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令和3年(2021年)における留学生等の日本企業等への就職ほか、メルマガ第223回、2023.8.1発行

折本徹

折本徹

テーマ:過去のメルマガ、85号から

令和3年(2021年)における留学生等の日本企業等への就職ほか
2023.8.1発行
メルマガ第223回
<2002年(平成14年)10月創刊>

夏本番になってきました。
東京都内では、過去の7月の月間の猛暑日の記録を更新し例年よりも暑いようです。
最近は、暑い夏だと豪雨が多くなる、というイメージを持ちます。
熱中症、水害が心配です。
そして、コロナ感染者が増加傾向あるので、猛暑ではありますが、
感染予防は怠りなく、感染しないようお過ごししてください。

今年も、時期に関係なく(古くても)、新聞・雑誌・書籍に掲載された、
外国人にまつわる内容で、興味深い記事を紹介・簡単なコメントや、
このメルマガは、平成14年(2002年)の10月から発行しているので、
過去と現在は、どのように違ってきているのか、の視点で書きたい、
とも考えています。


・令和3年(2021年)における留学生等の日本企業等への就職
・公営住宅審査がAIで
・貸衣装で銀ブラを(訪日外国人向け)
・ミャンマー軍政、海外就労を後押し
・育たぬ起業家、在留資格が壁


「令和3年(2021年)における留学生等の日本企業等への就職」

出入国在留管理庁が公表していますので、記載いたします。

「留学」「特定活動(継続就職活動中の者、就職内定者等)」の在留資格を
得ている外国人が、日本国内の会社に就職する目的で、
在留資格変更申請の処分件数は、31,955人
そのうち、許可した件数は、28,974人
許可率は、90.6%です。当時は、コロナ禍でした。

国別での上位国・地域    
中華人民共和国 9,331人
ベトナム    6,885人
ネパール    4,403人
スリランカ   1,477人
韓国      1,117人
以下、台湾(672人)・ミャンマー(614人)・インドネシア(608人) 
バングラデシュ(542人)、フィリピン(411人)と続きます。
中国、韓国、台湾は、前年比の割合で、それぞれ減少しました。
14.7%,18.8%,23%の減少です。
減少分は、日本以外の国・地域で就職したのか、
それとも、日本又は他の国・地域で進学したのか、わかりません。

在留資格別では、   
技術・人文知識・国際業務  24,861人

就職先の業種  
非製造業全体で 23,434人
上位3分野     
内 卸売・小売業 5,015人 
内 学術研究、専門・技術サービス業 2,218人
内 情報通信業 2,131人
以下、「医療・福祉系」(2,045人) 「宿泊業」(1,649人)と続きます。
(申請書の複数項目のチェックなので、重複計上しているため、
許可数と一致しないです)
こうして見ると、業種は、ざっくり過ぎて、イメージがわきません。
が、コロナ禍でも利益を上げていた企業が、
コロナ禍が納まった後を見据えて、派遣のような形態ではなく、
直接、正社員として人を集め始めているのではないか?と推測できます。


製造業全体で5,281人
上位3分野
内 金属製品 865人     
内 食料品 790人
内 電機機械器具 564人
(申請書の複数項目のチェックなので、重複計上しているため、
許可数と一致しないです)

就職先での職務内容  
上位      
通訳・翻訳 7,940人
企画事務  3,531人
(マーケティング・リサーチ)
海外取引業 3,476人
管理業務 3,356人
(経営者を除く)
情報処理・ 3,209人
通信技術
法人営業 2,435人
企画事務 2,210人
(広告宣伝)
技術開発 2,126人
会計事務 1,933人
介護福祉士 1,656人
(申請書の複数項目のチェックなので、重複計上しているため、
許可数と一致しないです)
(介護福祉士については、在留資格は介護だと思われます)

月額報酬       
20万-25万円未満 13,317人
20万円未満    10,458人
25万-30万円未満 3,114人

就職先の資本金
5百万以下       7,561人    
5百万円超1千万円以下 5,783人

中小企業に就職していることがわかります。

就職先の社員数    
100人未満   15,946人
内、50人未満 12,570人

中小企業・中堅企業に就職していることがわかります。

最終学歴       
大学卒  9,833人
大学院で
修士号又は博士号を授与 5,625人
短期大学卒 1,121人
専修学校 12,042人
           
毎年のことなのですが、大学、大学院、短期大学、専修学校、日本語学校の留学生で、
就職活動していた人数がわかりません。
申請して、許可や不許可の処分をされた件数は31,955人ですが、
就職活動した留学生は、実際はもっと多いでしょう。
尚、令和2年4月以降、コロナ禍で日本での就職を諦めてしまった人、
令和1年からの就職活動を最初から諦めていた人、途中で諦めた人は、
かなりの人数だと思います。

令和3年は、コロナ禍の時期ではありましたが、
ワクチン接種や対策も浸透してきた時期でしたし、
慣れのようなものがでてきた記憶があります。
企業によって、コロナ禍でダメージが大きかった企業、
逆に売り上げが上がった企業の差が出てきて、
採用の対応もそれが反映された時期のような記憶があります。
全体として、中小企業や中堅企業で採用された人数は、前年比で減少しています。


話は変わりますが、2023.7.24の日本経済新聞に、
専門学校について「専門科目と従事しようとする業務は相当程度関連性が必要」
としてきた方針を、この秋から柔軟に判断する旨の記事が掲載されました。
記事を読む限り、小売業の接客はまだ無理なようですね。
就職し、在留資格を得やすくなることを期待したいと思います。


{その他の話題}
[外国人の暮らしの相談]
「公営住宅の審査がAIで」
外国人の住まいの相談と言うと、
公営住宅(東京都住宅供給公社などの公社も含む)の話が出てくると思います。
公営住宅の募集条件ですが、外国籍を排除はしていないようです。

ある公営住宅に入居している依頼人のお宅に訪問したことがありますが、
アパートや団地というイメージではなかったですね。
タワーマンションとまでは言わないけれど、高層建物でしたし、
入室してみると「意外に広いのだな」と感じました。
応募倍率は高い、と聞いてはいましたが、
「こういう物件なら、そうだろうな」と納得しました。

話は変わりますが、
東京都では、都営住宅の公募個数の算定や入居条件の審査にAIを活用する
実証実験を始めるそうです。
過去のデーターから空室予測もできるようになり、
また、手作業のため掛かっている審査時間も短縮されるので、
迅速に都営住宅が提供できるようになることが期待されています。
東京都以外にも広まると外国の方達に勧められるので良いですね。


[外国人とビジネス・商売]

1 「貸し衣装で銀ブラを」の記事が、日経MJに掲載されました。
東京都内の呉服店が、日本の伝統的な服である着物を、
今年に入って元に戻り始めているインバウンド(訪日外国人)向けに貸し出しして、
販売強化をしているとの内容です。
日本文化に関心がある欧米人を通じて、
染織の職人技が結晶した伝統的な着物に注目してもらおう、
が狙いのようです。

コロナ禍前ですが、着物は、ミャンマーの女性たちに注目されていて、
ミャンマーからの訪日客にミャンマーの伝統衣装の生地として購入されていた記憶におります。

それで、こちらの呉服店では、英語圏出身のスタッフを雇用したようです。
私は、行政書士ですので、「何の在留資格なのだろうか?」と興味を持ちましたが、
「店内に機織り機を設置し、伝統文化も英語で丁寧に説明」
「高級ホテルに店舗や職人技を紹介する英語のパンフレット置いてもらっている」
と書かれていましたので、これらに携わっていれば、
在留資格は「技術・人文知識・国際業務」なのかもしれないと思いました。


2 「ミャンマー軍政、海外就労を後押し」の記事が、日経新聞に掲載されました。
以下も、日経新聞に掲載されましたが、
2022年には、アジア諸国の移民労働者は本格的に回復してきたようです。

アジア諸国で送り出しが多い国はとこか?ですが、バングラデシュだそうです。
勿論、アジア各国のコロナ禍の状況、
打ち出している政策によって違いがあると思いますが、
同国は、113万人送り出したようです(アジア開発銀行研究所の調べ)。
送り出し先は、サウジアラビアに約62万人、オマーンに約18万人、
シンガポールとマレーシアにそれぞれ約5万人。
海外で稼いだお金は、自国に送金するでしょうから、
同国が、段々と豊かになっていくことが推測されます
(日本への留学や専門職も増えています)。

さて、ミャンマーです。2021年にクーデターが起こり、軍事政権になってしまいました。
若者を中心に反軍事政権の人も多いし、実際に抗戦している人達もいます。
その軍事政権が優遇策を通じて、海外就労を後押ししているとのことです。
外国からの投資や国際援助も失われたので、
人材を輸出して外貨獲得につなげる思惑があるようです。
一方、ミャンマーの若者も海外で就職を目指している人も多くおり、
不思議な利害の一致があるみたいです。
今年7月のミャンマーでの「日本語能力試験」の応募者は約10万人で、
日本での就労を希望する若者が多いことがわかります。
日本で難民認定申請をせず、就労の在留資格の目指しているのかも?
それなら、受け入れやすくしてほしい、と思いました。


3 「育たぬ起業家、在留資格も壁」の記事が、日経新聞に掲載されました。
「やはり」と言うか、「仕方がないんじゃないの」と言うか、
外国人の起業家は少ないようです。
もともと、日本は他の国に比べて起業家が少ないと言われていますが、
多ければよい、という話ではないと思うし、他の国と比べても仕方がないと思います。
別の表現だと、
「安定した会社に就職したい」という気持ちがあり、
日本国内には、安定している会社が多く存在する、
ということでしょうね。

外国人自身の出身国は、
「「就職先がないため起業するしかない」けど、日本ではその必要はない」、
「経済不安で「安定した会社に就職し、安定した収入を得ることが大事」と痛感」
していれば、日本で起業ではなく、就職する方を選ぶ可能性は高いでしょう。
 
それで、記事では、在留資格の問題を挙げています。

 在留資格「留学」では、学生と起業家の二刀流ができない、
 在留資格「経営・管理」の許可を得にくい、
 ベンチャーキャピタルが小規模で資金調達が難しい、
 起業を促すための制度はあるが、利用しやすくない、
 法人口座の開設が難しい、
 オフィスを借りるときに日本の保証人を探すよう不動産会社に言われた、

などが挙げられているようです(個々の事情によって感じ方も違うと思いますが・・)

私は、ずいぶん前に「貸すも親切、貸さぬも親切」と言っていた金融機関に勤めていましたが
(AI審査も可能でしょうから、今もそうなのか?わかりません)、
それだけ事業活動の判断って、当事者、その周囲の人、関係する人にとっても難しいと思います。
やってみなければわからない、将来もわからない、もあります。
大学生の頃にデパートでアルバイトをしていましたが、
「まさか、都内でもデパートが閉鎖するなんて!」と感じたぐらい、
ビジネスモデルの先行きは、わからないものです。

参考 出入国在留管理庁のスタートアップ関連施策
https://www.moj.go.jp/isa/publications/materials/03_00070.html

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
次回は10月にお届けする予定です。
ここ数年、1月を除いて毎月1回、届けていますが、
今年は偶数月(2,4,6,8,10,12月)にお届けする予定です。

このメルマガも、平成14年(2002年)の10月から発行していて、
何気に、20年目に入りましたので、今後も引き続きよろしくお願いします。

過去のメルマガが読めます(85号から)
https://mbp-japan.com/tokyo/orimoto/column/?jid=1300156

このメルマガは、まぐまぐを利用して発行しています。
解除は 
http://www.mag2.com/m/0000097197.htm
よりできます。

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折本徹
専門家

折本徹(行政書士)

折本 徹 行政書士事務所

日本に住んでいるフィリピン人コミュニティを開拓し、相談を受ける事からスタートしました。その後、中国人、ネパール人、ベトナム人などの外国人、取扱う分野を拡げ、経験を積み、20年以上になります。

折本徹プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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