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夏は痩せやすい、は思い込み?――忙しい女性のための熱中症を防ぐダイエット

岩本益宏

岩本益宏

テーマ:どうしたらヤセるの?



「夏は汗をかくから、自然に痩せられそう」
「食欲がない日は、そうめんだけで済ませれば体重も減るはず」

暑い季節になると、夏をダイエットの好機と考える方が増えます。しかし、汗をたくさんかいた直後に体重が減るのは、主に水分が失われたためです。体脂肪が急に減ったわけではありません。

さらに、暑さによる食欲低下、甘い飲み物、睡眠不足、屋外での無理な運動が重なると、夏バテや熱中症を招くだけでなく、かえって体重管理が難しくなることもあります。

今回は、仕事や家事で忙しい女性が、安全に続けられる夏のダイエットを初心者向けに解説します。

■「汗をかけば脂肪が燃える」は誤解です


汗の主な役割は、体温を調節することです。汗が皮膚から蒸発するときに熱を逃がし、体温が上がりすぎるのを防ぎます。

たくさん汗をかいた後に体重が減っても、水分を補給すれば多くは戻ります。サウナ、厚着、炎天下での運動などで汗を増やしても、それだけで体脂肪が大きく減るわけではありません。

むしろ、水分を我慢して数字を下げようとすると、脱水や熱中症の危険が高まります。頭痛、めまい、吐き気、筋肉のけいれん、強いだるさなどが現れたら、ダイエットを続ける場面ではありません。涼しい場所へ移動し、体を冷やして水分を補いましょう。自力で飲めない、返事がおかしい、意識がない場合は救急要請が必要です。

■夏が特別に痩せやすいとは限りません


暑いと汗をかくため、エネルギーを多く消費しているように感じます。しかし、人の体は暑さに適応しようとし、体温を維持するための熱産生は寒い時期より少なくて済む場合があります。

夏に痩せるかどうかを決めるのは、「暑さ」そのものではありません。

・食事から摂るエネルギー
・日常生活と運動で使うエネルギー
・筋肉量
・睡眠
・ストレス
・体調や服薬

これらの積み重ねです。

体重が一時的に落ちたことを成功と判断せず、体調を保ちながら数週間、数か月続けられる方法を選びましょう。

■夏のダイエットで起こりやすい5つの落とし穴


1.スポーツドリンクや甘い飲み物が増える

熱中症予防には水分補給が欠かせません。ただし、加糖されたスポーツドリンク、ジュース、甘いカフェ飲料を日常的に何本も飲むと、気づかないうちに糖質とエネルギーの摂取量が増えます。

普段の水分補給は、水や無糖のお茶を基本にします。長時間の運動や大量に汗をかく環境では、水分だけでなく電解質の補給が必要になることがあります。経口補水液は脱水時の補給を目的とするもので、通常の飲料として多量に飲み続けるものではありません。

高血圧、心臓病、慢性腎臓病(CKD)があり、塩分や水分量を指示されている方は、一般的な熱中症対策を自己流で当てはめず、主治医へ確認してください。

2.そうめん、パン、果物だけで食事を終える

暑くて食欲がないと、のど越しのよい物だけになりがちです。そうめんやパン自体が悪いのではありませんが、それだけではたんぱく質や野菜が不足し、食後に空腹を感じやすくなることがあります。

そうめんなら、次のような食品を加えて一食にします。

・卵、鶏肉、ツナ、豆腐、納豆
・トマト、きゅうり、オクラ、わかめ
・ごま、薬味

パンなら、卵、チーズ、無糖ヨーグルト、サラダなどを組み合わせます。果物も水分やビタミンを含みますが、食事の代わりに大量に食べるのではなく、適量を楽しみましょう。

3.アイスや冷たい物を全面禁止する

「冷たい物は内臓を冷やして代謝を止める」と考え、暑い日でもすべて避ける必要はありません。冷たい水分や食品を摂っただけで、脂肪燃焼が止まるとは言い切れません。

問題になりやすいのは温度より、糖分や脂質、食べる量です。アイスやかき氷を楽しむ日は、毎日の習慣にせず、量を決めて味わいましょう。

冷たい物で腹痛や下痢が起こりやすい人は、自分の体調に合わせて常温の飲み物や温かい汁物も取り入れてください。一律の禁止ではなく、自分に合う温度と量を選ぶことが大切です。

4.暑い時間帯に運動する

「汗をかいた方が痩せる」と考えて、日中にランニングや長時間のウォーキングをするのは危険です。

環境省が示す暑さ指数(WBGT)では、31以上で運動は原則中止、28以上31未満では激しい運動を中止することが示されています。熱中症警戒アラートが発表されている日は、屋外での運動にこだわらないでください。

夏の運動は、次のように組み替えます。

・早朝など比較的涼しい時間帯を選ぶ
・冷房の効いた室内で歩く
・自宅でスクワット、かかと上げ、ストレッチを行う
・買い物や家事を身体活動として活用する
・座りっぱなしをこまめに中断する

厚生労働省の身体活動・運動ガイド2023では、個人差を踏まえて強度や量を調整し、「今より少しでも多く動く」ことが基本とされています。最初から大きな目標を立てず、10分程度の活動を積み重ねるところから始めましょう。

5.睡眠不足を放置する

夏は寝苦しさや冷房の調整、子どもの夏休みなどで生活リズムが乱れやすい時期です。睡眠が不足すると、食欲の調整が難しくなり、甘い物や高エネルギーの食品を選びやすくなることがあります。

・寝室を我慢せず適切に冷房する
・就寝前の飲酒を睡眠対策にしない
・夜遅い大量の食事を避ける
・起床時刻を大きくずらさない

夏のダイエットは、食事と運動だけでなく、眠れる環境を整えることも大切です。

■初心者でも続けやすい、夏の食事の組み立て方


難しい栄養計算を始める必要はありません。毎食、次の三つをそろえることから始めます。

1.主食

ごはん、パン、麺など、活動のエネルギーになる食品です。完全に抜くのではなく、自分の活動量に合わせて量を調整します。

2.主菜

魚、肉、卵、大豆製品など、筋肉や体をつくるたんぱく質源です。「高たんぱくなら多いほどよい」という意味ではありません。腎機能が低下している人は適量が異なるため、医療専門職へ相談してください。

3.副菜

野菜、きのこ、海藻などを使った料理です。生野菜だけにこだわらず、冷凍野菜、具だくさんの汁物、電子レンジ調理も活用しましょう。

忙しい朝の例


・小さめのおにぎり
・ゆで卵または無糖ヨーグルト
・ミニトマトや冷凍野菜

コンビニ昼食の例


・おにぎり
・焼き魚、ゆで卵、豆腐、サラダチキンなどから一品
・野菜スープまたはサラダ

遅い夕食の例


・夕方に小さなおにぎりや無糖ヨーグルトを摂る
・帰宅後は豆腐、魚、卵、野菜料理を中心に軽くする

食事を抜いて我慢するより、空腹が強くなる前に分けて食べる方が、夜のまとめ食いを防ぎやすくなります。

■唐辛子やショウガ、緑茶だけでは痩せません


特定の食品に、食べた脂肪を大きく燃やすほどの効果を期待することはできません。唐辛子やショウガ、緑茶は食事の楽しみとして取り入れられますが、これだけで体脂肪が減るわけではありません。

また、暑い日に辛い物を無理に食べると、胃腸の不調につながる人もいます。カフェインを含む飲み物を夕方以降に多く摂ると、睡眠に影響する場合もあります。

「脂肪燃焼食品」を探すより、甘い飲み物、間食、夜遅い大量の食事を見直す方が現実的です。

■夏のダイエットを支える運動の目安


運動不足の方は、次のような一週間から始めてみましょう。

・室内ウォーキングや涼しい時間の散歩を10~20分
・スクワットや椅子からの立ち座りを無理のない回数
・かかと上げ、壁を使った腕立て伏せ
・仕事中は30分ごとを目安に立つ、伸びる、少し歩く

毎日すべて行う必要はありません。息苦しさ、胸の痛み、動悸、めまい、強い疲労がある場合は中止してください。

糖尿病、高血圧、CKD、心臓病の治療中の方、運動で低血糖を起こす可能性がある方は、開始前に主治医へ相談しましょう。

■中医学で考える夏の養生


中医学では、夏は暑さによって体力や潤いを消耗しやすい季節と考えます。食欲低下、だるさ、寝苦しさなどを含めて体全体を見ながら、無理をせず整えていきます。

ただし、「体を冷やす食品」「温める食品」という分類だけで、熱中症や肥満を判断することはできません。暑い環境では冷房を使い、水分を補い、必要に応じて医療を受けることが優先です。

漢方薬も体質や服薬状況によって選び方が異なります。利尿作用のある生薬や健康食品を「むくみ取り」「体重減少」の目的で自己判断して使うと、脱水や薬との相互作用につながる可能性があります。使用前に医師や薬剤師、漢方に詳しい専門家へ相談してください。

■まとめ――夏は「頑張って汗をかく」より「安全に続ける」


夏のダイエットで大切なのは、暑さを利用して急いで体重を落とすことではありません。

・汗で減った体重を体脂肪の減少と思わない
・水分を我慢しない
・甘い飲料を日常の水分補給にしない
・麺や果物だけで食事を終えない
・WBGTが高い日は屋外運動を中止・変更する
・睡眠と冷房を我慢しない

この六つを意識するだけでも、夏の体調を守りながら体重管理を続けやすくなります。

夏に必要なのは、汗の量を競うダイエットではありません。涼しい環境、バランスのよい食事、こまめな水分補給、短時間でも続けられる活動を組み合わせ、秋になっても続く習慣をつくりましょう。

※本記事は一般的な情報を提供するもので、診断や治療に代わるものではありません。糖尿病、CKD、心臓病、高血圧などで治療中の方、塩分・水分制限を指示されている方、妊娠・授乳中の方は、食事や運動、経口補水液、漢方薬・健康食品の利用について医療専門職へご相談ください。

参考情報
・厚生労働省「熱中症を防ぎましょう」
・厚生労働省「熱中症予防のために」
・厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
・環境省「熱中症予防情報サイト 暑さ指数とは?」

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岩本益宏
専門家

岩本益宏(医薬品販売業)

有限会社くすりの厚生会

子宝専門の漢方薬店として、カウンセリングで「妊娠力」を高める食生活や睡眠など生活習慣改善についてアドバイスと漢方薬の販売を行う。漢方知識と、自らの不妊治療・体外受精・出産の経験を生かしお客様をサポート

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