高校生の期末テスト対策 『こころ』(夏目漱石)の解釈はこれで万全!
高校の古文(1年生の言語文化の中の古文と2・3年生の古典の中の古文)のテストで文法ができていても、大学入試問題になると苦戦する人が多い、ということをお話ししました。例をあげて、そのことをご説明します。
<かの大納言、いづれの舟にか乗らるべき。>(大鏡:三舟の才)
さほどこみ入った文法ではありませんが、いざ訳してみようとか、文意にふさわしい選択肢を選べという段になると、迷う人が多いです(高校2、3年生)。まずは訳してみましょう。
あの大納言は、どの舟にお乗りになるのだろうか。
この一文で文法上注意すべきは、「いずれの舟にか」の「か」、「乗らるべき」の「る」と「べき」の3点です。このうち「か」は係助詞で、「べき」という連体形の結びを取りながら疑問の意を表します。「る」は尊敬の助動詞「る」の終止形、「べき」は推量の助動詞「べし」の連体形です。大納言に対して敬意を表すため尊敬の助動詞「る」が用いられ、その大納言がどの舟に乗るのだろうかという関心(後述します)を「か」と「べき」が表しています。
そしてこの一文は、時の最高実力者藤原道長が、和歌の舟、管弦の舟、作文(さくもん、漢詩のこと)の舟、と三種類の(文学と芸能の技をきそう)舟を大堰川に出させて遊ぶ催しをした時に、一族の藤原公任(きんとう、この文の「かの大納言」)がどの舟に乗るだろうかと関心を示したせりふです。「大鏡」の別の章で、道長がまだ年少だった際、公任の才能がすぐれていることを父の兼家が「あの公任に比べ、うちの息子たちはふがいない。公任の影でも踏ませたい」と嘆いた時に、悄然とする兄二人の前で「影なんか踏みませんが、面を踏みつけてやります」と言い放った逸話が書かれていますが、その「公任の才」について、この文章(「三舟の才)を読むまでは知らなくとも、あわせて教えてあげることが大切です。
また先の例文では、「べし(べき)」が推量・意志・可能・当然・命令・適当の六種類の用法を持っていることや、「か」→「べき」の係り結び、また係り結びの意味・用法と、複数の文法の知識が同時に問われていることが、多くの高校生を迷わせるわけであります。さらにこの文の前後では、道長に対してだけ二重敬語が使われており、その箇所は道長について述べているのだということも、あわせて理解する必要があります。
このように、一つずつの項目でなく、複数の文法事項が組み合わさって用いられている古文の文章を読みながら、出て来た瞬間に自然に判断できる文法力をそなえていることが、「生きた文法」です。それを身につけるためには、古文の「知識」は必要最小限のポイントを押さえるにとどめ(言問学舎刊『文語文法の総仕上げ』を活用)、音読を併用しながら文章に沿って文法を理解していく、言問学舎ならではの古文の学習が最適です。
2024-25言問学舎の冬期講習を受講する高校2年生・1年生には、もれなくこの『文語文法の総仕上げ』を差し上げます。そして「生きた文法」を身につけられる魅力的な古文の授業を、存分に受けることができます(授業担当は、舎主・小田原漂情ともと本職の高校国語教員の講師、計2名です)。
今週末、11月9日土曜日から、冬期講習説明会を開催します。近日中に説明会日程をご案内致しますので、少しの間お待ち下さい。
国語力に定評がある文京区の総合学習塾教師
小田原漂情
文京区の総合学習塾・言問学舎HP
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