に導入しました。

彼は日本的な会議のやり方に驚愕したのだろう、と私は思います。
彼はコスト・カッターという異名を持つ人ですから、会議のムダ(コスト)を削減すべし、と思ったのだと思います。
(売り上げ)―(コスト)=(利益)ですから、会議のムダを削減できれば、利益が上がります。
この新たに生み出された利益は、新規事業や営業戦略など生産的なものに人・モノ・金を投資する原資になります。
もしかしたら、福利厚生や給与の原資になるかもしれません。

さて、あなたの会議のムダはいくらでしたか?あなたが所属するチームではどうでしたか?

私は個人事業を開業してから多くの方々とお話しさせていただく機会があります。
「会議を変革することに金を出す人なんていないんじゃないの?」という方もいらっしゃいました。

もし、あなたが部長、課長、主任クラスの方であれば、ファシリテーターを育成することを検討していただきたいと思います。
ファシリテーターを育成するためには、人に対する投資は必要です。
ファシリテーションを学び、スキルを研鑽するために実際のリアルな会議で練習することが必要です。
一人前になるまでには、ある程度の時間が必要です。
その投資はすぐに回収できる程度のものであり、ファシリテーションを導入する効果は大きい、と私は考えます。

もし、あなたがファシリテーターを目指すのであれば、あなたは新規事業や営業戦略など生産的なものに投資する原資を新たに生み出す、そこに貢献できる、と考えることができるのです。
もし、新規事業や営業戦略を立案するワークショップにファシリテーターとして入り、議論を活性化することに貢献できたら、新たな売り上げに貢献できる、とも考えられるのです。
 
 

3. 会議のやり方を学びましょう

会議のムダを放置し続けると、ムダなコストを出し続けるだけでなく、下記の悪影響を引き起こしてしまう危険性があります。

  • 仕事に取り組む姿勢 (モチベーション・充実感) が下がる
  • 「残業することが当たり前」から脱却できなくなる
  • スキル (特にホワイトカラーが労働市場で評価されるもの) を研鑽する時間が取れない

良いことは何もありません。

私は個人事業を開業してから多くの方々とお話しさせていただく機会があります。
ビジネスパーソンになってから今までに会議のやり方を教えてもらったことが無い、という方はとても多いです。

是非、今こそ学んで欲しいと思います。
ファシリテーションは座学で学んだだけでは身につきません。研修に出ただけでは、実務で使えるレベルのスキルは身につかないのです。スポーツの場合、本や雑誌、さらにネット上の情報や動画はありますが、実際に練習し、試合に出なければ、できるようになりません。上達しません。ファシリテーションも同じです。

頭で理解することは必要です。でも、それだけでは不十分だということです。実際の会議で使って腕を磨く必要があります。


会議に参加する人たちも同じく、ファシリテーションが導入された会議に慣れる必要があります。
何年も「慣れ親しんできた」やり方を変えることになるので、抵抗はあるでしょう。不安・不満を丁寧に解きほぐしながら、納得してもらうという、根気のいる活動が必要かもしれません。

私は次のように信じています。
学び続ける必要があります。つまり、人・モノ・金を投資する必要はあります。
投資した以上のリターンは必ず獲得できます。会社の観点からも。そして、個人の観点からも。


海外のビジネス・パーソンは会議のやり方を学んでいます。研究している人も多くいます。

さあ、意志を持って学びましょう。そして研鑽しましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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小川芳夫
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小川芳夫(ファシリテーター)

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