大地震発生時のリスクと街の安全性から考える居住エリア
東京は人口が減っても単独世帯は増える?
東京の賃貸マンション事情はどうなっていくのでしょうか。2014年3月に東京都が発表した「都内世帯数の長期予測」によると、東京都の人口の頭打ちが2020年と予測していますが、その後も世帯の細分化が進み、単独世帯が増えるとしており、世帯数は2030年代にピークを迎える見通しとしています。
その要因としては、結婚しない若年層での晩婚化と、配偶者との死別による一人暮らしが進み、都内の単独世帯は、2030年に全体の47.2%になり、総世帯数が減少に転じた後も増加し続ける見通しとなっています。特に区部では2035年に単独世帯の比率が50.2%と初めて半数を超えるという発表がされました。これは、人口が減る中でも世帯数が増えるということです。
高齢者や学生のニーズの変化
今や高齢者が利便性の高いところで一人暮らしする時代です。
歩ける範囲で買い物や病院に行けることは、生活環境が整っている首都圏ならではのメリットで、生活の利便性を求めて高齢者が地方から都心に移り住むケースも少なくないようです。
また、「工場等制限法」が2002年に廃止されたことに伴い、これまで土地利用を制限されていた大学の建設が都心でも認められた影響で、キャンパスを都心に移転する大学が増加しました。この影響により、最近では東京23区の大学に通う大学生が増えています。
当然、キャンパスが都心に集中することで、そこに通う大学生は通勤しやすいキャンパスの近隣に住むことが予想されます。
単身赴任者の長期ステイのホテル代わりに
家族そろって転勤というのは今は昔、近年では「子どもを転校させなければならない」「共働きの場合に配偶者が仕事を辞めなければならない」「両親の介護問題」といった理由により家族そろっての転勤は敬遠されて単身赴任者が増加傾向にあり、その割合は今や企業に勤める人の30人に1人とも言われています。
その単身赴任者に人気なのが家具付きの賃貸物件で、短期の単身赴任も多く、ウィークリーやマンスリーのマンションも人気を集めています。
このような時代の変化から、都心のワンルームマンションは、ウィークリー・マンスリーマンションとして短期から長期ステイのホテル代わりに使われるようにもなりました。
ちなみに、ウィークリーマンションの場合、オーナー様から部屋を借り、第三者に転貸借するのが一般的で、運営会社は部屋を貸すことで収益を得ていますので、運営会社に部屋を借りてもらったオーナー様は空室の心配もなく、マンション経営を行えます。
増加する外国人旅行者のホテル代わりに
2017年6月9日に「住宅宿泊事業法案」が成立しました。
政府は2020年までに訪日外国人2000万人を目標に掲げていましたが、その目標を2016年で達成しました。そのため、ホテル不足を解決することが急務になりましたが、旅館業法との折り合いがつかず、肝心の民泊条例が機能していないことも大問題となっていたなか、その健全な普及を図るために、一定のルールを定めたものとしてこの「民泊新法」が成立しました。
この新法の成立は、都心のワンルームマンションのオーナー様にとっては、追い風になると思われます。理由としては先ほど例にあげたウィークリーマンションの運営会社が参入してくると考えられるからです。特に設備投資も必要なく、営業日数が制限された場合も残りの日数をウィークリーマンションとして利用できれば、何も問題ありません。
不動産投資も観光に影響される時代。物件の立地はこだわって決めたいものです。
高度な教育を受けた外国人人材の増加
アジアの拠点を目指している政府は、再開発したビルに外資系企業を積極的に入居させようと考えています。そのため、外資系企業を誘致するためにも、世界各国から留学生を積極的に集める「留学生30万人計画」というプロジェクトを発足させました。
企業も、世界に対してインフラやサービスを売り込んでいく狙いがあり、その基盤として日本で高度な教育を受けた外国人留学生を積極的に採用しています。このように外資系企業を受け入れるオフィスの完成や日本語も外国語も話せる高度な人材が集まることで、アジアの拠点としての機能が完成に向かっていき、多くの外資系企業、日本企業に勤務する外国人の社員が東京に住むことになるでしょう。
外国人社員の住宅も職場から近いほうが望ましく、自治体もオフィスと住まいの距離が近くなるような街づくりをはじめました。これらの取り組みから外資系企業も増え、そこに通勤する外国人社員の住宅として、都心の賃貸住宅の入居ニーズが高まることが予想されます。
こうした多様化する東京の賃貸マンション事情により、今後も東京都内、特に都心でのコンパクトマンションのニーズは高まっていくと思われます。