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コラム

国際結婚した夫婦の嫡出子は、どの国の法律で決まるのか。父未定の子とは?

2016年6月18日 公開 / 2023年7月27日更新

テーマ:日本人の実子/外国人の実子/永住申請/日本国籍/認知/嫡出子/非嫡出子

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 国際結婚 問題

国際結婚した夫婦の嫡出子。嫡出子か、どうかは、どこの法律で決まるのか?
など小難しい法律の話をしています。

このテーマの動画のテスト配信をしています。



https://youtu.be/SBh1quVPRjE

国際結婚をして、子どもが生まれた場合、その子の嫡出性の判断は、
どこの国の法律を適用するか?があります。
尚、多くの国では、適法な結婚から生まれた子どもを嫡出子、
そうでない子を非嫡出子や婚外子としています。
又、多くの国では、相続などで嫡出子を有利にしていますが、
最近では平等にする傾向になっているようです。

さて、嫡出性はどこの国の法律を適用するか?ですが、
日本の法律の「法の適用に関する通則法第28条」によれば、
父母のいずれかの(国の)法律で嫡出子であれば嫡出子となります。
ですので、父母の一方が日本人の場合、日本法が適用されます。
そして、夫婦の間の子が嫡出子であれば嫡出子となり、
相手方の外国の法律を調べることはないです。

要件としては、父母の法律上の結婚と母の夫による懐胎となります。
嫡出子とする範囲ですが、
1 父母の結婚成立の日から200日後に生まれた子ども
2 父母の離婚、結婚解消、取り消しの日から300日以内に生まれた子ども
は、父母が結婚中に懐胎したものとして、夫の子として推定されています。
これを「推定を受ける嫡出子」といいます。

そして、
父母の結婚から200日以内に生まれた子どもは、「推定を受けない嫡出子」となります。
この場合は、母の夫により懐胎された子どもであれば、生来(せいらい)の嫡出子とされ、
父の認知を得るまでもなく、
市区町村役場では嫡出子として出生の届出を受理することとされています。
尚、「推定を受ける嫡出子」と「推定を受けない嫡出子」とでは、「推定を受ける嫡出子」
を優先します。

それでは事例です。
日本人女性Aが、外国人男性Bと離婚し、100日以内に別の外国人男性Cと再婚したとします。
この場合、Cの国で、創設的結婚が適法に成立し、有効であれば、
日本では報告的結婚となり、結婚は有効となり得ます。
そして、外国人男性Cの子どもを再婚後200日以内に出産したとします。
繰り返します。
日本人女性Aが外国人男性Bとの離婚後100日以内に外国人男性Cと再婚。
再婚の日から200日以内に出産。
この場合、子どもは外国人男性Cの嫡出子になるか?です。

外国人男性B(前婚)---日本人女性A---外国人男性C(後婚)

AとCとの間に子どもが生まれる

・Aは、Bとの離婚後100日以内にCと再婚
・子どもは、Cとの婚姻後200日以内に生まれる
⇒Bとの離婚後300日以内に生まれたことになる

このようなケースでは、Cの国の法律も調べます。
ちなみに、子どもは、母である日本人女性Aからの出産なので、
実の母子関係が成立します。

父子関係ですが、
母親の国である日本の法律では、
前の夫である外国人男性Bとの離婚後300日以内の出生ですので、
Bの嫡出子と推定されます。
ですが、現在の夫である外国人男性Cの国の法律で、
子どもは嫡出子としての推定があれば、嫡出性が重なることになります。

その場合は、「父未定の子」となります。
そして、裁判所で父を定めるという手続きになっています。

尚、前の夫が嫡出性を否認する場合です。
この事例で、
日本人女性Aの民法と外国人男性Bの国の両方の国の法律で、
子どもが嫡出子とされる場合は、両方の国の法律で否認できなければならない、
とされています。
(⇔嫡出子の場合は、父母のいずれかの国の法律で嫡出子であれば嫡出子)

ちなみに、片方のみで嫡出子とされていれば、その国の法律のみとなります。

又、国によっては、出生登録をしてしまうと嫡出否認ができない、
と法律で定めていることもあります。
ですので、外国人の父の国の法律で、嫡出子と推定され、
その否認が可能でも、状況次第で嫡出否認ができないこともあり得るわけです。
国際結婚で、嫡出性を争う場合は、当事者の本国法をキチンと調べる必要があります。


注意
以前は、非嫡出子でしたが、今は、嫡出ではない子、と呼ぶようにしているようです。
世界的に嫡出の子と嫡出でない子を差をつけない、という方向性があるようです。

推定される嫡出子、推定されない嫡出子、推定の及ばない子、という分け方があるようです。
夫が、海外在住・服役中・行方不明・長期の別居など事実上の離婚状態で、
妻が出産した場合、妻が夫の子を産むことがあり得ない状況で生まれた子は、
推定の及ばない子、と呼ぶようです。

推定されない嫡出子は、婚姻後200日以内に生まれた子を呼ぶときに使うようですが、
まぎらわしい、という声もあります。


{民法等の一部を改正する法律について} 法務省のウェブサイトから

 令和4年12月10日、
民法の嫡出推定制度の見直し等を内容とする民法等の一部を改正する法律(令和4年法律第102号。以下「本法律」といいます。)が成立し、
同月16日に公布されました。
本法律は、同日から起算して1年6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行されます(懲戒権に関する規定等の見直しに関する規定は、令和4年12月16日から施行されました。)。

1 嫡出推定制度の見直しのポイント
 ○ 婚姻の解消等の日から300日以内に子が生まれた場合であっても、
母が前夫以外の男性と再婚した後に生まれた子は、再婚後の夫の子と推定することとしました。
 ○ 女性の再婚禁止期間を廃止しました。
 ○ これまでは夫のみに認められていた嫡出否認権を、子及び母にも認めました。
 ○ 嫡出否認の訴えの出訴期間を1年から3年に伸長しました。

⇒従前は、下記のとおり
「婚姻の解消又は取消し後300日以内に生まれた子の出生の届出の取扱いについて」

平成19年5月7日  法務省民事局

平成19年5月21日から,
婚姻の解消又は取消し後300日以内に生まれた子の出生の届出の取扱いが,
次のとおり変更されました。

1 「懐胎時期に関する証明書」が添付された出生の届出の取扱いについて
「懐胎時期に関する証明書」とは?
出生した子及びその母を特定する事項のほか,
推定される懐胎の時期及びその時期を算出した根拠について診断を行った医師が記載した書面。
 
(1) 届出の受理について
 婚姻の解消又は取消し後300日以内に生まれた子について,
「懐胎時期に関する証明書」が添付され,当該証明書の記載から,
推定される懐胎の時期の最も早い日が
婚姻の解消又は取消しの日より後の日である場合に限り
(→早い話、離婚の日より後に、妊娠した)
婚姻の解消又は取消し後に懐胎したと認められ,
民法第772条の推定が及ばないものとして,
母の嫡出でない子又は後婚の夫を父とする嫡出子出生届出が可能。

(2) 戸籍の記載について
 (1)の届出が受理されると,子の身分事項欄には出生事項とともに
「民法第772条の推定が及ばない」旨が記載されることになる。

2 「懐胎時期に関する証明書」が添付されていない出生の届出の取扱いについて
 従前のとおり,民法第772条の推定が及ぶものとして取り扱われることになる
(前婚の夫を父とする嫡出子出生届でなければ受理されない。)。

3  取扱いの開始について
(1) この取扱いは,平成19年5月21日以後に出生の届出がされたものについて実施。

(2) 既に婚姻の解消又は取消し時の夫の子として記載されている戸籍の訂正については,   従前のとおり,裁判所の手続が必要。


※【重要なお知らせ】無戸籍でお困りの方へ
 嫡出推定制度に関する改正後の規定は、
原則として、本法律の施行日以後に生まれる子に適用されますが、
本法律の施行日前に生まれた方やその母も、本法律の施行の日から1年間に限り、
嫡出否認の訴えを提起して、血縁上の父ではない者が子の父と推定されている状態を解消することが可能です。
対象となる方は、訴えを提起できる期間が限定されていますので御注意ください。御不明の点があれば、全国の法務局・地方法務局又はお住まいの市区町村の戸籍窓口に御連絡ください。
 なお、法務局・地方法務局の連絡先は、次のリンクを御覧ください。
https://www.moj.go.jp/MINJI/consultation.html

2 懲戒権に関する規定等の見直しのポイント
 ○ 懲戒権に関する規定を削除しました。
 ○ 子の監護及び教育における親権者の行為規範として、子の人格の尊重等の義務及び体罰などの子の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動の禁止を明記しました。

3 その他の改正内容
  このほか、本法律では、子の地位の安定を図る観点から、事実に反する認知についてその効力を争うことができる期間に関する規定を設けるなどしています。
  
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当事務所のもう一つのウェブサイト
折本徹行政書士事務所「渉外戸籍」     
https://www.toruoriboo.com/syougai_koseki.html
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