ブランディングを実施するメリット
「この値段、高いかな……」
見積もりを出す前、値札をつける前、ふとその不安がよぎったことのある人は、きっと少なくないと思う。
ずっとこの悩みに向き合ってきた。多くの人は、不安になると値段を下げる方向に逃げる。けれど実際の現場では、値下げが解決策になったことは、ほとんどない。
「高いかな」の正体は、値段の問題じゃない
値段を見て「高いかな」と不安になる時、実はその不安の正体は、値段そのものではないことが多い。
- これだけの手間をかけているのに、ちゃんと伝わっているだろうか
- この良さ、自分にしか分かっていないんじゃないか
こうした、伝わっているかどうかへの不安が、値段への不安として出てきているだけのことが、驚くほど多い。だから値段を下げても、根本の不安は消えない。むしろ、下げるたびに自信を失っていく方を、何人も見てきた。
不思議なもので、値段を下げた瞬間はほっとする。けれどその安心は長く続かない。次の見積もりを出す時、また同じ不安がやってくる。なぜなら、不安の原因そのものには、一度も向き合っていないからだ。値段はただの症状で、原因は別のところにある。
価格競争に、勝者はいない
値段を下げれば売れる。分かりやすいから、みんなそこに逃げたくなる。
けれど、下げれば利益は削られる。削られた分は、どこかにしわ寄せがいく。材料を落とす、人手を削る、丁寧さを手放す。気づけば、値段を下げた理由そのものだったはずの「良いもの」が、少しずつ失われていく。
しかも、この勝負には終わりがない。誰かがさらに安くすれば、また下げる。相手も同じように苦しくなって、また下げる。気づけば、誰も得をしていないのに、誰も抜け出せない状態になっている。
価格競争に、勝者はいない。
だから、まずお伝えしたい。安売りしなくていい。
値段の付け方に迷った時、見るべき場所
高くても迷わず選ばれ続けているものには、共通点が一つある。
値段の裏に「物語」があること。
誰が、どんな想いで作ったのか。どんな手間をかけているのか。それを手にすることで、自分がどんな気持ちになれるのか。こうした物語が伝わっている時、人は値段そのものを見なくなる。比較する基準が、もはや値段ではなくなるからだ。
値段の付け方に迷う時、多くの方はまず相場を調べる。競合はいくらか、平均はいくらか。もちろんそれも大切な情報だが、そこだけを見ていると、いつまでも「その他大勢」の中の一つでしかいられない。
本当に見るべきは、相場や競合の価格ではない。自分の物語が、ちゃんと言葉になっているかどうか。そこなのだと思う。
自分の物語は、自分では見えない
一つだけ、絶対に見えない場所がある。それは、自分自身の物語だ。
「これくらい当たり前」「誰でもやっている」。そうやって、自分の一番の価値を、自分で一番低く見積もってしまう。手をかけた分だけ、それが当たり前になって、見えなくなる。頑張った方ほど、この罠にはまりやすい。近くにいすぎて、逆に見えなくなるものがある。
この仕事を続けてきて、今でも一番好きな瞬間がある。誰かの「これくらい当たり前」の中に、まだ誰にも語られていない物語が眠っているのを見つける瞬間。そしてそれを、初めて言葉にして本人に見せた時、その方の顔つきが変わる瞬間だ。
「これ、私のことだったんですね」
そう言っていただけた時、値段の話はもう終わっている。物語さえ見つかれば、値段は自然と後からついてくるものだから。
もし今、値札の前で手が止まっているなら。それは商品が悪いのではない。値段が高いのでもない。ただ、あなたの物語が、まだ誰にも見つけられていないだけだ。
その物語、一緒に見つけてみませんか。


