【リーダーシップ】理念浸透しない組織は伸びない?“理念浸透5ステップ”と”変革組織文化醸成”の手法 [リーダーシップ⑦]
「やる気はあるのに、高い目標の達成ができない…」管理職・経営層のジレンマ
「高い目標を掲げたけれど…」
たとえば、期初に「前年比200%」といった大胆な売上目標を掲げたものの、四半期・半期と進むにつれて「やっぱり厳しいよね…」「そもそも無理だったんじゃないか…」といった“あきらめムード”が組織内に広がってしまう。そんな経験はありませんか?
- リーダー自身も、「達成しよう」と言葉では言っているけれど、具体的な打ち手が浮かばず、どこか「本音では諦めかけている」ように見える…。
- 部下からは「結局、気合いだけじゃないか」「指示がふわっとしていて実行しづらい」といった声が漏れ始める――。
これは決して珍しい風景ではありません。
「やる気はある」「目標も掲げている」――それでも結果が出ない。多くの管理職がこのジレンマに直面しています。
- 「リーダーが結果を出せない。」
- 「無理だと思った瞬間に“できるわけない”と諦めてしまう。」
- 「口では“やり切る”と言っていても、本気で達成できると思っていない。」
- 気づけば「“やったかどうか”という基準になってしまっている…」
これは、現場の多くのリーダーが抱える実態です
目標を掲げることと、実際に“やり切ること”と、”必ず結果を出すこと”の間には、大きな壁があります。
そしてその壁を乗り越えるには、「エグゼキュート=やり切る力」を再現可能な形で組織に根付かせる必要があるのです。
背景にある構造的な問題と影響
目標未達の原因が「頑張り」や「やる気」の問題とされる一方で、肝心の「やり切る仕組み」や「打ち手を決める責任」が個人に任され、組織的に支えられていないことがしばしばあります。
特に、管理者・経営層自身がリーダーシップを発揮しきれず、周囲が難しいと感じている時こそ「必ず結果を前提に完遂する」という実行責任が曖昧になっていることが多いのです。
また、実際の現場では、以下のような状態が継続していることが多くあります:
- 数字や現場の事実ではなく“願望”で判断している
- ネガティブな情報の吸い上げが遅く、手が打てない
- 判断を後回しにし、「やったこと」だけで自己満足してしまう
結果を前提とした「やり切る力=エグゼキュート」は、才能ではなく明確な行動基準として定義できるのです。
管理職が「やり切る力=エグゼキュート」を発揮するための実践フレームと行動基準
フレーム①:エグゼキュートとは?
ジャック・ウェルチは、成果を出すリーダーに共通する4つのEのうち、 最終的に最も重要なのが「Execute(エグゼキュート)=やり切る力」
だと述べました。
- EXECUTE ~場外ホームランをかっ飛ばせ~
「エグゼキュートのある人物は、常に結果を出す。
当初の目標でさえ霞むほどの成果をあげる。
他の資質も、成果を上げるために活かされなければ無価値である。」
(出典:ジャック・ウェルチ『リーダーシップ4つの条件』)
つまり、エグゼキュートとは「計画通りに動くこと」ではなく、
「どんな状況でも成果を出し切る、最優先思考と行動への執着」を意味します。
フレーム②:エグゼキュートの実践 4つの概念
- 現実直視:希望的観測を捨て、現場の事実を言語化し、意思決定に活かす
- 決断スピード:100点ではなく、70点でも最速で動く判断が成果を呼ぶ
- 成果執着:行動量ではなく“成果”にこだわり、打ち手を即時修正
- 人材配置:能力差を直視し、“やる気”だけで判断しない配置を徹底
特にマネジメントの現場では、「慎重すぎる判断」「前提条件の過剰整理」「部下の事情への忖度」などが、実行スピードを著しく阻害しています。
エグゼキュート型の管理職は、完璧を求めず、スピードと打ち手に執着し、結果を取りにいく姿勢を徹底します。
フレーム③:チェックリストで自己評価する
次の10項目は、リーダーの「エグゼキュート力」を日常的に点検するためのスコアカードです。
| No. | 視点 | チェック内容 |
|---|---|---|
| 1 | 現実直視 | 願望ではなく、現場の事実に基づいて判断しているか |
| 2 | 現実直視 | 楽観的な見通しを疑い、悪い情報ほど早く吸い上げているか |
| 3 | 決断力 | 7割の情報で意思決定している(完璧主義に陥っていないか) |
| 4 | 決断力 | 判断を先延ばしにせず、動いた後に修正しているか |
| 5 | 成果執着 | 毎週「成果指標」を明確に定義し、実行しているか |
| 6 | 成果執着 | “やったか”でなく、“成果につながったか”を自問しているか |
| 7 | 行動管理 | ToDoでなく“成果が出る打ち手”を最優先にしているか |
| 8 | チーム配置 | パフォーマンスに応じた役割と期待値の見直しをしているか |
| 9 | フィードバック | 部下に対し「率直かつ勇気あるフィードバック」をしているか |
| 10 | 巻き込み力 | チームの中で“自分が責任を持って旗を振っている”と言えるか |
実践ステップ:残り1ヶ月でやり切る意思決定力を鍛える
以下は、体感ワークショップのケース事例です。実務に即した意思決定力を磨くための、実行フェーズの問いと解法が整理されています。
ケース条件
- 期末まで1ヶ月
- 目標:売上3億円に対して進捗70%(残差:9,000万円)
- 請求ベースでの達成が条件、追加人員なし、値引きNG
補足条件
あといくら請求すれば達成か?そのために何件成約が必要か?
- 残差:9,000万円
- 平均単価:300万円 → 必要件数:30件
- ただし、今期中に請求できる商談数・金額は限られている
今期中に「請求できる確実性の高い商談」はどれか?
- 受注済:3,000万円(全額)
- 見込みA:3,750万円 × 50% = 1,875万円
- 見込みB:5,600万円 × 30% = 1,680万円
合計請求見込み:6,555万円
このままでは未達:約2,500万円のギャップが残る
質問
- 「あなたが営業本部長だったら、この状況をどう突破するか?」
- 「1ヶ月で“確実に成果が出る”リソース配分に変更するなら、どこに・誰を?」
- 「数字を“やり抜く”ために、何を見える化し、何を切り捨てるか?」
エグゼキュート思考の手順(回答事例)
【概念①:現実直視】
- 現在の受注見込から、未接触案件は除外(実現可能性が低いため)
- A/B案件で6,555万円の請求見込み ⇒ 残ギャップ:2,500万円
- 受注から請求までのリードタイムを正確に把握し、短縮策を検討(例:請求処理の前倒し)
【概念②:決断スピード】
- 売上確度が高いB案件に重点人材を再配置(営業メンバーA・Eを集中対応へ)
- 会議での情報整理を省略し、SlackやKPIシートを即時判断材料とする
- 未定案件への判断を保留せず、「切る」or「やる」を即決
【概念③:成果執着】
- KPIの見直し:営業会議では“行動数”でなく“請求進捗率”を日次管理に変更
- 顧客単価をもとに、「何件でギャップを埋めるか」を明確化(30件で9,000万円を埋める)
- 「やった感」ではなく、「実際に請求された金額」をベースに自己評価を徹底
【概念④:人材配置】
- パフォーマンス別に役割再設計:「未達続きのDさんには訪問同行」
- 「成果率の高いEさんは受注クロージング専任」
- プレイヤー比率の見直し:管理業務比重が高いCさんの業務を分担し、案件対応に集中
- 必要であれば、社内別部署からの応援稼働を検討し、人員リソースを再定義
このように、“精神論で鼓舞する”のではなく、「成果を前提とした現実直視」と「役割の再設計」こそが、“やり切る力”を最大化させるリーダーの意思決定です。
実践に向けたチェックリスト
- 現場事実をもとに判断しているか?(願望ベースになっていないか)
- 悪い情報ほど早く吸い上げているか?
- 7割の情報で即決しているか?
- 判断を後回しにしていないか?
- 毎週成果指標を定めているか?
- 「やったか」より「成果が出たか」で自己評価しているか?
- やるべきToDoより、成果が出る“打ち手”を優先しているか?
- 役割や期待値を見直し、適材配置を実行しているか?
- 部下へ率直なフィードバックをしているか?
- チームの中心として旗振りの責任を果たしているか?
最後に:管理職が“やり切る力”を持つことで組織が変わる
- マネジメントにおいて最も重要なのは「結果を出し切る力」です。
- EXECUTEは精神論ではなく、行動基準と判断軸に基づいた“やり切る技術”です。
- “数字”と“現場”に向き合い、今あるリソースでやり切る。
これを体現できる管理職こそが、組織を本質的に動かす真のリーダーです。
このコラムの内容は、以下のような企業様に特におすすめです:
- 管理職研修・マネジメント研修をご検討中の企業様
- プレイングマネージャーが育ち切らない組織
- 成果主義に偏りすぎたチームを再設計したいリーダー層
弊社では、管理者育成・マネージャー研修・組織マネジメント支援を一貫してご提供しています。
貴社にあった“成果の出るマネジメント支援”をお求めの際は、お気軽にご相談ください。
【会社案内・サービス概要資料】をすぐにご覧いただけます
当社の特徴や提供サービスをまとめた「会社案内・サービス概要資料」と「無料相談のご案内」をご用意しています。
「会社案内の資料」はフォーム入力なしで、すぐに内容をご確認いただけます。
ご検討中の企業様へ(1)|VCCの会社案内・サービス全体像ダウンロード
▼無料ダウンロードはこちら(フォーム入力なし)
「会社案内・5つのサービス」PDFを ”今すぐダウンロード” する
※ パスワード「 VCC2025 」を入力してください
ご検討中の企業様へ(2)|無料相談(予約制)のご案内
弊社(株式会社バリュー・コア・コンサルティング)では、以下5つのサービスを提供しております。
- 総合経営コンサルティング
- 勝ちパターン構築プログラム
- ワークショップ型 リアル研修プログラム
- ワークショップ型 eラーニング型 研修プログラム
- 講演・セミナー 開催
取材のご依頼や各種サービスに関するご相談・ご質問などに関し、『無料でご相談(オンライン)』をお受けしております。
以下フォームより、お気軽にお問い合わせください。
▼無料相談 予約URLはこちら
>無料相談(WEB)の日程調整をする
【First Step】前工程としての『リーダーシップ』手法を知りたい方はこちら
- 【リーダー① | 基本】“人望”ある管理職・経営層が実践するリーダーシップ4Eとは?
- 【リーダー② | エネルギー】管理職が持つべき「情熱」とは何か?エネルギー言語化6要素
- 【リーダー③ | エネルギー】熱意があるのに伝わらない。管理職が陥りやすい落とし穴と“内面3軸”
- 【リーダー④ | エナジャイズ】組織エネルギーを高める!優秀管理職のエナジャイズ仕組と育成法
- 【リーダー⑤ | エッジ】厳しい意思決定を恐れない:チームを動かす“エッジ”の実践フレームとは
【Next Step】次に必要な『リーダシップ」の手法を知りたい方はこちら
- 【リーダー⑦ | 理念浸透】理念浸透しない組織は伸びない?“組織文化醸成”のステップ
- 【リーダー⑧ | スタンス】優秀管理者のスタンス・マインドとは?—4E+「経験学習×探求思考」実践法
- 【リーダー⑨ | エンゲージメント】生産性を変える──リーダーが取り組むべき仕組みと実践法
【First Step】前工程としての『マネジメント』手法を知りたい方はこちら
- 【実マネ① | 基本】管理職が育たないのはなぜ?マネージャー向け”人材育成5原則”
- 【実マネ② | 対策_絞込】部下が”やりきれない”…。「成果の出る"SCI"優先順位付け
- 【実マネ③ | 課題_特定】部下の“課題”が分からない…。課題特定3要素の導入ステップ
- 【実マネ④ | 目標_設定】目標設定がズレていませんか?“成果につながる“KPI設定3視点
- 【実マネ⑤ | 行動_やり切らせる】「やり切れない部下」を”最後までやりきらせる”行動管理
- 【実マネ⑥ | 成長_促進】部下育成で「なぜ学びが定着しないのか?」 “成長マネジメント
- 【実マネ⑦ | 案件_サポート】「同じ相談が繰り返される…」脱却!1on1で部下育成に効く案件管理
- 【実マネ⑧ | モチベーション】部下の“やる気が出ない”のは“視点のズレ”? モチベーション管理
- 【実マネ(統合) | PDCA】PDCAが回らない本当の理由とは?成果が出る“高速PDCA”の実践法




