新・ブランディングのチカラ 第1回「ロゴをつくって、それで終わり?」
「うちみたいな小さなお店に、ブランディングなんて大げさすぎません?」
よくいただく質問だ。正直、私自身も最初の頃はそう思っていた。ブランディングとは、お金をかけて専門家に頼む、大きな会社の特権だと。
けれど今は違う。むしろ小さなお店ほど、今日からでも始められる。
一番お金のかからない一歩目
ロゴや看板を思い浮かべるかもしれないが、そこは最後でいい。最初にやるべきことは、お金が一円もかからない。
自分の言葉で、自分の店を一言で言ってみること。
「地元の魚を、その日のうちに出す居酒屋」。これだけでいい。完璧でなくていい。今すぐ、ご自身の中にある「当たり前」を口に出してみる。これが出発点になる。
私がよくする、簡単な質問
初めてお話しするお客さまに、私はいつもこう伺う。
「このお店、今日来なかった人に一言で説明するとしたら?」
即答できる方は少ない。それでいい。考え込むこと自体が、もう一歩目だからだ。
正直に言うと、私自身もこの質問、最初はうまく答えられなかった時期がある。デザイナーです、プロデューサーです、とは言えても、「何屋さんですか?」には言葉に詰まった。今なら言える。想いに輪郭を与えて、事業を前に進める人、だと。
SNSは、全部載せなくていい
次にやりやすいのがSNS発信だ。よくある間違いは「とにかく全部投稿する」こと。見る側からすると、結局何のお店か分からなくなってしまう。
一歩目としておすすめなのは、最初に決めた一言を、毎回の投稿のどこかに忍ばせること。 全部載せるより、一つを繰り返す方が、ずっと記憶に残る。
完璧を待たなくていい
ご相談を受けていて一番もったいないのは、「まだちゃんとしたものができていないから」と発信を止めてしまうことだ。
完璧なブランドなど、最初から存在しない。今のSTUDIO16だって、最初の頃のロゴは今とは全然違う。やりながら少しずつ輪郭がはっきりしていく。それでいい。
今日やってみた小さな一言、今日投稿した一枚の写真。それ自体が、もうブランディングの一歩目になっている。
大げさに考えなくていい。必要なのは、センスでも予算でもなく、自分の言葉で自分のことを語ってみる勇気だけだ。
次回は、実際によくある「失敗したブランディング」のパターンについて、お話ししたい。



