小学4年生は、「読む力」を大きく伸ばせる時です~秋はさらに重要です

小田原漂情

小田原漂情

テーマ:国語

 言問学舎の「真の国語」教育は、今年5月に『国語のアクティブラーニング 音読で育てる読解力 小学2年~4年対応3』を出版して、当初から計画していた第一のシリーズを完結させました。教育ですから、これで出来上がりということではなく、周辺情報配信等を含めてさらに改良を加えていかなければならず、道はつづくのですが、本としての第一段階は、いったん完成したという状況です(第二段階、新シリーズは計画済みですが、後日改めてご案内します)。

音読完結篇表紙

 さて、今回の『国語のアクティブラーニング 音読で育てる読解力 小学2年~4年対応3』には、兼好法師の『徒然草』の中でもよく知られている「仁和寺にある法師」というお話を、おもに小学4年生に向けた「仁和寺のお坊さん」という物語として翻案し、掲載しております。以前にもこのブログ(コラム、記事)でお伝えしましたが、かいつまんでの内容は、こんなところです。

 京都の仁和寺にいたあるお坊さんは、ある時思い立って、長年考えていながら実行していなかった石清水八幡宮参りに一人で出かけます。そしてたどり着いた石清水で、ふもとにある極楽寺と高良神社にだけ参拝して、それから山の上へ向かう人々に気づいていたのですが、「自分は神様にお参りするのが本来の目的だから」と考えて、みんなが上っていく山の上を調べずに帰って来てしまったのです。それでも念願を果たしたと思いこんでいるお坊さんは、仲間のお坊さん(かたへの人)に、「いやあ、長年気にかかっていた石清水参りをとうとうやりとげましたよ」と嬉しそうに語るのでした。

 『徒然草』では、これを受けて、「どんなことでも、その道の先導者はあってほしいものだ」という述懐で終わります。ところで小学生、それも4年生または3年生に(第3巻の巻末の作品ですから、2年生ではなく、4年生を主として考えています)、教訓めいたことを「教えて」終わりにするのではなく、このお話から、どんなことを感じとってくれるか、それを主眼として物語化し、「読解シート」の問いかけも設定したのです。

 具体的には、この本での物語「仁和寺のお坊さん」では、石清水から帰ったお坊さんが、やや得意そうに「やっと念願を果たしましたよ」と仲間のお坊さんに語るけれども、仲間のお坊さんは話の内容から、このお坊さんの石清水八幡宮参りが成功していない(肝心の山の上の八幡宮にお参りしていない)ことを察して、何も言わずにちょっと気の毒そうな顔をして奥へ引っこむ、という段取りにしてあります。

 そして原作通りの、「お参りする人がみんな山の上に上っていたけれど、何があったのだろう。自分は神様にお参りするのが本意だから、山の上までは見なかった」というお坊さんのせりふとあわせ、読解シートの問いかけで、①「山の上には何があったと思うか」、②「話を聞いた仲間のお坊さんは、どんな気持ちになったと思うか」の二点をたずねます。

 昨年度この授業を受けた言問学舎の4年生(現5年生)、1年間『国語のアクティブラーニング 音読で育てる読解力』小学2年生~4年生対応1、2巻で学んできた3人の子たちのうちの2人は、みごとに「仲間のお坊さんは気まずかったと思います。なぜなら石清水を拝むことができていないのがわかったから。」という意味のことを、しっかり答えてくれました。もちろん、この話をまったく知らない子たちが、です。彼らは、「石清水八幡宮が本当はどこにあるか、わかりましたか」という問いかけにも、文章を読んだだけで(図解なしで)、「山の上」と正解を出してくれました。

 この問いかけは、「きわめてむずかしいもの」ではありません。しかし文章の全体を読む力がないと、望ましい答えを書くことはできないでしょう。さらに主人公のお坊さんでなく、その話(当人が気づいていない失敗談)を聞いた仲間のお坊さんの気持ちを考えて書くのですから、相当の読解力が求められるものでもあります。それをきちんと読みとった子たちをまずほめるべきですが、『国語のアクティブラーニング 音読で育てる読解力』小学2年生~4年生対応1、2巻で学び終えていたことも、やはり大きな材料であると考えられます。

 ご紹介した、2人の現5年生は、7月にはじめて首都圏模試に挑みました。事前に過去問を一度解いて教える指導はしましたが、首都圏模試の本番の長い文章を読んで時間内に解くための訓練として実施しただけのことであり、特別に「解き方」の指導などはしませんでした。が、結果は2人の偏差値の平均が57というものでした。日ごろは同じような形式の問題は解いていない状態においてです。もちろん「音読で育てる読解力」だけでなく、通常の読解問題をプリントで解く授業は行なっていますが、「音読‐」型の授業との比率は2対1です(「音読‐」型が2)。言問学舎の「真の国語」教育が「テストで点数を取らせることにも長けている」ことの一例として、保護者の方々のご了承をいただいて、お知らせするものであります。

 小学4年生は、このように国語の力を大きく伸ばせる、大切な時期であると言えます。また、秋は国語力を大きく伸ばし、さらに全教科の学力を引き上げられる季節です。秋は心が動きやすく、感覚が研ぎ澄まされる時期なのです。2学期スタートとあわせ、良いスタートを切っていただけるよう、ご相談をお待ち致しております。


国語力に定評がある文京区の総合学習塾教師
小田原漂情
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小田原漂情
専門家

小田原漂情(学習塾塾長)

有限会社 言問学舎

自らが歌人・小説家です。小説、評論、詩歌、文法すべて、生徒が「わかる」指導をします。また「国語の楽しさ」を教えるプロです。みな国語が好きになります。歌集・小説等著書多数、詩の朗読も公開中です!

小田原漂情プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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