真の国語‐音読と音韻について 上

小田原漂情

小田原漂情

テーマ:国語

 かねてお伝えしている言問学舎の「真の国語」ですが、その前提には音読があります。その音読も、文章や言葉が有している「音韻」をしっかり押さえた音読をすることで、深い読解力を身につけることができるということを、これもいく度かお話ししました。「音読と音韻」が、国語力、読解力の向上にどうして、そしてどれほど効果があるのかということを、具体的事例もまじえてお話しさせていただきます。

 まずは小学校、中学校、高等学校での「音読」についての実情ょお伝えします。公表されているデータや統計的なものではなく、あくまで言問学舎に来ている生徒たちから聞き取りをした結果に基づいています。

 小学校低学年、すなわち1年生、2年生では、おそらくほぼ100パーセント、学校の国語の授業で生徒全員が声に出して読む音読をした上で、「教科書を音読しましょう」という家での宿題も出されていると考えられます(一部、きわめて特殊な指導をしていることで知られる学校を除きます)。

 小学3年生、4年生でも音読はしていますが、授業では頻度が多少低くなり、また家での宿題でも音読は減っているか、あるいは出されていない場合もあるようです。そして5年生、6年生になると、さらに頻度が低くなり、音読の宿題となると「ある方がめずらしい」という状態だろうと思われます。

 中学校では、さらに音読を実施している率は下がるようです。一年時にある程度実施しているケースもあると思われますが、中学では、映像または音声教材で「朗読を聴かせる」形態が多くなります。特に部活動の面倒も見、高校受験の指導や、その他もろもろ「やらなければならない」、「やらされている」仕事の多い先生たちに、音読の練習をして自分の声で生徒に聞かせる余裕はないのかも知れませんが、音読(朗読)には声に出して読んでいる人の解釈が盛りこまれるのですから、自分が教えようとする解釈に沿った音読を、教える先生が自分でするのが筋ではないでしょうか。

 ただ、現在の教科書には、「聴かせる」単元までありますから、現場の先生だけの問題ではないとも考えられます。

 私は中学時代、3年間韻文学クラブでご指導を賜った恩師のすばらしい音読で、「奥の細道」も「春望」も教わりました。今でも「奥の細道」の「平泉」のくだりを自分が音読して生徒に聞かせるときなど、自分の声が恩師のお声と重なっているように感じます。

音読通巻1

 次に、音読の効用についてお話ししなければなりません。音読をすることで、脳が活性化するということは、私が若いころ、三十年以上前にも、たびたび聞くところでした。

 さて、言問学舎は「真の国語」を教える塾として音読を国語指導の柱に据えておりますが、その音読は、音韻を生かした音読、すなわちそれによって音韻をつかむことができる点こそ第一であると考えています。音韻とはもっともわかりやすく言えば言葉や文章の抑揚、強弱のことです。よく挙げられる例として「はし」がありますね。前の音「は」が高く後の音「し」が低いアクセントの語が、関東ではご飯を食べる時に使う二本一組の「箸」ですが、関西ではブリッジの「橋」であり、その反対のアクセントの語が、関東では「橋」、関西では「箸」だというものです。そうした違いをまったくとらえず、平板(へいばん)に音の羅列として読んでいたのでは、「声に出して読んではいるけど中身がまったく頭の中に残っていない」状態になることも、不思議ではありません。抑揚、強弱についても同様です。
                                                                   つづく


音読通巻2


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小田原漂情
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小田原漂情
専門家

小田原漂情(学習塾塾長)

有限会社 言問学舎

<真の国語>とは?正解を見つける力ではなく、文章の本質を読みとり、自分の身に引きつけて、生きた考えを組み立てられる力のことです。それをすべての生徒が「わかる」ように、かつ「楽しく」指導します。

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