小学生の親御さん必見!「だれでもできる読書感想文の書き方 その①あらすじのまとめ方」
もっちゃん4 だいこうぶつ
もっちゃんは、おうちの中で飼(か)われています。もちろんふだんのごはんはドッグフードですが、「外飼(そとが)い」のわんちゃんたちのように、ドッグフードだけをお皿(さら)にのせてもらう食生活(しょくせいかつ)ではありません。おうちの中でドッグフードを食べていても、パパやママ、おねえちゃんやおにいちゃんたちが、そばでいっしょにごはんを食べていることも多いのです。家(か)ぞくといっしよにごはんを食べるわんちゃんのすがたは、とてもしあわせそうですね。
でももっちゃんには、いえそれよりもたぶんパパたちには、ちょっと困ったことがありました。もっちゃんはもともと食いしんぼうなので、パパたちが食べているいろいろなものを、ほしがるのです。かわいいもっちゃんにおいしいものを食べさせてあげたいという気持ちはたくさんあるのですが、それであまり食べすぎて、太ってしまっては、わんちゃんの健康(けんこう)じょうたいとして、いいことではありません。そのためパパは、時には心を鬼にして、もっちゃんにおいしいものをあげなかったり、そっとかくしたりするのでした。
ある時、こんなことがありました。遠くからおいしそうな柿をたくさん送って来て、テーブルの上に置いてあったのです。夜おそく帰って来たパパが、お酒のあとにのどをうるおしたいと思って、一人で皮をむいていました。もうみんなねています。さっと柿を食べて、自分も早くねようと思ったパパが、くるくると柿の皮を、むき終えたときです。
ふとパパは、だれかのけはいを感じました。家(か)ぞくが起き出したような音は、していません。気のせいかな、と思ったパパが、柿を四つに割って、その一つを口に入れようとしたときです。
またパパの背中にささった、だれかの視線(しせん)。パパは今度はぴんと来て、ななめうしろの、となりの部屋との境(さかい)に目をやりました。
すると、やっぱり。そこにはもっちゃんがぺろりと舌を出して、うれしそうに、また柿の実を食べたそうに、ハアハアと言いながらおすわりしていたのでした。
「ああっ、しまった。」
パパは背(せ)すじから、すーっと血(ち)の気(け)がひいていくようでした。この間ももっちゃんの体重はラインをこえていたから、食べさせるわけにはいかない。でも子犬のとき、よく熟(じゅく)した柿の実をほんの少し食べさせたことがあり、もっちゃんはそのあまさが、すっかりお気に入りになっていたのです。夜おそく帰って来たから、もっちゃんもねているものだと思いこんで、うっかりよく見えるところで、柿の実をむいてしまった。ここはもう、自分も今夜の柿の実は、あきらめるしかない・・・。
パパは黙って、柿の実をのせたお皿をラップでくるむと、冷ぞう庫にしまいました。そしてもっちゃんをいっしょにねどこに連れていき、水を一ぱいだけ飲んで、もっちゃんといっしょにねたのでした。
そう、もっちゃんのだいこうぶつの一つに、秋の食卓(しょくたく)をいろどり、とてもあまくてみんなをむちゅうにさせてしまう、柿の実がありました。むかしむかし、砂糖(さとう)が高級品(こうきゅうひん)であまいものがなかなか口に入らないころ、柿の実のあまさが、「あまさ」の代表(だいひょう)だったのだと言います。もっちゃんは、小さいときからそんなおいしいもののことを、よく知っていたのですね。
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