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渡邊リシアプロは山梨日日新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

新・ブランディングのチカラ 第3回「値段が高くても選ばれる理由」

テーマ:ブランディングデザイン


同じようなものが並んでいるとき、なぜ人は、あえて高い方を選ぶのだろう。

この問いに、長年向き合ってきた。値段を下げれば売れる。多くの人がそう考える。けれど実際の現場では、値下げが解決策になったことは、ほとんどない。

価格競争は、誰も幸せにしない戦い


値段を下げるという選択は、一見わかりやすい。けれど、これほど消耗する戦いもない。

下げれば、利益は削られる。削られた分は、どこかにしわ寄せがいく。材料を落とす、人手を削る、丁寧さを手放す。気づけば、値段を下げた理由そのものだったはずの「良いもの」が、少しずつ失われていく。

そして何より、値段の勝負には終わりがない。誰かがさらに安くすれば、また下げる。この競争に、勝者はいない。

高くても選ばれるものには、共通する構造がある


一方で、周りより高い値段でも、迷わず選ばれ続けているものがある。そこには、共通する構造があると私は考えている。

それは、値段の裏に「物語」があるということだ。

誰が、どんな想いで作ったのか。どんな手間をかけているのか。それを手にすることで、自分がどんな気持ちになれるのか。こうした物語が伝わっているとき、人は値段そのものを見なくなる。比較する対象が、もはや同じ土俵に存在しないからだ。

デザインの役割は、この物語に輪郭を与え、伝わる形にすることだと思っている。ロゴや写真、言葉の選び方——そのすべてが、物語を届けるための器になる。

「機能」を売る人と、「意味」を売る人


同じ商品でも、機能を売る人と、意味を売る人がいる。

  • 機能を売る人は、性能や価格で勝負する
  • だからこそ、常により良い機能、より安い価格を持つ他者に脅かされ続ける
  • 意味を売る人は、手にすることで得られる感情・体験・物語を売っている
  • 意味は簡単には模倣されないため、価格という土俵で戦う必要がなくなる


安売り競争から抜け出す唯一の道は、機能の勝負をやめて、意味の勝負に移ることだと、私は考えている。

山梨で見た、意味が生まれる瞬間


八ヶ岳のこの土地で仕事をしていると、意味が生まれる瞬間に何度も立ち会う。

丁寧に手をかけた食材、その土地でしか出会えない体験、作り手の顔が見える距離感。これらはすべて、価格の安さでは決して真似できない価値だ。

この土地の生産者や事業者と関わるたびに感じるのは、彼らがすでに「意味」を持っているということ。あとは、その意味を、外の人にちゃんと届く形にするだけだ。それが、私の仕事だと思っている。


値段を先に決めて、そこに商品を合わせるのではない。
物語と意味を丁寧に育てていけば、値段は自然と、後からついてくる。


値段は、最後に決まるもの


高くても選ばれる。それは特別な魔法ではなく、意味を積み重ねた、当然の結果なのだ。

次回は、経営者自身の情熱が、なぜお客さまにうまく伝わらないのか。その理由と、翻訳の技術についてお話ししたい。

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渡邊リシア
専門家

渡邊リシア(デザイナー)

STUDIO16 

漠然とした想いを、センスよく"見える形"に変える。実現までの流れや仕組みまで設計し、事業の成長を後押しする。名刺一枚から街づくりまで、境界を作らない。

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