【エンゲージメント④】「公平な扱い」が、優秀な部下のやる気を削ぐ理由:マクレランドの欲求理論で解き明かす、動機づけの「個別最適化」マネジメント [(2) マクレランドの欲求理論]

弥左大志

弥左大志

テーマ:エンゲージメント向上

前回のコラムでは、マズローの欲求階層について触れました。

その欲求をさらに「達成・権力・親和」の3つに分類し、個々人の特性に合わせた役割設計を考える上で重要になるのが、今回の「マクレランドの欲求理論」です。

「配慮」のつもりが「ミスマッチ」を生んでいないか?

  • 「手厚く指導しているのに、なぜか部下が不満げだ」
  • 「責任ある仕事を任せたはずなのに、プレッシャーで潰れてしまった」
  • 「『自律』を促そうと個別の専門業務を任せたのに、孤立感から意欲を失ってしまった」

管理職の皆様が「よかれ」と思って行った働きかけが裏目に出るケース。

その原因の多くは、部下が持つ「主要な欲求(心のエンジン)」を見誤っていることにあります。

心理学者デビッド・マクレランドが提唱した「三欲求理論(欲求理論)」は、人はそれぞれ異なる動機に突き動かされていることを示しています。
部下全員に同じ「動機づけ(報酬やフィードバック)」を提示しても、エンジンはかかりません。

1. 理論の解説:人を動かす「3つの欲求」

エンゲージメント
人間の動機づけに影響を与える主要な欲求は、以下の3つの強弱バランスによって決まります。

  • 達成欲求: 高い目標を自力で成し遂げたいという欲求。成功報酬そのものよりも、困難を克服することや自己成長に喜びを感じます。
  • 権力欲求: 他者に影響を与え、コントロールしたいという欲求。組織の意思決定や変革に関わることに価値を感じます(※組織のために力を使う「社会化された権力」を目指すことが重要)。
  • 親和欲求: 他者から好かれ、受け入れられたいという欲求。友好的な関係の維持や、対立を避けたチームでの協力を重視します。

2. 注意!現場で起きている「期待のミスマッチ」の悲劇

管理者が部下の欲求特性を無視して役割を割り当てると、エンゲージメントは劇的に低下します。

  • 例)達成欲求が強い人に、変化のない「ルーチン的な管理業務」を任せる。 → 成長の実感が持てず、「自分の能力を浪費している」と感じて離職を考え始めます。
  • 例)親和欲求が強い人に、一人で黙々とこなす「孤独な専門職」を任せる。 → 誰とも繋がれない不安から、精神的な疲弊を招きます。

これらの欲求は後天的に学習・強化が可能ですが、まずは現在の特性を把握し、適材適所を実現することがリーダーの最優先事項です。

3. 【活用手順】自走するチームを作るための3つのステップ

明日からのマネジメントに、以下のステップを取り入れてみましょう。

(1)欲求の特定(「何に突き動かされるか」を知る)

1on1などの対話を通じて、部下が過去に「最もやりがいを感じた瞬間」をヒアリングします。
「成果が出た時」か、「リーダーを任された時」か、「チームに貢献できた時」か。
そこから主要な欲求を特定します。

(2)仕事の再設計(裁量・責任・連携の調整)

特定した欲求に合わせ、「役割」をカスタマイズします。

  • 達成欲求者: 明確で挑戦的な目標を与え、進捗を数値で測定できる仕事に配置
  • 権力欲求者: 会議のファシリテーションや、他部署との調整役など、影響力を発揮できる場を与える
  • 親和欲求者: チーム環境が温かく、協力体制が不可欠な業務に配置

(3)フィードバックの個別化

  • 達成欲求者には「スキルの向上」を、
  • 親和欲求者には「周囲からの感謝」を伝える

など、相手の欲求に刺さる言葉を選びます。

管理者は「欲求の翻訳者」であれ

「最近の若手は何を考えているか分からない」と嘆く前に、彼らのエンジンを観察してください。

一人ひとりの内なる欲求を理解し、それに合った燃料(役割と言葉)を注ぐことで、組織の生産性は最大化されます。

株式会社バリュー・コア・コンサルティングでは、三欲求理論をベースにした「バランスの取れたチーム編成」や、「個別化された評価設計」の構築を支援しています。

  • 「全社一律の評価が、個々の熱意を阻害している」
  • 「誰にどの役割を任せるべきか、客観的な基準が欲しい」

そんな悩みをお持ちの経営層・管理職の皆様、 私たちは「成果を出すための仕組みをつくり、御社に合わせたやるべきことの絞り込みと具体的施策」を提供します。

個々の欲求が組織の目的と共鳴し、社員が自らの意志で走り出す「最強の自走型組織」を共に創り上げませんか?

  • なお、本コラムにおけるエンゲージメント理論の解釈は、弊社独自の観点によるものであり、内容の一部を抜粋してご紹介している点をご承知おきください

次回予告| エンゲージメントを高める「24理論」をそれぞれ解説


欲求のタイプに合わせた動機づけの重要性をご理解いただけたでしょうか。

次回は、欲求の先にある「努力が報われるという期待」が行動をどう変えるのか、「期待理論①」について詳しくお伝えします。

▼次のコラムはこちら
【エンゲージメント|(1)動機づけ理論】③期待理論①

▼過去の「エンゲージメント向上」コラムはこちら

  1. 【エンゲージメント|前提】「管理」から「成長支援」へ:Gallup Q12から読み解く
  2. 【エンゲージメント|全体像】自社に最適なエンゲージメント向上方法とは?24理論全体像
  3. 【エンゲージメント|(1)動機づけ理論】①マズローの五大欲求階層説


経営コンサルティングサービスのご案内

弊社(株式会社バリュー・コア・コンサルティング)では、以下5つのサービスを提供しております。

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弥左大志
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弥左大志(経営コンサルタント)

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企業にあわせた「勝ちパターン」を見出し、誰でも再現できる仕組みを構築。研修を起点に、現場での実行までサポートします。1.2倍超の売り上げアップの実績を誇り、金融機関やファンド会社からの依頼も多数。

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