【人事トラブル】行方不明になった社員の取り扱い
採用力育成コンサルタントの桐生です。
【お問合せ】
先日採用した営業社員が、1か月も経たずに退職を申し出てきました。会社としては採用したばかりですし、新規の取引先を担当させようと考えていたので、辞められると新規の会社への対応ができなくなり、会社に与える影響が大きいです。損害賠償できますか?
【お答え】
労働者には、職業選択に自由があります。
突然退職を申し出たとしても、そのことについて違法性を問うことはできません。
また、労基法では、労働契約の不履行について、あらかじめ違約金を定め、損害賠償を予定する契約をしてはならない、と規定があります。
つまり、採用や退職に際して、損害賠償を支払うとの約束をしても、無効になります。
また、採用に要した費用や、教育研修の費用など、業務遂行運営に支障をきたしたなど、有形無形の損害について、直ちに損害賠償を請求する理由にはなりません。
しかし、現実に生じた損害について、損害賠償を請求することはできます。
実際の判例では、採用直後に退職したために、取引先からの契約を解除される損害を被ったとして、退職後の社員との話し合いで、200万円を支払う約束をしたとして、請求を求めた事例があります。
このケースでは、会社側の労務管理にも問題があったとして、一定の理解を会社にしましたが、請求額の全額ではなく一部の賠償請求を認めています。
ご相談のケースでは、一般的には損害賠償の請求は認められないでしょう。
判例のような事情があるかどうかを検討して対応することです。
別の観点になりますが、採用選考(面接時など)で、しっかりと業務を遂行できるか、人柄などを十分に見極めてから採用をすることで、あらかじめ人事トラブルを防ぐようにしましょう。