海外の外国人が日本の学校で学ぶ、在留資格「留学」
団体監理型技能実習の入国後講習、日本語講習
入国後講習
技能実習生が入国後に、監理団体が実習実施者における技能等の修得前に行わせなければならないもので、
監理団体が、自ら又は適切な者に委託して、座学により実施するものであることです。
・科目は次に掲げものであること
1 日本語
2 本邦で生活一般に関する知識
3 出入国又は労働に関する法令の違反していることを知ったときの対応方法
その他技能実習生の法的保護に必要なもの(専門的な知識を有する者[第一号団体監理型
技能実習に係る者である場合にあっては、申請者又は監理団体に所属する者を除く]が
講義を行うものに限る。)
4 上記1から3までに掲げるもののほか、本邦での円滑な技能等の修得等に資する知識
・時間数
(1)技能実習生が本邦において行う第一号技能実習の予定の6分の1以上
→例えば、1年間で1,920時間であれば、320時間以上
(2)当該技能実習生が、過去6か月以内に、本邦外において、
上記の1,2,4に掲げる 科目について、
一月以上の期間かつ160時間時間以上の課程を有し、
座学により実施される
入国前講習を受けた場合には、12分の1以上
→例えば、1年間で1920時間であって、
入国前講習で160時間以上を1か月以上行えば入国後は160時間以上
・時間配分
入国後講習は、上記の1から4までの全ての科目を実施しなければならないが、
各科目の時間数やその割合については、技能実習生の個々の能力や技能等を習得するために必要な知識の程度によってそれぞれの科目の必要な時間数が異なることから、実習実施者において適宜定めることとして差し支えない。
<法的保護>
A 出入国又は労働に関する法令の違反していることを知ったときの対応方法
その他技能実習生の法的保護に必要なもの
技能実習法令、入管法令、労働関係法令に関する事項、実習実施者や監理団体等が技能実習法令等の規定に違反していることを知ったときの対応方法、
特に申告・相談先である機構における母国語相談や
労働基準法違反の申告・相談先である労働基準監督署等の行政機関への連絡
及び申告の要件や不利益取扱いのある禁止に係る事項、
賃金未払に関する立替金制度や休業補償制度、
労働安全衛生や労働契約に関する知識、
厚生年金の脱退一時金制度のほか、
やむを得ない理由による転籍をしなければならなくなった際の対応等に関する事項が、講義内容に含まれていなければならない。
技能実習法令、入管法令、労働関係法令、その他法的保護に必要な情報について、少なくとも各2時間ずつ実施することを目安とし、合計で8時間実施することが必要。
尚、通訳を付して実施する場合は、通訳に要する時間を考慮して当該8時間の内容を実施することが必要。
労働関係法令で、違反になる恐れがあるものを挙げておきます。
1)会社の備品を壊したら、罰金を支払うことになっていること
→労働契約の不履行について違約金を定め、又は、損害賠償額を予定する契約は禁止されているから
→ただし、現実に労働者の責任により発生した損害について、賠償請求することは禁止されていない
2)賃金の一部を強制的に貯蓄し、預金通帳を持っていること
→労働契約に付随して貯蓄の契約をさせ、又は貯蓄金を管理することは禁止されているから
→ただし、労働者の任意の委託を受け一定の要件のもと、貯蓄金を管理することまでは禁止していないが、実習実施機関は技能実習生からの要望があっても、預金通帳等は預からないほうが良い。
3)賃金支払い日において賃金を払わない
→賃金は、1 通貨で、
2 労働者に対し直接、
3 全額を、
4 各月に1回以上、
5一定期日を定めて支払わなければならな いから
→ただし、法令で定められているもの(税金など)、
労使協定で定められたもの(寮費など)は、賃金から控除することは可能。
でも、具体的な使途が明らかにしていないものは不可。
4)1日8時間を超えて労働をさせても、その分の賃金を支払わない
5)宿舎から外出する際、承認を受けさせる
→寄宿舎に労働者が居住する場合において、
労働者の生活の自由が制限されるようなことは禁止されているから
「寄宿舎とは」用意した宿舎に居住させ、共同生活(便所、炊事場、浴室等が共同で、一緒に食事をする等)
6)実質の時間給が、決められた最低賃金額を下回っている
7)働いてもらって1年以上経過しても、健康診断を受けさせない
→事業者は労働者を雇い入れた時及び一定期間(1年又は6月以内)ごとに健康診断を実施しなければならないから
8)仕事中にケガがっても、治療費や休業の補償がされていない
9)実習生の危険又は健康障害等を防止するために、労働安全衛生法で定められた措置を講じていない
B 本邦での生活一般に関する知識
技能実習生が最大5年間本邦で生活を行うためには、
我が国の法律や規則、社会生活上のルールやマナーを守る必要があり、
自転車の乗り方等日本の交通ルール、公共機関の利用方法、国際電話の掛け方、
買い物の仕方、 ゴミの出し方、
銀行・郵便局の利用方法など様々なものが考えられますが、これらに関するもの
C本邦での円滑な技能等の修得等に関する知識
機械の構造や操作に関する知識のほか、技能実習への心構え、企業内での規律等が想定されている。
また、現場施設見学を行う場合が該当することになる。
なお、講習実施施設の外で講習を実施しても差し支えないが、
実習実施者の工場の生産ライン等の商品生産施設においては見学以外の活動は認められていない。
商品生産施設での機械操作教育や安全衛生教育は、
講習とは別に実習実施者において、技能等の修得のための活動として実施しなければならない。
<日本語>
技能実習が行われる現場においては、
日本語による指導やコミュニケーションが行われるのが通常であることから、
技能実習を効果的かつ安全に行うための日本語教育を求めるものです。
また、技能実習生は我が国で生活することとなるため、
技能実習の基盤となる日常生活を円滑に送るためにも一定の日本語能力が必要となることから、
技能実習生が技能実習の遂行や日常生活に不自由しないレベルに達することができるよう、入国後講習を行うことが望まれる。
入国後講習の日本語科目について以下の教育項目を含めたほうが良い。
・総合日本語 文法(文の文法、文章の文法)、語彙、待遇表現、発音、正確な聞き取り、話題に即した文の作成
・聴解 発話表現、即時応答、課題理解、ポイント理解、概要理解
・読解 内容理解、情報検索
・文字 漢字読み、表記
・発音 拍、アクセント、イントネーション
・会話 場面に対応した表現、文末表現
・作文 文章構成、表現方法
・介護の日本語 からだの部位等の語彙、介護の場面に応じた語彙・声掛け
日本語学習目標の例
「技能等を習得する場面」
・作業の指示の言葉の理解
・数量や時間を正確に聞くことができる
・進捗状況を簡単に報告することができる など
「健康に安全に暮らす場面」
・病気やけがの時を知らせることができる
・交通標識などを理解することができる など
「職場や地域の人と人間関係を築く場面」
・挨拶をすることができる
・人とおしゃべりなどをしてコミュニケーションが築ける など
「生活を楽しむ場面」
・買い物施設や飲食店を利用することができる
・交通機関を利用することができる
・テレビを見ることができる など
又、日本語習得状況から技能実習生を
「N3取得者(レベル)」「N4上位者(レベル)」「N4下位者(レベル)」に分けて、研修を行うことも考えられます。
「N3取得者(レベル)」
1)1か月目
実習実施機関での仕事上の日本語のやり取りに慣れ、自身の考えを
まとまりのある単位で発話することかできる。
特定の職業(実習先の職種)の人とのやりとりがある程度できる。
2)2か月目
自身の考えを聞き手にとってわかりやすく、段落の意思をもって発話することができる。
日常生活及び基本的な仕事における円滑なコミュニケーション力を身につける
3)日本での生活に関する情報の理解
4)日本の文化・社会に対する基本的な理解
「N4上位者(レベル)」
1)1か月目
相手の質問に対して、正しく返答ができる
待遇関係を意識して話すことができる
2か月目
自身の考えをまとまりのある単位で発話することかできる。
特定の職業(実習先の職種)の人とのやりとりがある程度できる。
2)日本での生活に関する情報の理解
3)日本の文化・社会に対する基本的な理解
「N4下位者(レベル)」
1)1か月目
相手の質問に対して、正しく返答ができる
日常生活における基本的なコミュニケーションを習得する
2) 日本での生活に関する情報の理解
3) 日本の文化・社会に対する基本的な理解
尚、優良な実習実施者及び優良な監理団体(一般)のなるための加点対象になっています.
地域社会との共生[最大10点]
1 受け入れた実習生に対し、日本語の学習支援を行っていること 4点
2 地域社会との交流を行う機会をアレンジしていること 4点
3 日本の文化を学ぶ機会をアレンジしていること 4点
<技能実習計画での日本語教育>
講義時間の基本
240時間以上であり、別表第一の中欄に掲げる教育内容について行われること
⇒別表第一
総合日本語100時間(以下、省略)、聴解20、読解13、文字27、発音7、会話27
作文6、介護の日本語40
上記の合計で240時間
ただし、当該技能実習生が、入国前講習で日本語科目を受講していたら、
受講した日本語科目の講義の教育内容及び時間数に応じて、一部の時間を免除することは可能。
その総時間数がそれぞれの科目について定める科目について、2分の1以上である場合は、
入国後講習において、その科目の総合時間数の2分の1を上限として免除は可能。
例外
第二号技能実習及び第三号技能実習
日本語能力試験N3に合格している者その他これと同等以上の能力を有する者と認められる者
80時間以上であり、別表第二の中欄に掲げる教育内容について行われること
⇒別表第二
発音7時間(以下、省略)、会話27、作文6、介護の日本語40
上記の合計で80時間
・教育内容
総合日本語 文法、語彙、待遇表現、発音、正確な聞き取り、話題に即した文作成
聴解 発話表現、即時応答、課題理解、ポイント理解、概要理解
読解 内容理解、情報検索
文字 漢字読み、表記
発音 拍、アクセント、イントネーション
会話 場面に即した表現、文末表現
作文 文章構成、表現方法
介護の日本語 からだの部位等の語彙、介護の場面に応じた語彙・声掛け
ここから先は私見です。
これらを踏まえて、予定表を作成するとすれば、例えばですが、
おおまかな目標として、上記のように
日本語の使用の場面及び目的 必要とする日本語/学習目標
・技能を習得する 作業の指示の言葉を理解することができる
数量や時間を正確に聞く
進捗状況を簡単に報告する など
・健康、安全に生活する 病気やけがの時に知らせることかできる
交通標識等を理解する など
・職場や地域の人と人間関係 挨拶をすることができる
を築く 人とおしゃべりをしてコミュニケーション
を築く など
・生活を楽しむ 買い物施設や飲食店を利用することができる
交通機関を利用することができる など
それで、
入国後講習は、2ヶ月程度で行うものとして、
技能実習実施予定表
合計時間 1ヶ月目 2ヶ月目
日本語 240 120 120
(免除の規定にあてはまらないとします)
日本語講師 OOOO
使用する教材 XXX
(1ヶ月は月間22日として、日本語は18日間で行うと計画します。)
総合日本語 50時間 2時間55分X17回+25分
聴解 10時間 35分X17回+5分
文字 13時間30分 45分X18回
発音 3時間30分 15分x14回
会話 13時間30分 45分X18回
介護日本語 20時間 70分X17回+10分
読解 6時間30分 30分X13回 ⇒13回+5回(作文)
作文 3時間 30分X4回+60分
最終回の18日目は調整。配分上、120時間は超えることになります。
1日7時間程度の講習としています。
そして、介護の技能等の修得等の入国後講習は42時間なので、同様に1ヶ月では、
介護 21時間 7時間X3回
としました(こちらも、免除の規定が当てはまらなかったものとしています)。
一方、日本語の入国後講習は、
総合日本語100時間(以下、省略)、聴解20、読解13、
文字27、発音7、会話27、作文6、介護の日本語40
なので、2ヶ月程度おこなうとし、単純に半分にしています。
尚、技能実習で日本語を教えられる日本語教師は、決まっています。
(学校教育法に基づく大学又は大学院において、日本語教育に関する課程を修めて卒業、
又は大学院の課程を修了した者など)
又、入国前講習において、
上記のような日本語教師の講習ではないと時間の免除はされないです。
参考
入国後講習の日本語の講義は
「学校教育法に基づく大学(短期大学を除く)又は大学院において、
日本語教育課程を修めて当該大学を卒業し
又は当該大学院の課程を修了した者
その他これと同等以上の能力を有すると認められる者
により行われること。」との規定があり、更に、
告示第1条2号ハ
「その他これと同等以上の能力を有すると認められる者とは?」
については、
1) 学校教育法に基づく大学(短期大学を除く)又は大学院において、
日本語教育に関する科目を26単位以上修得して当該大学を卒業し
又は当該大学院の課程を修了した者
2)日本国際教育支援協会が実施する日本語教育能力検定試験に合格した者
3)学士の学位を有する者であって、日本語教育に関する研修で適当と認められるもの
を修了したもの(420単位以上の課程を有するものに限る{1単位は45分以上とする})
4) 学校教育法に基づく大学(短期大学を除く)又は大学院に相当する海外の大学
又は大学院において日本語教育に関する課程を修めて当該大学を卒業し
又は当該大学院の課程を修了した者
5)学士の学位を有する者であって、
技能実習計画の認定の申請の日から遡り3年以内の日において、
出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準に定める省令の
留学の在留資格に係る基準の規定に基づき
日本語教育機関等に定める別表第1、別表第2、別表第3に掲げる
日本語教育機関で日本語教員として1年以上従事した経験を有し、
かつ、現に当該日本語教育機関の日本語教育教員の職を離れていないもの
となります。
そして、
「入国前講習において行われた日本語科目の講義が、
入国後講習で行うとされている当該科目に講義に相当すると認められるには?」
ですが、
下記、ア)とイ)に掲げる者が講義を行う必要がある。
ア)告示第1条2号ハに掲げる者
イ)海外の大学又は海外の大学院の課程を修了した者であって、
技能実習計画の認定の申請の日から遡り3年以内の日において、
外国における日本語教育機関で日本語教員として1年以上従事した経験を有し、
かつ、現に日本語教育教員の職を離れていないもの
となります。
(行政書士折本徹は、ヒューマンアカデミーの日本語講師養成総合講座・文化庁指針420時間を修了しています。
みんなの日本語初級Ⅰ、Ⅱを使用しての日本語学習のサポートいたします)
「事業者は、下請法も、知っておく必要があります」
http://mbp-japan.com/tokyo/orimoto/column/1363355
団体監理型技能実習
団体監理型技能実習の外部監査
外国人を雇う事業所は、日本語教育推進法に何か影響を受けるの?