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小田原漂情

国語力に定評がある文京区の総合学習塾教師

小田原漂情(おだわらひょうじょう) / 学習塾塾長

有限会社 言問学舎

コラム

四半世紀をかぞえて

2018年8月21日 公開 / 2021年3月1日更新

テーマ:小田原漂情

コラムカテゴリ:スクール・習い事

 本日は藤山一郎先生のご命日にあたります。言問学舎HPの塾長ブログに書いた文章を、そのまま転載させていただきます。


 ここ数日、わりと涼しさを感じる日がつづいていたが、今日は朝から陽射しが強く、夏らしい空が広がっていた。まさに太陽の力を総身に受けて、駅までの道を歩いたが、なつかしき旋律がよみがえって来るのとともに、私自身の存在の奥底から、強い力がみなぎって来ることを感じていた。

 今日8月21日は、藤山一郎先生のご命日である。ことしで25年。四半世紀を数えるに至った。おなくなりになったのは1993年のことだった。二十世紀のうちは、あえて紹介するまでもなく誰もが「ああ、あの方」というくらいには先生のことを知っていたが、塾の生徒のほとんどが二十一世紀生まれであるこんにち、四半世紀という時の大きさを、思わぬわけに行かない。

 この夏休み、昔ほど子どもたちのにぎわいはないようだが、「今朝ラジオ体操に行って来た」という声を、二度ほど聞いた。そのつど思ったのは、『ラジオ体操の歌』である。現在も多くの人々に親しまれているあの名曲は、藤山先生が作曲なさった曲であり、ご自身が歌われて、世に広めて下さった。小学生の頃、転居先での夏休みには朝のラジオ体操が全員強制参加で、そこで流されている「体操用」のテープの歌には、正直なじめなかったものだが、長じてからテレビで藤山先生が自ら歌って下さる『ラジオ体操の歌』をお聞きして、「こんなにすばらしい歌だったのか」と瞠目するとともに、体がふるえるような感激につつまれたことを思い出す。今朝はその時の力がもどって来たように思われたのだ。

 25年前のこの日、私は名古屋に住んでいて、営業の仕事を午前で切り上げ、午後は半休をもらって、豊橋から新幹線で上京した。居ても立ってもいられず、ご自宅へ弔問に駆けつけたのである。ご自宅では、お柩の先生に一人ずつ「献花」ができる祭壇をしつらえて下さっていた。ご生前にお目にかかる機会のなかった私は、この時はじめて先生のご尊顔をじかに拝して、ただ深く頭を垂れるばかりであった。献花させていただいた時には、先生の『懐かしのボレロ』が流れていた。四半世紀前のことではあるが、昨日のことのように覚えている。

 今年は春の終りに、祐天寺で知人と会う機会があり、自宅から歩いて行った。藤山先生のお住まいの辺りを、もとおるためである。25年前に弔問に伺った日からしばらく経って、家内との結婚を内々ご報告するつもりでお近くを歩かせていただいた日以来のことになるから、二十何年ぶりのことだった。油面(あぶらめん)というご近所の一帯は、閑静な住宅街だが、凛とした空気の中、いつも私を先生がやさしく迎えて下さるように思われる。そして毎年誓うことだが、先生から受け継がせていただいたものを、今後も心して、守り、伝えて行かなければならないということが、強く感じられた。四半世紀をかぞえたご命日の今日をむかえて、あらためて自分自身のなすべきことと心に思う次第である。

2018年8月21日
小田原漂情

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