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貴方も無縁ではない?! 各種の時効について

寺田淳

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テーマ:新橋事務所日記



【今日のポイント】

 新年明けましておめでとうございます。 2019年も宜しくお願い致します。

 いよいよ相続法の改正の年、早くも今月1月から改正相続法が実施されます。 
より一層の正確な情報の把握が求められる段階に入りました。 

 私も微力ながら最新情報について必要な箇所をなるべく分かりやすい言葉で紹介していきたいと思います。

 さて、新年最初のコラムは、昨年からの流れからのものになります。昨年末にこのコラムで「預貯金に関する時効」を採り上げましたが、その後、何か他にも注意すべき「時効」はあるでしょうかという問合せが続きました。

 今日は、ある意味相続とは関係なく知っておいて損はない「時効」を紹介したいと思います。


【株式の時効】

 実は株式には時効はありません。

 稀に、まだ株券の形で古い金庫から発見した等のケースもあります。基本としては、その会社が現存し株券自体が未だに有効な様式のものであればという但し書きはつきますが、一般的には株の名義人宛に定期的に運用報告書等の書面が郵送されているはずですから名義人本人は当然ですが同居している家族が気付かないことはないはずです。

 株式の時効というよりも、この場合注意すべきは相続が発生して10年経過すると、遺留分の請求が「時効」になる点でしょう。遺言でも遺産分割協議書の場合でも、仮に「その他の財産は長男が相続する」等の内容になっていれば、10年後に株の存在が判明した場合、長男以外の相続人は遺留分請求は出来なくなるのです。

 やはり、こうならない為にも相続時の相続財産の入念な調査は欠かせないという事ですね。


【NISA口座】


 これについては、消滅するとか請求出来なくなるというものではありません。要は、NISAの開始から5年で非課税の期間が「時効」を迎えますから、期間内に売却しておきませんと、課税口座に移管されます。ですから、当然ですが利益部分に税金がかかってきます。

 こまめに口座の非課税期間をチェックすることが求められますね。


【生命保険等】

 私も含めて保険の契約書の約款を精査した方はほぼ皆無でしょうが、支払期限=時効についての項目だけは覚えておいて損はありません。

 殆どの生保の場合、死亡保険の時効を死亡の翌日から3年と明記しています。(かんぽ生命だけは5年です)

 何らかの事情で家族には知らせず、遺言書にも記載漏れ、かろうじて故人の日記や郵便物の整理の段階で初めて存在に気付いた場合等で時効が過ぎているためむざむざ紙屑と化したというケースが多いようです。

 これも株券の場合と同じく、定期的に保険内容に関する書類が郵送されていますが親と別居していた場合にはその存在に気づき難いのも事実です。

 ここでは詳細は省きますが、医療保険の場合も時効があり、支払い事由が発生した翌日から3年となります。

 多くの場合、保険関連は家族に良かれと思って加入するものですが、その事実を伝えていなければその想いは虚しくなってしまいますのでタイミングを見て、情報の共有を図ることが求められます。


【相続した不動産】

 以前のコラムで土地の評価に疑問がある場合は更正の請求をすることで過剰だった相続税の還付がされることがありますと紹介しました。税金に関しては、あくまでもこちら側から行動して初めて機能する制度が殆どです。
 
 そのうちの一つで、あまり知られていないものに相続した不動産を「一定期間内に」売却した場合、所得税が軽減されるという特例があります。これは不動産を相続し、相続税を納付後に売却した場合に相続税額は不動産の「取得費」と見做される為、経費に計上されます。これは土地売却による譲渡益から経費として控除できることになるので所得税の軽減に繋がります。

 但し、この特例にも時効が設定されていて、「相続発生後3年10ヶ月以内の売却」とされています。

 ここで注意するのは、冒頭に挙げた更正の請求の時効は5年10ヶ月ですから混同しないよう注意して下さい。 時効が2年も短いという点に注意です。

 相続はしたものの、使い道もない土地なので条件が合えば売却したい。 
 既に土地の購入の申入れがあるが、地価上昇を期待して時間稼ぎを図る。

 動機はそれぞれでしょうが、所得税軽減の恩恵を受けるには売却までのタイムリミットがあることは覚えておきましょう。


 ここに挙げた事例はごく一部です。他にも医療費控除や雑損控除など確定申告で税控除がされるものや住宅ローン控除や親や配偶者が亡くなった際の葬祭費(国民健康保険加入者の場合)や埋葬料(協会けんぽ、会社の健保加入の場合)の給付等々、それぞれの時効の期限内に申請すれば節税や思わぬ支給といった恩恵が享受出来るのです。
 
 得をするというよりも、あくまでも損をしないというスタンスで、自分の身の回りにある必要最小限の情報を意識して下さい。

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寺田淳
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寺田淳(行政書士)

寺田淳行政書士事務所

 起業・独立や転職、再就職を考えるシニア世代に対して、現時点での再就職市場の動向や起業する際の最低限の心構えを始め、私自身が体験した早期退職から資格起業に至るまでの経験やノウハウを紹介します。

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