【リーダーシップ】“人望”ある管理職・経営層が実践するリーダーシップの4Eとは? [リーダーシップ①]
現場で起きている「スタンスのズレ」がリーダーシップを鈍らせる
- 「メンバーの成長を願っているのに、なぜか伝わらない」
- 「リーダーシップを発揮して伝えても、動いてもらえない」
- 「空気感を変えたいのに、同じことの繰り返し」──。
こうした悩みは、現場で多くの管理職が抱えるリアルな課題です。
実はこれらの背景には、「リーダー自身のスタンスやマインドのズレ」が影響していることが少なくありません。
リーダーが“正しいことを伝えている”つもりでも、部下は日々の姿勢や言動を通じて見ています。
どんな背中を見せているのか――リーダーのスタンスは、無言のメッセージとして組織に浸透していくのです。
リーダーのマインドセットが、組織の停滞要因に?
マネジメント研修や部下育成施策を行っても、成果が現場に定着しないことがあります。その要因の多くが「リーダー自身のマインドやスタンス」にあります。
例えば、組織や環境の変化に対して“待ち”の姿勢を取っていたり、目先の成果だけに目が向いていたりすることが挙げられます。
その結果、「思考の深まり」「信頼関係の構築」「育成の継続性」が弱まり、リーダーシップが機能しなくなるのです。
スタンスとマインドがつくるリーダーの成長サイクル
フレーム1:スタンス①|経験学習によるリーダーシップ開発の重要性
リーダーシップは「生まれ持った資質」ではなく、「経験を通じて育まれるもの」です。
この前提に立ち、コルブ(David A. Kolb)の経験学習モデルに基づいたリーダーシップ開発の考え方が広く活用されています。
経験学習モデルとは?
コルブは「人は経験を通して学ぶ」と定義し、以下の4つのプロセスを循環させることによって、行動変容や能力開発が進むとしています。
- 具体的経験(Concrete Experience):実際の仕事や挑戦、失敗などのリアルな体験
- 省察的観察(Reflective Observation):その体験について深く振り返り、意味を問い直す
- 抽象的概念化(Abstract Conceptualization):学びや原理を言語化し、自分なりの理論に変換
- 能動的実験(Active Experimentation):新たな行動として現場で試し、再び経験につなげる
このサイクルを繰り返すことにより、経験が“血肉化された学び”となり、リーダーシップスタンスやマインドが形成されていくのです。
現場での実践と自己内省が鍵
リーダーとして成長するには、「現場での挑戦経験(具体的経験)」と、「内省・対話」をセットにすることが不可欠です。
「経験→内省→学習→実践」という流れを止めずに回し続けることが、リーダー自身のスタンスを深化させ、持続可能なマネジメント力を養うのです。
そしてそのプロセスを、部下は日々の姿勢や言動を通じて見ています。
どんな問いを立てているのか、どう向き合っているのか、どんな背中を見せているのか――リーダーのスタンスは、無言のメッセージとして組織に浸透していくのです。
フレーム2:スタンス②|本質を掴み、未来を切り拓く探求の旅
(参考動画)未来を切り拓く探求の旅 —「正しさ」より「探求」を選ぶ姿勢
このTED Talkでは、「スカウト・マインドセット」と「兵士マインドセット」という2つの思考スタイルが紹介されます。
参考動画:間違っているのに正しいと感じるのはなぜなのか|ジュリア・ゲレフ(Julia Galef)]
- 兵士マインドセット:自分の信念を守ろうとする姿勢。新しい情報が入ってきても、それを拒否したり、都合よく解釈してしまう傾向があります。
- スカウトマインドセット:世界をできるだけ正確に理解しようとする姿勢。自分が間違っている可能性にも開かれており、学びや成長に向けて柔軟に思考します。
リーダーに求められるのは、まさにこの「スカウト・マインドセット」です。
重要なのは、“自分は本当に正しいのか?”と問い続ける探求の姿勢です。
そして、その問いこそが、新しい可能性に目を向け、未来を切り拓く鍵になります。
このマインドセットは、ロジカルシンキングやクリティカルシンキングといった技術と組み合わさることで、より強固な「探求するリーダーシップ」へと進化します。
スタンス補足:問いを深める“技術”としてのクリティカルシンキング
「問い続ける力」は、牽引型リーダーにとって本質を捉え、未来を切り拓くために欠かせない能力です。
この力を鍛えるための“技術”が、クリティカルシンキングです。
クリティカルシンキングとは、「前提や視点を疑いながら、問いを掘り下げ、判断の妥当性を検討する思考法」です。
よく混同されるロジカルシンキングが「筋道を立てて説明する思考法(論理展開の技術)」なのに対し、
クリティカルシンキングは「そもそも、その問いや論点は正しいのか?」を見直す“視点転換の技術”です。
クリティカルシンキングの軸とは:
- 仮説の論理性は?
- データや根拠は客観的か?
- 他に可能性はないか?
- 打ち手は実行可能か?
つまり、クリティカルシンキングは、「問い続ける力=探求力」を鍛えるための土台であり、牽引型リーダーが「本質」と「意味」を見抜くための“思考の武器”なのです。*別コラムにて詳細記載予定
フレーム3:マインド|牽引型リーダーの5マインド
組織を引っ張る牽引型リーダーには、以下のような「マインド」が求められます。
| マインド | 内容 |
|---|---|
| 率先垂範 | 自らが体現者となり、行動で信頼を築く |
| ビジョンを語る | 明確な方向性を示し、未来への意志を言語化 |
| 主体性(自責) | 環境や他者のせいにせず、自ら変化の起点になる |
| 言行一致 | 発言と行動が一致し、信頼を損なわない |
| 変化を導く | 自らが変化し、周囲を成長へと引き上げる |
実践に向けたチェックリスト|「4Eスタンス」自己診断
先程のスタンスと合わせて、以下のチェックリストを通じて、自身のリーダーシップスタンスを内省し、日常の行動に落とし込むことが重要です。
すべてを完璧にするのではなく、「常に問い続け、成長し続ける姿勢」を持つことこそ、リーダーに求められる姿勢なのです。
4E全体
- □自身のエネルギーを高め、他者に良い影響を与え、新しい挑戦を好奇心を持って受け入れることができるか?
- □他者を鼓舞し行動を促し、チームが成果を出すように刺激できるか?
- □困難な状況でも揺らがずに毅然とした意思決定を行い、誤りを恐れずに立ち向かえるか?
- □他の3つのEを活かしながら、目標を見失わずに物事を最後までやり遂げ、高い成果を達成できるか?
- □相互の信頼と協調的な思考から始まる「関係性の質」を築き、成功のサイクルを生み出しているか?
- □自分自身とチームメンバーを「コンフォートゾーン」から「ラーニングゾーン」へと導き、成長の機会と挑戦への励ましを提供できているか?
エネルギー
- □自身のエネルギーを言葉で表現し、明確な価値観と目標をもってチームを導けているか?
- □自身の過去を振り返り、個人的なミッションを明確にし、内なる情熱を言葉と行動で伝え続けられているか?
- □自身の人生観や仕事観を明確にし、一貫した判断、部下からの共感、モチベーションと回復力の源泉としているか?
- □組織や他者に意図的に害を与えない、誠実さ(インテグリティ)を最も重要な資質として持っているか?
- □他者からのフィードバックを通じて、自分自身の見えていない側面を理解し、受け入れることができるか?
エナジャイズ
- □組織とメンバーの内発的エネルギーを高め、前向きな行動と協働を促進する「エナジャイズ」を実践しているか?
- □メンバーが「できる」ことを広げ、「やりたい」ことを引き出し、それを組織の目標である「すべき」ことと結びつけられているか?
- □メンバーの能力と自律性を信頼し、適切な権限を委譲することで、彼らが主体的に行動し、成長する機会を提供できているか?
エッジ
- □困難な意思決定を行い、競争力を持ち、スピードを重視し、進退の判断に自信を持ち、矛盾する状況でも揺るがない「Edge(意思決定力)」を持っているか?
- □チームの未来を信じ、前進のためにリスクを冒す勇気と責任を持っているか?
エグゼキュート
- □いかなる状況においても結果を出すための、最優先の思考と行動への執着(エグゼキュート)を持っているか?
- □希望的観測を捨て、現場の事実を言語化し、意思決定に活かせているか?
- □100%の完璧を目指すのではなく、70%の完成度でも迅速に意思決定を行えているか?
- □「行動」だけでなく「結果」にこだわり、戦略を即座に修正する姿勢を持っているか?
- □スキルギャップに直接向き合い、モチベーションだけでなく能力に基づいて人員配置を決定しているか?
最後に:管理者・幹部育成における“軸”の本質とは?
リーダーのスタンスとマインドは、組織の未来を形づくる「根幹」です。
牽引型リーダーとしてのスタンスを内在化することで、育成・マネジメント・意思決定・文化形成において、真に信頼される存在となることができます。
幹部・次世代リーダー育成を見据える今、企業にとって最も投資すべき領域が「リーダーの在り方」そのものであることは、言うまでもありません。
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