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40代からの女性が、負の感情とマイナス思考に向き合う方法

岩本益宏

岩本益宏

テーマ:今さら聞けない

前向きになれない自分を責めていませんか




仕事では責任が増え、家庭では家事や家族の予定が続く。周囲には気を配っているのに、自分のことは後回しになる。

そんな日々が続くと、イライラ、不安、悲しさ、怒り、落ち込みなどの「負の感情」が出てくることがあります。

「こんなことを考える自分はダメ」「いつも前向きでいなければ」「マイナス思考をなくしたい」。そうやって感情を押し込めるほど、心も体も緊張して、さらに疲れやすくなることがあります。

負の感情は、本当に悪いものなのでしょうか。

結論から言えば、負の感情そのものは悪者ではありません。怒りは「無理をしている」「大切な境界線を越えられた」というサインかもしれません。不安は「準備したい」「先のことを確認したい」という心の働きです。悲しみは、失ったものや疲れを受け止めるための自然な反応でもあります。

大切なのは、感情を無理に消すことではなく、感情に気づき、行動を選び直せる状態をつくることです。本記事では、中医学の考え方を入り口に、40歳以上の働く女性がマイナス思考と上手に向き合い、心と体のバランスを整える方法を、初心者向けに解説します。

の感情とマイナス思考は、同じものではありません


まず、感情と思考を分けて考えてみましょう。

たとえば、職場で厳しい言葉をかけられたとします。「悲しい」「悔しい」「腹が立つ」は感情です。そのあとに、「私は何をしても認められない」「また失敗するに違いない」と考え続けることが、マイナス思考です。

感情は、出来事に対して自然に起こる反応です。一方、思考は、疲労や睡眠不足、過去の経験、その日の体調によって強くなったり弱くなったりします。

つまり、落ち込んだときに浮かぶ考えが、いつも事実とは限りません。感情を否定する必要はありませんが、感情が強いときに出した結論を、そのまま自分の評価や未来の事実にしないことが大切です。

負の感情には、心と体を守る役割がある


怒りは、無理や不公平に気づくサインです。怒りのまま相手を責める必要はありませんが、「何が嫌だったのか」「本当はどうしてほしかったのか」を知る手がかりになります。

不安は、危険や不確実さに備えるサインです。予定を確認する、相談相手を決める、できることを一つ書き出すなど、具体的な行動に変えると、考えが整理しやすくなります。

悲しみや落ち込みは、失ったものや疲れを受け止めるための反応です。元気を出そうと急ぐより、睡眠や食事を整え、安心できる人と話すことが回復の土台になります。

恐れは、身を守るためのサインです。ただし、現実の危険がない場面でも強い恐れが続く場合は、心身が疲れて警戒状態から戻れなくなっている可能性があります。

感情は、行動を決める命令ではありません。感情を感じたあとに、「今の自分に必要な行動は何か」を選ぶことが、心の安定につながります。

中医学では、心と体を「気・血・陰陽」のバランスで考える


中医学では、体と心を別々のものとして扱いません。生命活動を支える「気」、体を養う「血」、体のうるおいなどに関わる「陰」、活動性に関わる「陽」などのバランスから、現在の状態を考えます。

ここでいう「気」や「血」は、現代医学の検査値や特定の臓器そのものを意味する言葉ではありません。体質や心身の変化を捉えるための、中医学独自の考え方です。

仕事や人間関係の緊張が続いて「気」の巡りが滞ると、ため息、胸やみぞおちのつかえ、肩や首のこわばり、イライラなどが出ることがあります。これを中医学では「気滞」と表現します。

忙しさや睡眠不足が続いて「気」が不足すると、疲れやすい、やる気が出ない、考えがまとまらないといった状態を「気虚」として考えることがあります。

同じ「落ち込み」でも、緊張や我慢が中心なのか、体力の消耗が中心なのかによって、整え方は変わります。だからこそ、中医学では症状名だけでなく、生活や体質を一緒に見ていきます。

五臓と感情の関係を、初心者向けに理解する


中医学では、感情と「五臓」の働きに関係があると考えます。ただし、ここでいう肝・心・脾・肺・腎は、現代医学の臓器をそのまま指すものではなく、心身の働きをまとめた機能概念です。

肝は怒りや緊張、心は安心感や眠り、脾は思い悩みや消化、肺は悲しみや呼吸、腎は恐れや生命力の土台と関係づけて考えます。

これは「怒ったから肝臓が悪い」「悲しいから肺の病気」という単純な診断ではありません。感情と体調が互いに影響し合うことを理解するための、中医学の地図のようなものです。

40歳以上の働く女性が、負の感情を抱えやすい理由


40代以降は、負の感情が増えたように感じやすい時期です。性格が変わったのではなく、心身にかかる条件が変化している可能性があります。

仕事の責任が増える、家族の予定や家事で自分の休息が後回しになる、睡眠時間が短い、体力の回復に時間がかかる、月経周期や女性ホルモンの変化で気分や体調が揺れやすい、親のことや子どもの将来など考える課題が増える。このような状態では、心だけを前向きにしようとしても、体がついてこないことがあります。

考え方を変えなければと頑張る前に、睡眠、食事、緊張、疲れの程度を確認してみましょう。

マイナス思考と向き合う5つのステップ


1. 感情に名前をつける
「嫌な気分」だけで終わらせず、「怒っている」「不安がある」「寂しい」「疲れている」と具体的に言葉にします。名前をつけるだけでも、感情と自分の間に少し距離ができます。

2. 体の反応を確認する
胸がつかえる、肩が張る、胃が重い、呼吸が浅い、手足が冷たいなど、体の感覚を確認します。中医学では、こうした体のサインも心身の状態を考える情報です。

3. 事実と解釈を分ける
「上司に指摘された」は事実です。「私は仕事ができない人間だ」は、出来事に対する解釈かもしれません。事実と解釈を分けると、必要以上に自分を責めていないか確認できます。

4. まず体をゆるめる
深く吸うことよりも、ゆっくり吐くことを意識します。肩を回す、10分歩く、温かい飲み物を飲む、ぬるめのお風呂に入るなど、体の緊張を下げる行動を一つ選びましょう。

5. 小さな選択に戻る
今日は誰に相談するか、何時に休むか、どの仕事を明日に回すか。自分で選べる小さな行動に戻ることで、少しずつ主体性を取り戻せます。

気の巡りと心身のバランスを整える生活習慣


仕事の切り替え時に、鼻からゆっくり吸い、口から細く長く吐く呼吸を3〜5回行います。散歩、肩回し、ストレッチなど、続けられる範囲で体を動かします。忙しい日も食事を抜かず、ごはん、たんぱく質、野菜や汁物を組み合わせます。

休息は、すべての用事が終わった人だけが取るものではありません。予定表に「何もしない時間」や「早く寝る日」を先に確保します。ノートに「今日つらかったこと」「本当はどうしたかったこと」「明日できる小さなこと」を一つずつ書くのもよい方法です。

漢方や中医学の相談を利用するときの考え方


中医学には、気の巡りを整えることを目的とする方法、気や血を補うことを目的とする方法、体のうるおいを養うことを目的とする方法などがあります。しかし、「不安にはこの漢方」「落ち込みにはこの漢方」と一律に決められるものではありません。

漢方薬を使う場合は、現在服用している薬やサプリメントも含めて、医師や薬剤師などの専門家に相談してください。漢方薬は、医療機関での診療や心理的な支援の代わりになるものでもありません。

「なりたい自分」は、負の感情がない自分ではない


なりたい自分とは、負の感情を感じない人ではありません。自分の感情に気づける、疲れや緊張を体のサインから確認できる、感情のままに決めず一呼吸おける、必要なときに人へ相談できる、今日できる小さな選択を自分で選べる。そのような自分です。

ひとりで抱え込まず、専門家に相談したいサイン


気分の落ち込みや不安が長く続く、眠れない・眠りすぎる、食事が取れない、仕事や家事が難しい、涙が止まらないといった場合は、早めに医療機関や相談窓口へつながってください。

胸の痛み、強い息苦しさ、激しい動悸、失神、自分を傷つけたい気持ちがある場合は、すぐに医療機関や緊急相談先へ相談することが大切です。

まとめ:負の感情は、自分を整えるきっかけになる


負の感情は、なくさなければならない悪いものではありません。怒り、不安、悲しみ、恐れには、無理をしていることや休息が必要なこと、大切にしたいものがあることを知らせる役割があります。

中医学では、心と体を切り離さず、「気・血・陰陽」のバランスや、体質と生活の状態から不調を考えます。気の巡りが滞っているのか、疲れて体を養う力が不足しているのか。状態によって、必要な整え方は変わります。

40歳以上の働く女性は、仕事、家庭、体調の変化を同時に抱えやすい時期です。マイナス思考になった自分を責める前に、まず感情に名前をつけ、体の反応に気づき、できる小さな行動を選んでみてください。

なりたい自分とは、いつも明るく完璧な自分ではありません。負の感情も含めた今の自分に気づき、心と体を守る選択ができる自分です。

※本記事は中医学の考え方を紹介するもので、病気の診断や治療を目的としたものではありません。気分の落ち込みや不安が強い場合、症状が長引く場合、服薬中・通院中の場合は、医師や薬剤師などの専門家にご相談ください。

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岩本益宏
専門家

岩本益宏(医薬品販売業)

有限会社くすりの厚生会

子宝専門の漢方薬店として、カウンセリングで「妊娠力」を高める食生活や睡眠など生活習慣改善についてアドバイスと漢方薬の販売を行う。漢方知識と、自らの不妊治療・体外受精・出産の経験を生かしお客様をサポート

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