【リーダーシップ】組織エネルギーを高める!優秀管理職が実践する“エナジャイズ”の仕組みと育成法 [リーダーシップ④]
目次
決断できない管理職が生む「現場の停滞」
- 「成果が出ていない部下に、どう伝えればいいか分からない」
- 「評価や配置の判断に迷い続け、結局先延ばしにしてしまう」
- 「組織改革を進めたいが、全員の意見を聞いていたら動けない」
このような悩みを抱える管理職は少なくありません。特に、マネジメント層に求められる「意思決定力=エッジ(Edge)」を持てていない場合、チームの成長スピードや士気、企業の競争力に大きな影響を与えることになります。
背景にある構造的な問題と影響
現代のマネジメント現場では、「スピード重視の成果主義」と「多様性・対話重視の人間関係」の狭間で、意思決定が困難になっている構造があります。その結果…
- 判断を先延ばしにし、部下の成長機会を奪ってしまう
- 不適合な人材配置や評価の曖昧さがチームの不満につながる
- 「言うべきことを言えない」ことで、信頼が低下する
つまり、管理者・経営層のリーダーシップにおける“エッジ(厳しい決断をする力)”が欠如していると、組織の推進力そのものが失われるリスクがあるのです。
チームを動かす“エッジ”の実践フレームとは
フレーム1:エッジ(意思決定力)とは何か?
「EDGE(エッジ)」とは、管理職がリーダーとして持つべき「厳しい判断を下す力」を意味します。ジャック・ウェルチの定義では以下のように記されています。
「エッジのある人物は、競争心に富み、スピードの価値を知っている。自信に溢れ、いつゴーサインを出し、いつストップをかけるかを心得ている。矛盾した状況でも迷うことはない」
つまり、“判断の遅れ”が組織全体の士気や方向性を鈍らせる中、信念を持ってスピーディに決断できることが、管理職に求められるリーダーシップの一つなのです。
フレーム2:エッジを形成する4つの意思決定観
1. Rank & Yank(20-70-10ルール)
上位20%には報酬・機会、中位70%には育成、下位10%には配置転換または厳しい判断。パフォーマンスに基づく明確な判断基準を持ち、人材を区別することが重要です。
- 明確な基準に基づいて人材に対する難しい決断を下す
- この判断には、単なる数字だけでなく、その人の潜在能力や組織への貢献度を見極める深い洞察力が必要
2. ストレッチ目標(Stretch Goals)
実現可能な目標ではなく、あえて高い壁を設定し、現状を打ち破るための挑戦を促す判断力。未来から逆算し、変革を推進する姿勢が必要です。
- 現状維持ではなく「未来を切り開くための大胆な意思決定」
- その目標達成のために、従来のやり方や慣習を打ち破る「決断」が必要
3. 境界なき組織(Boundaryless Organization)
部門・役割・肩書を超えて議論し、情報を交差させる環境を構築。意思決定においても「どこから提案されたか」より「何を言っているか」を重視する姿勢です。
- 従来の縦割り組織の慣習を打ち破る「変革への意思決定」が必要
- 異なる部門や役職の人々の意見を統合し、最適な意思決定を下す
4. スピード・シンプル・自信(Speed, Simplicity, Self-Confidence)
複雑な判断を単純化し、迅速に意思決定するためには、「自信」も不可欠です。情報を集めた上で、最後は“腹をくくる”勇気が問われます。
- スピード : 市場の変化に迅速に対応し、機会を逃さない
- シンプルさ : 複雑な問題を単純化し、本質を見抜くことで、明確な意思決定を可能にする
- 自信 : 自身の判断を信じ、迷いなく実行する力(裏付け含む)
フレーム3:9ブロックによる意思決定マトリクス(Rank & Yankに向けた視点)
実際に人材評価や配置判断を行う際、「感覚」ではなく、「成果」と「マインド」の2軸で構造的に整理するのが“9ブロック”です。(1. Rank & Yank(20-70-10ルール)活用時)
このフレームでは、縦軸に「業績(パフォーマンス)」、横軸に「行動指針・マインド(価値観への適合)」を配置し、各メンバーを分類します。
たとえば、「成果は高いが価値観に合わない」人材と、「成果はまだだが誠実に行動している」人材とでは、今後の支援・配置方針が変わるはずです。
“数値だけ”“態度だけ”の評価ではなく、両軸のバランスをもって意思判断を行うことが、エッジあるマネジメントの基本となります。
実践ステップ(具体的事例を使って読み解く)
Step1:現状の人材マッピング(9ブロック評価)を実施する
まずは、自チームのメンバーを「成果 × 行動姿勢」で分類し、今の配置や評価が妥当かを見直します。リーダー自身の“思い込み”を排除するためにも、複数の視点(他部署・役職者など)からの意見を加味することが重要です。
特に、組織の屋台骨を支える「安定・実直」な人材が過小評価されていないか、「数字だけのエース」が風土を乱していないかは、エッジの効いた判断を要します。
Step2-1:ストレッチ目標を設定し、成長機会のワークを行う
優秀層に対しては、“現状維持ではない挑戦”を課すことで、さらに視座を引き上げる必要があります。ここで重要なのは「未来逆算で考える目標設定」です。
たとえば、以下のようなワークを経営者、管理者とで実施してみてください。
- [ケース] 現状の延長線上にはない、非常に挑戦的な「ストレッチ目標」を設定してください。(例: 売上3年で2倍、新規市場でシェア1位など)
Step2-1:“境界”を壊し、異なる視点で意思決定を行う
組織には無意識の“前提”が根付いています。「この人は営業だから」「若手にこれはまだ無理」といった枠組みを超え、フラットな視点で情報を集め、意思決定を行う文化をリーダー自らが実践することで、組織は柔軟性を取り戻します。
[検討軸] そのストレッチ目標を達成するための
- 「境界なき」戦略(部門横断、既存の枠にとらわれない発想)を立案してください(この際、リソースの制約や既存の組織構造への影響も考慮に入れる)
- 達成のために乗り越えるべき最大の障害は何か、どのような「エッジ」の効いた決断が 必要か、などを議論してください。
- なぜ、そのような意思決定かを説明してください。
Step2-3:“シンプルでスピーディ"な視点で意思決定を行う
- 実行に移すための 「シンプルでスピーディな戦略」を立ててください
“誰が言ったか”ではなく“何を言ったか”を評価軸にすることも、エッジの重要な要素です。
Step4:意思決定の精度とスピードを高める習慣を持つ
エッジのあるマネージャーは、「考え込まない」「迷い続けない」習慣を持っています。
- 日々の判断に“タイムリミット”を設ける
- 判断の根拠を3行でまとめる
- 結果よりも“判断までのプロセス”を振り返る
こうしたトレーニングを通じて、意思決定力は磨かれていきます。
実践に向けたチェックリスト
- □チーム内で「配置転換」や「ストレッチ配属」を検討したか
- □部下の評価を“成果”だけで行っていないか
- □フィードバック時に“伝えるべきこと”を曖昧にしていないか
- □判断のプロセスを他の管理職と対話しているか
- □今期、自分が最後に「迷わず決断した」事例は何か
- □難しい判断を「避けてきたテーマ」は無いか
最後に(導入成果・未来像・管理職としての理想)
管理職の意思決定力(エッジ)は、単に「厳しい人」「白黒つける人」になることではありません。
“チームの未来を信じ、リスクをとってでも前進する”勇気と責任を引き受ける覚悟です。
メンバーの人生、組織の方向性、企業の競争力。
そのすべてが、日々の意思決定に宿ります。今こそ、“避けてきた判断”と向き合い、エッジあるマネジメントを体現していきましょう。
このコラムの内容は、以下のような企業様に特におすすめです:
- 管理職研修・マネジメント研修をご検討中の企業様
- 部下育成・評価制度にお悩みの中小企業・人事ご担当者様
- 意思決定のスピードや質を改善したい経営層・事業責任者様
弊社では、管理職育成・マネジメント支援・意思決定研修を一貫してご提供しています。
状況に応じた「現場変革型のエッジ強化プログラム」もご用意しております。お気軽にご相談ください。
【会社案内・サービス概要資料】をすぐにご覧いただけます
当社の特徴や提供サービスをまとめた「会社案内・サービス概要資料」と「無料相談のご案内」をご用意しています。
「会社案内の資料」はフォーム入力なしで、すぐに内容をご確認いただけます。
ご検討中の企業様へ(1)|VCCの会社案内・サービス全体像ダウンロード
▼無料ダウンロードはこちら(フォーム入力なし)
「会社案内・5つのサービス」PDFを ”今すぐダウンロード” する
※ パスワード「 VCC2025 」を入力してください
ご検討中の企業様へ(2)|無料相談(予約制)のご案内
弊社(株式会社バリュー・コア・コンサルティング)では、以下5つのサービスを提供しております。
- 総合経営コンサルティング
- 勝ちパターン構築プログラム
- ワークショップ型 リアル研修プログラム
- ワークショップ型 eラーニング型 研修プログラム
- 講演・セミナー 開催
取材のご依頼や各種サービスに関するご相談・ご質問などに関し、『無料でご相談(オンライン)』をお受けしております。
以下フォームより、お気軽にお問い合わせください。
▼無料相談 予約URLはこちら
>無料相談(WEB)の日程調整をする
【First Step】前工程としての『リーダーシップ』手法を知りたい方はこちら
- 【リーダー① | 基本】“人望”ある管理職・経営層が実践するリーダーシップ4Eとは?
- 【リーダー② | エネルギー】管理職が持つべき「情熱」とは何か?エネルギー言語化6要素
- 【リーダー③ | エネルギー】熱意があるのに伝わらない。管理職が陥りやすい落とし穴と“内面3軸”
- 【リーダー④ | エナジャイズ】組織エネルギーを高める!優秀管理職のエナジャイズ仕組と育成法
【Next Step】次に必要な『リーダシップ」の手法を知りたい方はこちら
- 【リーダー⑥ | エグゼキュート】「やり切る力」を成果に変える実践フレームと行動基準
- 【リーダー⑦ | 理念浸透】理念浸透しない組織は伸びない?“組織文化醸成”のステップ
- 【リーダー⑧ | スタンス】優秀管理者のスタンス・マインドとは?—4E+「経験学習×探求思考」実践法
- 【リーダー⑨ | エンゲージメント】生産性を変える──リーダーが取り組むべき仕組みと実践法
【First Step】前工程としての『マネジメント』手法を知りたい方はこちら
- 【実マネ① | 基本】管理職が育たないのはなぜ?マネージャー向け”人材育成5原則”
- 【実マネ② | 対策_絞込】部下が”やりきれない”…。「成果の出る"SCI"優先順位付け
- 【実マネ③ | 課題_特定】部下の“課題”が分からない…。課題特定3要素の導入ステップ
- 【実マネ④ | 目標_設定】目標設定がズレていませんか?“成果につながる“KPI設定3視点
- 【実マネ⑤ | 行動_やり切らせる】「やり切れない部下」を”最後までやりきらせる”行動管理
- 【実マネ⑥ | 成長_促進】部下育成で「なぜ学びが定着しないのか?」 “成長マネジメント
- 【実マネ⑦ | 案件_サポート】「同じ相談が繰り返される…」脱却!1on1で部下育成に効く案件管理
- 【実マネ⑧ | モチベーション】部下の“やる気が出ない”のは“視点のズレ”? モチベーション管理
- 【実マネ(統合) | PDCA】PDCAが回らない本当の理由とは?成果が出る“高速PDCA”の実践法






