【リーダーシップ】厳しい意思決定を恐れない管理職へ:チームを動かす“エッジ”の実践フレームとは [リーダーシップ⑤]
目次
“管理職の関与不足”が最大のボトルネック
日本の職場では、
- 「やりがいが感じられない」
- 「言われたことをこなすだけで終わる」
といった声が多く聞かれます。
その背景にあるのが、社員エンゲージメントの低さです。
2023年ギャラップ社の調査によれば、日本のエンゲージメント率はわずか6%。
世界平均(23%)と比較しても著しく低く、145カ国中最下位という結果でした。
またこの状況は4年連続で継続しており、構造的な問題を示唆しています。
「働きがいがない職場」に共通する課題と生産性への影響
エンゲージメントの低さは、単なる“やる気の問題”ではありません。
Gallup社のQ12指標によれば、認識されている働きがいや人間関係、環境整備、役割明確性などに対するポジティブな回答が極端に低いことが日本の職場の特徴とされます。
このような職場では、創造性や挑戦心が生まれにくくなり、最終的には個人のパフォーマンスにも悪影響を及ぼします。
その結果、組織全体の生産性が低下し、離職率の上昇にもつながるのです。
実際、日本の一人あたり労働生産性はOECD加盟国38か国中31位(2022年時点)とG7最下位。
1970年以降で最低水準とされ、その主因の一つに「社員エンゲージメントの低さ」が挙げられています。
本質的な考え方・再現性あるフレームワークの提示
フレーム1:エンゲージメント理論(全18理論)
エンゲージメントは、単なる感情の高揚ではなく、心理的・感情的な結びつきを構造的に形成する要素です。
以下の18理論をもとにしたアプローチが有効とされています:
- 内発的動機づけ理論(やりがいによる持続性)
- 自己決定理論(自律性有能感関係性)
- 職務特性理論(仕事設計)
- X理論/Y理論(人間観と管理)
- 社会的交換理論(信頼と相互支援)
- ゴール設定理論(挑戦と明確さ)
- サーヴァントリーダーシップ(幸福と信頼)
- ティール組織論(自己管理進化性) など
フレーム2:エンゲージメントを向上させる“6つのマネジメント領域”
エンゲージメントは「状態」ではなく、「関係性」や「働きかけ」によって構築されるものです。
そのため、現場での実行に向けては、個別の要因に対応した “タスク”として具体化することが鍵となります。
本一覧では、Gallup Q12やエンゲージメント理論に紐づく形で、管理職リーダーが日常的に実行すべきタスクを分類しています。
特に重要なのは、
- 「頻度(どのくらいの周期で実施すべきか)」
- 「ポイント(どこを押さえれば効果が出るか)」
をあらかじめ明文化し、再現性ある行動習慣として組み込むことです。
このフレームは「施策」としてだけでなく、マネージャー自身のマネジメント力の棚卸し自己点検としても活用できます。
| カテゴリ | 主なタスク | ポイント |
|---|---|---|
| 目標役割の明確化 | 成果期待の明文化、役割の言語化 | 業務開始前の期待のすり合わせが鍵 |
| 成果支援とリソース提供 | 情報環境整備業務プロセス改善 | 「詰まり」を解消する支援姿勢 |
| 心理的安全性の醸成 | 称賛失敗許容挑戦の場づくり | 信頼関係づくりが土台 |
| 信頼関係の構築 | 1on1対話価値観理解 | 共感応答の信頼性が分岐点 |
| キャリア支援 | 育成期待の言語化機会提供 | 「次を期待されている」感覚がカギ |
| 意義づけつながり支援 | 理念ミッション翻訳、共通認識化 | WHYの再確認が重要 |
実践に向けたチェックリスト
[チェックリスト:Gallup Q12(ギャラップキュートゥエルブ)]
- Q01. 私は仕事の上で、何を期待されているか分かっている
- Q02. 私は仕事に必要なリソースを持っている
- Q03. 毎日、自分の強みを活かせている
- Q04. この1週間で褒められた認められた
- Q05. 職場に自分を気にかけてくれる存在がいる
- Q06. 成長を後押ししてくれる人がいる
- Q07. 自分の意見が受け入れられていると感じる
- Q08. 会社のミッションが、仕事と結びついている
- Q09. 高い仕事基準で、同僚が真剣に取り組んでいる
- Q10. 最高の友人と呼べる人が職場にいる
- Q11. この半年間で、自分の成長を話し合ったことがある
- Q12. この1年で、学びや成長の機会があった
- eNPS(Employee Net Promoter Score):友人を自社に入社することを推奨する
最後に:リーダーシップが問われる「エンゲージメントの時代」
エンゲージメントの向上は、単なる“やる気”の問題ではなく、リーダーが責任を持って設計支援すべき“仕組み” の問題です。
Gallup社が報告するように、エンゲージメントの高い組織は、売上・利益率・顧客満足・生産性・離職率において顕著な成果を上げています。
一人ひとりの声を拾い、意義ある仕事と成長の機会を届ける。その日々の積み重ねこそが、未来の生産性と競争力につながるのです。
このコラムの内容は、以下のような企業様に特におすすめです:
- エンゲージメントの低さが気になる経営者人事ご担当者
- 管理職層のマネジメント力を強化したい企業様
- 離職率や生産性の改善に本質的な対策を講じたい組織
弊社では、管理職育成マネジメント支援エンゲージメント向上施策を一貫してご提供しています。
組織力強化に向けた伴走支援をご希望の方は、お気軽にご相談ください。
【会社案内・サービス概要資料】をすぐにご覧いただけます
当社の特徴や提供サービスをまとめた「会社案内・サービス概要資料」と「無料相談のご案内」をご用意しています。
「会社案内の資料」はフォーム入力なしで、すぐに内容をご確認いただけます。
ご検討中の企業様へ(1)|VCCの会社案内・サービス全体像ダウンロード
▼無料ダウンロードはこちら(フォーム入力なし)
「会社案内・5つのサービス」PDFを ”今すぐダウンロード” する
※ パスワード「 VCC2025 」を入力してください
ご検討中の企業様へ(2)|無料相談(予約制)のご案内
弊社(株式会社バリュー・コア・コンサルティング)では、以下5つのサービスを提供しております。
- 総合経営コンサルティング
- 勝ちパターン構築プログラム
- ワークショップ型 リアル研修プログラム
- ワークショップ型 eラーニング型 研修プログラム
- 講演・セミナー 開催
取材のご依頼や各種サービスに関するご相談・ご質問などに関し、『無料でご相談(オンライン)』をお受けしております。
以下フォームより、お気軽にお問い合わせください。
▼無料相談 予約URLはこちら
>無料相談(WEB)の日程調整をする
【First Step】前工程としての『リーダーシップ』手法を知りたい方はこちら
- 【リーダー① | 基本】“人望”ある管理職・経営層が実践するリーダーシップ4Eとは?
- 【リーダー② | エネルギー】管理職が持つべき「情熱」とは何か?エネルギー言語化6要素
- 【リーダー③ | エネルギー】熱意があるのに伝わらない。管理職が陥りやすい落とし穴と“内面3軸”
- 【リーダー④ | エナジャイズ】組織エネルギーを高める!優秀管理職のエナジャイズ仕組と育成法
- 【リーダー⑤ | エッジ】厳しい意思決定を恐れない:チームを動かす“エッジ”の実践フレームとは
- 【リーダー⑥ | エグゼキュート】「やり切る力」を成果に変える実践フレームと行動基準
- 【リーダー⑦ | 理念浸透】理念浸透しない組織は伸びない?“組織文化醸成”のステップ
- 【リーダー⑧ | スタンス】優秀管理者のスタンス・マインドとは?—4E+「経験学習×探求思考」実践法
【First Step】前工程としての『マネジメント』手法を知りたい方はこちら
- 【実マネ① | 基本】管理職が育たないのはなぜ?マネージャー向け”人材育成5原則”
- 【実マネ② | 対策_絞込】部下が”やりきれない”…。「成果の出る"SCI"優先順位付け
- 【実マネ③ | 課題_特定】部下の“課題”が分からない…。課題特定3要素の導入ステップ
- 【実マネ④ | 目標_設定】目標設定がズレていませんか?“成果につながる“KPI設定3視点
- 【実マネ⑤ | 行動_やり切らせる】「やり切れない部下」を”最後までやりきらせる”行動管理
- 【実マネ⑥ | 成長_促進】部下育成で「なぜ学びが定着しないのか?」 “成長マネジメント
- 【実マネ⑦ | 案件_サポート】「同じ相談が繰り返される…」脱却!1on1で部下育成に効く案件管理
- 【実マネ⑧ | モチベーション】部下の“やる気が出ない”のは“視点のズレ”? モチベーション管理
- 【実マネ(統合) | PDCA】PDCAが回らない本当の理由とは?成果が出る“高速PDCA”の実践法






