ソフトロボットについて

熊田茂雄

熊田茂雄

テーマ:ロボット

 ソフトロボット(Soft Robot)を対象とする技術分野は、いわゆる「ソフトロボティクス」と言われており、やわらかい材料を使っていたり、しなやかな動きができたりするソフトロボットの技術を意味します。これには、人が持たない性質の補完を主に追究してきた従来のロボティクスとは異なる設計思想がみられます。たとえば、自然界の生物や人体の構造などから着想を得たり、それらの動きを模したりして設計されたソフトロボットも多く存在します。

 ソフトロボットにはさまざまな種類がありますが、やわらかくしなやかな動きが可能であると同時に、特有の「曖昧さ」を強みとするロボットともいわれています。この曖昧さこそ、従来のロボティクスとは大きく異なる要素で、不定形なワークのピッキングや臨機応変な動き、狭く複雑かつ一定ではない形状の空間での作業などを可能とします。

 当生産技術コンサルタントとしては、主に製造業でのソフトロボットの活用をターゲットとしているため、ロボットのピッキング対象を柔らかいもの(もしくは壊れやすいもの)、不定形なものという位置づけでこのソフトロボットについて考察したいと考えております。

 したがって、当面は前提条件として、ソフトロボットの対象部位はロボットハンド(爪を含む)についての考察となります。(まずは、その必要要件について)
①ロボットハンド素材としての必要要件
 ・対象製品を傷つけない柔らかい素材であること。
 ・対象製品をつかんで落とさない滑りにくい素材(又は形状)であること。
 ・食品関連等の製品が想定されるため、衛生面で問題のない素材であること。
 ・同様に自己汚染、自己発塵しない素材であること。
 ・同様に繰り返し清掃、洗浄に耐えられる素材であること。

②不定形製品のピッキングに対する必要要件
 ・ピッキングミスを起こさない制御システムを保有すること。
   例えば、AI画像認識、バランス補正可能な触覚センサー付き 等

 現在、すでに人工筋肉によるソフトロボットハンドや、ウレタン素材、エラストマー系素材、シリコン素材などのソフトロボットハンドを展示会などでよく見かけますが、どれも様々な分野への展開が期待されており、目の離せない技術分野であることは確かです。

(参考ブログ)
https://www.pec-kumata.com/post/softrobot

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熊田茂雄
専門家

熊田茂雄(生産技術コンサルタント)

PEC-KUMATA 生産技術コンサルタント

工程設計や工場管理に40年以上従事した現場経験をもとに、生産技術コンサルティングを提供。品質改善や生産性向上などQCD課題の改善策とあわせて、先端技術や異分野を取り入れた技術方向性もアドバイスします。

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