風俗店でトラブルになったら絶対にやってはいけない5つのこと|本番・盗撮トラブルの正しい対処法
「デリヘルで本番行為をしてしまった。もしかして逮捕されるのだろうか」——そうした強い不安から、この記事にたどり着いた方が多いのではないでしょうか。
結論から申し上げると、女性との合意のうえで行為に至っていた場合、本番行為そのものを理由にお客様側が処罰されることは、原則としてありません。一方で、女性側が「同意していなかった」と主張し、被害届の提出や通報に至った場合には、不同意性交等罪という重い犯罪に問われる可能性が出てきます。
この記事では、どのような場合に逮捕のリスクが生じるのか、その分かれ目となる「不同意性交等罪の成立要件」とは何かを、デリヘルの状況に即して整理します。過度に不安をあおるのではなく、正確な法律知識と、いま取るべき現実的な対応をお伝えすることを目的としています。
デリヘルでの本番行為そのものは犯罪になるのか
まず前提として、デリヘル(派遣型風俗店)を含む多くの性風俗店では、いわゆる本番行為(性交)が禁止事項として定められています。これは、性交を対償の目的とする行為が売春防止法に抵触しうるため、店側が売春の周旋等に問われるリスクを避ける目的があります。
もっとも、ここで注意していただきたいのは、売春防止法には、買う側(お客様側)を直接処罰する罰則規定が置かれていないという点です。同法が罰則の対象としているのは、勧誘・周旋・場所の提供といった、売春をあっせん・助長する側の行為です。
そのため、女性との真意に基づく合意のうえで本番行為に及んだという事実だけを理由に、お客様が売春防止法違反で逮捕されるということは、原則として想定されません。
店から請求される「罰金」は刑罰ではない
本番行為が発覚した際、店側から「罰金」として高額な金銭を請求されるケースがあります。ただし、法律上の「罰金」は刑罰の一種であり、私人である店が科すことはできません。店の言う「罰金」は、実質的には規約に基づく違約金や損害賠償金という位置づけです。
その金額が妥当かどうか、そもそも支払義務があるかどうかは、契約内容や状況によって個別に判断されるべきものです。提示された金額を、その場で言われるまま支払わなければならないわけではありません。
逮捕の可能性があるのは、どのような場合か
本番行為をめぐって逮捕にまで発展するかどうかは、女性側が「同意はなかった」として被害を訴え、警察が動くかどうかが大きな分かれ目になります。
密室での出来事である以上、後になって「合意はなかった」「無理に迫られた」と主張されると、お客様側が合意の存在を客観的に証明することは容易ではありません。当事者の認識が食い違ったまま、次のような経緯で刑事事件化することがあります。
- 女性から店へ報告が入り、店が警察へ通報する
- 女性本人、または店の関係者が被害届を提出する
- 行為の最中や直後にその場で通報される
過去には、お客様側が店とのやり取りに恐怖を感じてご自身で110番通報したところ、女性側が「同意していなかった」と主張したことで、通報したお客様の側が不同意性交等の疑いで捜査対象になった、という報道事例も見られます。「自分から警察を呼んだのだから大丈夫」とは限らない点に注意が必要です。
つまり、逮捕リスクの核心は「本番をしたこと」そのものではなく、その行為に相手の有効な同意があったと言えるかどうかにあります。そこで次に、その判断基準となる不同意性交等罪の成立要件を詳しく見ていきます。
不同意性交等罪の成立要件
不同意性交等罪は、2023年7月13日に施行された改正刑法によって新設された犯罪です(刑法177条)。従来の強制性交等罪・準強制性交等罪を統合し、「暴行・脅迫があったか」だけでなく、「相手が同意しない意思を示せる状況だったか」に着目して処罰範囲を明確化した点に特徴があります。
条文上、成立するパターンは大きく次の3つに分けられます。
- 一定の行為・事由により、相手が「同意しない意思を形成・表明・全うすることが困難な状態」で性交等をした場合
- わいせつな行為ではないと誤信させる、または人違いをさせるなどして性交等をした場合(刑法177条2項)
- 16歳未満の者に対して性交等をした場合(刑法177条3項)
デリヘルでの本番トラブルで問題となるのは、主に1つ目のパターンです。
「同意しない意思」を困難にする8つの類型
刑法は、相手が同意しない意思を「形成・表明・全う」できなくなる原因となる行為・事由を、8つの類型として例示しています(刑法176条1項各号。177条が同項を引用)。
- 一 暴行もしくは脅迫を用いること、またはそれらを受けたこと
- 二 心身の障害を生じさせること、またはそれがあること
- 三 アルコールもしくは薬物を摂取させること、またはそれらの影響があること
- 四 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること、またはその状態にあること
- 五 同意しない意思を形成・表明・全うするいとまがないこと
- 六 予想と異なる事態に直面させて恐怖・驚愕させること、またはその事態に直面して恐怖・驚愕していること
- 七 虐待に起因する心理的反応を生じさせること、またはそれがあること八 経済的・社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること、またはそれを憂慮していること
これらの類型に直接あてはまらなくても、類似する行為・事由があれば要件を満たしうるとされている点も、押さえておくべきポイントです。
デリヘルの場面での「同意」の考え方
ここで重要なのは、「風俗サービスを受けることへの同意」と「本番行為への同意」は別のものとして扱われるという点です。
女性が店の定めた範囲のサービス(本番を含まない)を提供することに同意していたとしても、それは本番行為への同意を意味しません。サービスの途中で女性が明確に拒んだにもかかわらず行為に及べば、たとえ当初はサービスに応じていたとしても、本番行為については同意がなかったと評価される可能性があります。
「素股のつもりだったが、意図せず挿入してしまった」というケースの相談も少なくありません。この場合、そもそも挿入する意図(故意)がなかったと言えるかどうかが問題になりますが、これも密室での出来事であるため、事後的な立証は簡単ではありません。
「同意していると思った」という認識は通用するか
「相手も嫌がっていなかったので、同意があると思った」という認識でいるお客様は多くいらっしゃいます。しかし、内心でそう思っていたというだけでは足りず、相手が同意しない意思を表明できる状況にあったことを客観的に説明できるかどうかが問われます。
女性側が「本当は拒否したかったが言い出せなかった」「怖くて抵抗できなかった」と主張し、それが上記の類型(たとえば恐怖・驚愕、いとまのなさなど)に当てはまると判断されれば、お客様の「同意があると思った」という主張だけで嫌疑を免れることは難しくなります。
ケガをさせた場合はさらに重い罪に
本番行為を迫る過程で相手の腕をつかむなどし、その結果として女性にケガを負わせた場合には、不同意性交等致傷罪(刑法181条2項)が成立する可能性があります。この罪の法定刑は「無期または6年以上の拘禁刑」と、さらに重いものになります。
有罪となった場合の刑罰・時効
不同意性交等罪の法定刑は、5年以上の有期拘禁刑(5年以上20年以下)です。
なお、2025年6月1日の改正刑法施行により、従来の懲役刑と禁錮刑は「拘禁刑」に一本化されました。同日より前の行為には懲役刑が適用されますが、いずれにせよ相当に重い刑罰であることに変わりはありません。
法定刑の下限が5年であるため、仮に有罪となった場合、執行猶予がつく前提となる「3年以下の刑」の範囲に収めるには、減軽が認められる必要があります。示談の成立などによって減軽・執行猶予の余地が生じる場合もありますが、初犯であっても実刑の可能性が現実的にある、重い犯罪類型です。
公訴時効は15年(致傷の場合は20年)と長く、行為から時間が経ってから捜査が及ぶこともあります。実際に、行為の約1年後に逮捕された報道事例もあります。
本番トラブルで事態を悪化させないための対応
不安な状況でも、初動を誤らないことが重要です。次の点にご注意ください。
その場で言われるまま応じない。 高額な金銭をすぐに支払う、内容を確認しないまま示談書にサインする、身分証を渡す・コピーさせる——これらは後の交渉を不利にしたり、家族や職場への連絡につながったりする恐れがあります。
ご本人だけで直接交渉しない。
当事者同士のやり取りは、感情的な対立を生みやすく、不用意な発言が不利な証拠として扱われることもあります。弁護士が窓口に入ることで、連絡先がご本人から弁護士に切り替わり、職場や家族への連絡が及ぶことを防ぎやすくなります。
不当な要求には慎重に。
本番や盗撮などを口実に、法的根拠のない金銭を執拗に請求してくる事例や、いわゆる美人局的な悪質なケースも一部には存在します。請求が正当なものか、支払義務があるのかは、専門家に確認したうえで判断すべきです。
できるだけ早く弁護士に相談する。
被害届の提出前・逮捕前の段階で対応を始められるかどうかで、その後の見通しは大きく変わります。示談の可否や進め方も、早期であるほど選択肢が広がります。
まとめ
- デリヘルでの本番行為は、女性との合意があれば、それ自体を理由にお客様側が処罰されることは原則ない(売春防止法に買う側への罰則はない)。
- 逮捕リスクの核心は「本番をしたこと」ではなく、相手の有効な同意があったと言えるかにある。
- 女性側が同意を否定し、8類型に該当する状況が認められれば、不同意性交等罪(5年以上の有期拘禁刑)に問われる可能性がある。ケガを負わせれば不同意性交等致傷罪(無期または6年以上の拘禁刑)とさらに重い。
- 「同意があると思った」という内心だけでは嫌疑を免れにくく、客観的な状況の説明が求められる。
- 事態を悪化させないためには、その場で安易に応じず、早期に弁護士へ相談することが有効。
若井綜合法律事務所では、風俗トラブルをはじめとするお客様側からのご相談に対応しています。まずはお一人で抱え込まず、ご相談ください。


