今新たにシニア起業・独立を考える

寺田淳

寺田淳

テーマ:起業・独立


【はじめに】

 先週の5月17日付の日経新聞朝刊の記事が目に飛び込んできました。
記事の内容を読んでまたまたシニアの起業志向が高まるのではと思い
急遽簡単なコラムを書くことにしました。

【企業側の早期希望退職の増加】

 日経新聞の記事によりますと
今年の1月から5月15日までの数値ですが
この期間に早期希望退職の募集を発表した国内の企業数と人数は
それぞれ19社、約8,700人だそうです。

 これは東日本大震災時、コロナショック時の数値を上回り
2009年のリーマンショック時の数値に次ぐものだそうです。

 昨年同期では企業数は27社と多いものの
募集人数は約4,600人で人数では90%近い増加となっているのです。

 19社の内訳をみると18社が製造業とあります。
更に私の前職だった電気機器の企業が18社中10社となっており
どうにも複雑な心境です。

 その中でより注目したのは
19社のうち60%は最終損益が黒字という点です。

 黒字経営なのに早期希望退職を募集する?
いわゆる人員整理=リストラを実施する理由としては
黒字経営であるうちに、企業体力に余裕、余力あるうちに
人員の適正化、事業構造の見直しと適正化を図りたい、
というものだそうです。

 以前のように倒産を防ぐための苦肉の策、ではない、
見方によっては将来の禍根を断つ、将来に備えての体質改善を図る、
というスタンスでの早めのリストラは当面継続すると思われます。

【シニア世代の志向にも影響が?】

 この様な起業サイドの対応が常態化、または長期化すれば、
定年間近のシニア世代は無論の事、それ以下の世代も
企業側と同様に「将来を見据えて」早期退職での起業・開業を目指す。
こういった傾向が再び増加すると思われます。
 
 60才前後のシニア世代にはまさに今の自分が直面する問題ですし
40代から50代の中堅層にとっても明日は我が身、時間の問題で
必ず自分たちも直面する問題と考えるのは当然でしょう。

 特にやる気と自分の能力に自負のある方ほど
第二の仕事の選択を真剣に考えるのではないでしょうか?

 私自身の経験でも4年前のコロナ拡大時期に50代前後の方の
起業・独立の相談が増えたことがありました。
同じような光景が今後増加していく様な気がしてなりません。

【起業には柔軟な発想が欠かせない?】

 どんな仕事で起業するとしても、
最初から固定観念に縛られないことです。

 経験談を紹介させて頂きますと、
私の場合事務所開業当初は主体が夜型営業でした。

 最初から個人の相談をメインとする考えでしたので
圧倒的に多い会社員の都合を優先して考えた結果、
会社の仕事終わりからの時間帯が「営業開始時間」とすることが
最も効果的と考えたのです。

 約半年の間は閑古鳥でしたが
粘り強い口コミやSNSでの継続した告知の効果でしょうか?
サラリーマンのアフタータイムである19時以降の予約が入り始めました。
最初は電話やメールでの事実確認で、本当に19時20時でも対応すると
分かってもらえるとほぼその場で相談予約が獲得できたのです。

 同時に(こちらはやや苦痛でしたが)
サラリーマンとして出勤前の7時~8時の間の早朝相談の要望も
出始めてきました。

 夜型の私には一瞬躊躇したのですが、出勤前というのは
「遅刻しないまでの時間」で相談を終えるといった時間制限があり
一日一組しか対応出来ないという「お得感」も打ち出せると
事前予約の受付を開始しました。

 その結果、ある日は月末の部署の打ち上げ終了後の22時からの面談で
翌日は早朝7時半からの事務所面談といったスケジュールが始まりました。

 さらに新橋という場所柄を失念しており、
想定外だった飲食業関係の方からの相談も始まったのです。
夜の営業を終え店を閉めてからの各種相談もあれば
逆に開店前、仕込み前の時間を利用して午前中の相談など
会社員の相談に加えて個人事業者からも朝夜の相談が始まりました。

 当初は平日に時間が取れない会社員の為には土日営業もと
身構えていたのですが、殆ど相談の段階では発生しませんでした。
(相談受任後の打ち合わせや業務上の行動は別)
彼らも貴重な休みを相談時間で潰したくなかったのでしょうね。

 おかげで平日の日中が閑古鳥でした。

 その間を利用して資料作成や自学自習に励む、事もありましたが
多くは映画館で悠々と鑑賞を楽しんだり、各種のイベントも同様に
比較的客足の少ない平日の時間帯にゆっくり楽しむことが叶ったのです。
 
 これが大多数の同業を見習って9時から5時までの型にはまった
営業時間でスタートしていたらどうだったか?
中年からの開業、おまけに実績はゼロ、信頼度もゼロの事務所に
真剣な相談が来たでしょうか?

 起業・開業の最初で最大の課題は
顧客獲得であり、その為には認知拡大が必須です。

 自分が始める仕事、業種、職種はどんなユーザーが求めるものか?
ユーザーの悩み、要望は何か? こちらの対応で対処出来るものか?
店舗や事務所の地に想定したユーザーはいるのか?

 こういったチェックを重ねていけば
スタート時に芳しいスタートが切れなくても動揺はしないはずです。
毎日方針を変えるような優柔不断や悲観論にも無縁となれます。

 その為には
「他人の成功をなぞらない。」
「他人の事例は参考レベルに留め、盲従しない。」

 優柔不断と柔軟性は全く異なるものです。
柔軟な発想は、実は開業前にこそ発揮すべきものです。

【終わりに】

 急遽作成したのでとりとめのない話になったかもしれません。
ですが、会社の方針や方向性が自分の今後にどういった影響を与えるか?
それがマイナスの方向に働くのではと感じたならば、
早い段階で再就職や転職、そして起業・独立を検討すべきです。

 事実上シニア世代の再就職や転職市場は今も厳しいものがあります。
可能性を考えれば起業・開業は魅力的なものに見えてきます。

 ですがその為には事前の準備が欠かせないのは言うまでもない事です。
この仕事ならこういったスタイルで、この流れで仕事をしなくては
等の固定概念ありきではなく、ユーザー目線から見てより便利尾であり
魅力的な仕事とはどういうものかをメインに置くことで柔軟な発想や
差別化に繋がる強みを生み出すきっかけにもなるのです。

 

 

 

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寺田淳
専門家

寺田淳(行政書士)

寺田淳行政書士事務所

 起業・独立や転職、再就職を考えるシニア世代に対して、現時点での再就職市場の動向や起業する際の最低限の心構えを始め、私自身が体験した早期退職から資格起業に至るまでの経験やノウハウを紹介します。

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