【管理職向け】部下のモチベーションが低い原因は?管理職が知るべき4つの改善視点 [実行マネジメント⑧]

弥左大志

弥左大志

テーマ:実行マネジメント

部下の“やる気”が出ないのは、視点のズレが原因かもしれない

「注意しても動かない」「スピードが遅い」「何をやっても続かない」──
そんなとき、「もっとやる気を出してほしい」と部下に思うことは、管理職として自然な感情です。
しかし、その“やる気が出ない状態”は、部下の性格や能力の問題ではなく、
マネージャー側の“モチベーション管理の視点”がズレていることに起因している場合が多いのです。

本コラムでは、エンゲージメント向上に向けた「モチベーションとは何か?」「やる気をどう上げるか?」という本質的な問いに対し、4つの視点×15要素で整理したフレームをもとに、実践的なモチベーションマネジメント手法をご紹介します。

部下のやる気が続かない原因は「属人的支援」と「継続性・一貫性の不足」

  • モチベーションが、個々の性格やコンディションに依存している
  • 上司の関わり方が属人的であり、対応にバラつきが出てしまっている
  • 関わりが一過性で終わり、継続性に欠けている
  • 言っていることとやっていることに一貫性がなく、信頼が育たない

結果として、部下が「やる気はあったのに、モチベーションが下がってしまう」「続ける意味がわからない」と感じ、行動量の低下や離職、パフォーマンスの低下へと繋がります。

モチベーション管理で成果を最大化する4つの視点

モチベーション4視点

① 会社・組織への信頼はあるか?

  • 理念・ビジョンは明確で、適切に伝えられているか?
  • ルール・システムは整備され、情報が共有されているか?
  • 管理者にスピード感があり、チャレンジを後押しできているか?

② 周囲に“動機づけとなる他者”はいるか?

  • 上司や同僚との関係性は良好か?
  • 部署間の協力意識は醸成されているか?
  • 尊敬できる存在があり、期待感を伝えられているか?
  • 顧客との関係性が良く、感謝やフィードバックを実感できているか?

③ 外発的動機づけは設計されているか?

  • 心理的安全性が確保されているか?
  • 実力に見合った評価・報酬制度が機能しているか?

④ 内発的動機づけを感じられるか?

  • 適切な目標が設定され、達成感が得られているか?
  • 成果やプロセスに対する称賛・承認があるか?
  • 業務における裁量権があるか?
  • 自らの活動が他者に影響を与えている実感があるか?
  • 適度な刺激があり、キャリアに希望や魅力を感じているか?
  • スキルやマインドの成長実感、学習機会が提供されているか?
  • 指導やフィードバックの機会が継続的に設けられているか?

(補足)モチベーション管理は「人材育成マネジメントの一要素」にすぎない

以下の5要素が連動してはじめて、部下のやる気は持続し、成果につながります。

  • 目標管理:納得感とストレッチを兼ね備えた目標設定
  • 成長管理:スキルや知識の習得支援、振り返り機会の提供
  • 行動管理:やり切るためのプロセス管理と支援
  • モチベーション管理:本稿の中心テーマ
  • 案件管理:適切なタイミングでのアドバイスとサポート体制

モチベーション管理だけに偏ると、他の育成要素が欠け、成果が出ないことで逆にやる気が落ちてしまう──そんな「逆転現象」が起きやすくなるため注意が必要です。
マネジメント1+5原則

実践ステップ(具体的な設計・仕組み化の事例)

Step1:4×15のチェックリストで“ズレ”を可視化する

以下のような観点でチェックし、部下のモチベーション低下の原因を見える化しましょう。

  • □ 理念やビジョンは、日常業務と結びつけて伝わっているか?
  • □ 顧客から感謝される体験があるか?
  • □ 成果や努力に対する称賛がなされているか?
  • □ 自己決定の余地、裁量権は与えられているか?

Step2:一人に対して、複数のモチベーション要素を見立てる

モチベーションの源泉は人によって異なり、複数の要素が重なることが多いです。
【よくある要素と注意点】

  • 顧客との関係が良いか?評価を実感できているか?: 顧客からの感謝が誇りになっているが、社内で評価されていない場合も
  • 適切な目標が設定されているか?達成感はあるか?: KPIが明確なら理想だが、目標自体が曖昧な場合は逆効果
  • スキル・マインドに対する成長実感があるか?: 本人は成長を実感しているのに、上司からの承認が少ないと意欲が削がれる

Step3:継続して伝え続け、行動し続ける

一度の指導や称賛では効果は一過性に終わります。重要なのは「継続性」と「一貫性」です。

  • 定例1on1では、必ず内発的動機づけに関する話題に触れる
  • 他のモチベーション要素(裁量・人間関係・成長など)にも毎回言及する
  • マネージャー自身が、伝えている価値を“行動”でも体現する

たとえ成果が出ていない状態でも、モチベーションは上げられます。
たとえば「影響感」については、リーダー役の任命やロープレの発言機会などを設けることで、「自分の影響力」を体感させることができます。

Step4:マネジメント施策の“仕組み化”

  • 毎週1回、称賛と承認のタイミングを明示化
  • 評価指標に「行動プロセス」や「挑戦内容」を含める
  • 月次でのスキル共有会、成長対話の場を設計する

実践に向けたチェックリスト

  • □ モチベーションの“ズレ”に気付いているか?
  • □ 継続的なアプローチが習慣化されているか?
  • □ 一人ひとりの価値観や要素に応じた関わりができているか?
  • □ 報酬や制度など“変えにくいもの”ばかりに依存していないか?
  • □ 自分が関わることで“変えられること”に注力しているか?
  • □ 上司の発言・行動・評価軸に“一貫性”があるか?

最後に

モチベーション向上の成果は明確ですか?

「なんとなくやる気がない」という感覚的な判断だけで、改善策を講じていませんか?

  • 行動量(例:訪問数、提案件数)を増やしたいのか
  • 発言量、提案数、質問数を増やしたいのか
  • 主体的行動(先回り行動、提案行動)を促したいのか

この“変えたい行動(数値で判断)”が曖昧なままでは、モチベーション向上施策の効果も測れず、改善のサイクルが止まってしまいます

モチベーション向上に必要なのは「継続性」と「一貫性」

  • 成果が出るまで“継続して”伝え、働きかけること
  • マネージャー自身の言動・仕組み・評価軸の間に“一貫性”を持たせること
  • ただし、“ズレた視点”のままやり続けることは避け、定期的な見直しを行うこと

こうした構造的な関わりを通じて、はじめて「成果につながるやる気」は持続・拡張し、エンゲージメント向上に繋がっていきます。

このコラムの内容は、以下のような企業様に特におすすめです:

  • 管理職研修・モチベーション研修をご検討中の企業様
  • エンゲージメント向上やモチベーション施策の成果に疑問を感じている経営層・人事責任者の皆様
  • 局所的な関わりから脱却し、仕組みによる育成体制を構築したい企業様

弊社では、管理職育成・モチベーション管理・人材育成マネジメントを一貫してご提供しています。
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弥左大志
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弥左大志(経営コンサルタント)

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企業にあわせた「勝ちパターン」を見出し、誰でも再現できる仕組みを構築。研修を起点に、現場での実行までサポートします。120%以上の売り上げアップの実績を誇り、金融機関やファンド会社からの依頼も多数。

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