【リーダーシップ】組織エネルギーを高める!優秀管理職が実践する“エナジャイズ”の仕組みと育成法 [リーダーシップ④]

弥左大志

弥左大志

テーマ:リーダーシップ

エネルギーが伝わらない…チームを動かす“熱量”が生まれない職場とは?

  • 「目標は明確なのに、現場が動かない」
  • 「プレイヤーは優秀だが、チームの一体感がない」
  • 「メンバーにやらされ感が広がり、自律的な動きが見えない」

多くの管理職が感じているこの「見えない停滞感」の背景には、“組織のエネルギー不足”という構造的な問題があります。

マネジメントが数値やKPIに偏り、関係性や成長に対する投資が後回しになると、組織の活力そのものが損なわれていきます。
メンバーが自ら動き、挑戦し、協働しながら成果を生み出す。その状態をつくるには、「エナジャイズ(ENERGIZE)」の視点が不可欠です。

背景にある構造的な問題と影響

成果至上主義やトップダウン型のマネジメントが続くなかで、メンバーの意欲や主体性が軽視される傾向があります。特に以下のような状況が見受けられます。

  1. 「やらされ感」が蔓延し、挑戦を避ける空気が生まれる
  2. メンバーの成長意欲が低下し、自律的な行動が減少
  3. リーダーとメンバー間の信頼関係が希薄になる

これは、エネルギーの供給源である「内発的動機」や「自己決定性」が満たされていないためです。
単なる業務指示ではなく、関係性・価値観・成長機会を意識したリーダーシップマネジメントが求められます。

マネジメントに必要なのは、「どう動かすか」ではない

しかし現場では、よくある課題として「エナジャイズ(勇気づけ)」に注力すると、組織のスピードが落ちる・結果が出ない・相手のペースになりすぎる、といったジレンマが発生しがちです。
結果として、

  • エナジャイズが形骸化
  • 実践されないまま放置される

ケースも少なくありません。
これは、「成果スピードを最大化するためのエナジャイズ手法」が十分に体系化・仕組み化されていないことが原因のひとつです。

感覚や個人の性格に頼るのではなく、再現可能なフレームとして整備することが、今の組織には求められています。
本コラムでは、部下や組織の内発的エネルギーを高める“エナジャイズ・マネジメント”の考え方と実践法を紹介します。

管理職が実践すべき“エナジャイズ”の仕組みと育成法

【フレーム1】エナジャイズとは何か?(ENERGIZEの定義)

エナジャイズとは、「組織やメンバーの内発的なエネルギーを高め、前向きな行動と協働を促す」マネジメントの考え方です。
ジャック・ウェルチが定義するENERGIZEの要素:

周囲を鼓舞し、行動を促す存在になること
実績をあげて刺激を与えること
ネガティブな関係性や分断を排除すること
中傷や誹謗を許さず、信頼を軸に組織をまとめること ー ジャック・ウェルチ

この視点は、ピラミッド構造から相互支援型マネジメントへの転換を促します。
エナジャイズ2
エナジャイズ

【フレーム2】ENERGIZEを仕組み化する4つの視点(自己決定理論ベース)

ENERGIZEを継続的に実践するには、以下4つの視点を仕組みとして取り入れることが有効です:

フェーズ視点具体的な関わり方
0エネルギー言語化ビジョン提示+ストーリーテリングで言葉以上の“在り方”を示す
1意義づけ(動機づけ)一人ひとりを尊重しながら同じ目標に向かう状態
2自律性(役割分担)明確な役割と裁量を与え、創意工夫を促す状態
3共感・承認・連帯(関係)信頼関係と連携により、挑戦と学習の循環を生む状態

これにより、トップダウンではなく、ネットワーク型で成果を生み出す組織文化が形成されていきます。
「0.エネルギー言語化」については、【リーダーシップ】管理職が持つべき「情熱」とは何か?エネルギー言語化の6要素 [リーダーシップ②]を参照ください。

【フレーム3】メンバーの“Can”を広げ、“Want”を“Must”に繋ぐ育成視点

エナジャイズを実現するには、メンバーの「できること(Can)」「やりたいこと(Want)」「やらなければならないこと(Must)」
のバランスを設計する視点が重要です。

  • “Can”を広げる:強み・経験・環境を整えることで「できる」感覚を育む
  • “Want”を引き出す:本人の内発的な希望や価値観に光を当て、引き出す
  • “Must”に繋げる:組織目標との接続を行い、納得感ある挑戦へ導く

*Wantのポイント:

本人の「こうありたい」「やってみたい」と感じる気持ちに寄り添い、内発的なエネルギーの源を探ります。
ここで重要なのは、“すごく先の将来像”でなくても良いということです。
また、“鮮明で明確な目標”でなくても構いません。
まずは、小さな関心や過去の経験に光を当て、言語化することから始めましょう。
たとえば、「ライフウェイクシート」などを活用して、これまでの人生の中で「どんなときに楽しかったか」「どんな瞬間にやりがいを感じたか」といった記憶を掘り起こし、そこから本人が持つ“価値観”や“方向性”を一緒に見つけていくことが有効です。
(*「ライフウェイクシート」については、【リーダーシップ】管理職が持つべき「情熱」とは何か?エネルギー言語化の6要素 [リーダーシップ②]を参照ください。
このように、過去のポジティブな体験や感情の根にある「Want」を丁寧に拾い上げることが、将来のキャリア設計やモチベーションの源泉となる支援につながります。

この3つをつなぐことで、やらされ感のない「自律的挑戦」が生まれます。
組織目標の共有だけでなく、個人の意志や価値観を起点に対話を重ねることが、エナジャイズマネジメントの本質です。
エナジャイズ3

実践ステップ(具体的事例を使って読み解く)

Step1:CDPシートの作成と共有

エナジャイズの第一歩は、部下自身が「どうなりたいか」「どんな成長を目指すか」を考える場を提供することです。この際に活用できるのが「CDP(キャリア・ディベロップメント・プラン)シート」です。
たとえば、ある企業では、CDPシートに以下のような質問が盛り込まれています:

  • あなたが3年後に目指したい状態は?
  • 現在の強み・弱みは?(客観・主観)
  • 会社に期待する支援は?

このような問いに部下自身が答えることで、「自分がどうなりたいのか」「どう支援してほしいか」を言語化し、管理職が伴走する形で“エネルギー”の方向性が共有されていきます。

Step2:キャリア対話によるエネルギー設計

CDPシートを元に、上司と部下で定期的なキャリア対話を実施することで、部下の“Want(意志)”を再確認し、Can(できる)を伸ばし、Must(やるべき)との接続を図ります。
この対話では、エナジャイズを実現する以下の4ステップを意識することが重要です:

  • 1.Want(やりたい)を引き出す
  • 2.Can(できる)を認識させる
  • 3.Must(やるべき)との接続を設計する
  • 4.全体像をエネルギーある言葉で共有する

これにより、“やらされ感”ではなく“やりたい”で動く土台が形成されます。

実践に向けたチェックリスト

  • □メンバーに対して“エネルギ-”を明確に言葉で伝えているか
  • □チームに前向きなエネルギーを発信できているか
  • □部下のWant(やりたいこと)を明確に聞き出しているか
  • □部下一人ひとりの“Can”を見つけて支援できているか
  • □Must(やるべき)との接続を丁寧に設計している
  • □部下とのキャリア対話を定期的に行っているか
  • □CDPやキャリアプランを部下と共有できているか
  • □メンバーの変化や内面の成長に気づいて承認しているか

最後に(導入成果・未来像・管理職としての理想)

ENERGIZEマネジメントの本質は、「やらされ」ではなく「やりたい」を引き出す仕組みと自律性を設計することです。
Want・Can・Mustの三要素をつなぎ、メンバーが自らのエネルギーで行動する状態をつくることが、持続可能な成果を生む組織の鍵です。

このコラムの内容は、以下のような企業様に特におすすめです:

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弥左大志(経営コンサルタント)

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