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小田原漂情

国語力に定評がある文京区の総合学習塾教師

小田原漂情(おだわらひょうじょう) / 学習塾塾長

有限会社 言問学舎

コラム

「あなたかも知れない」を、自分のことと

2017年8月6日 公開 / 2021年3月1日更新

テーマ:小田原漂情

コラムカテゴリ:スクール・習い事

 例年同様、本日8月6日の所感につきまして、「引用」の形で、敬体ではなく常体のまま、掲載させていただきます。日頃の文面にくらべて固く、失礼のある点はおゆるし下さい(言問学舎HPのブログと同内容です)。

 今年も8月6日を迎え、朝からTVで広島の平和(記念)式典を見、8時15分に黙禱した。今日、新たに原爆慰霊碑に死没者として納められた名簿に名前のある方は5530人、72年間の総計は、30万8725人となった。

 今日の式典でもっとも印象深かったのは、松井一實広島市長の平和宣言で、「皆さん」という呼びかけにはじまり、大半の部分を通して日本の、いや全世界の一人一人の人々に向かって語られたその言葉と、一人一人に「自分のこととしてとらえること」を求めたと思われる、語調であった。

 とくに、次の一節は引用させていただき、本稿をお読み下さる方々とともに今後のことを考えるいとぐちとしたい。

 「このような地獄は、決して過去のものではありません。核兵器が存在し、その使用を仄(ほの)めかす為政者がいる限り、いつ何時、遭遇するかもしれないものであり、惨(むご)たらしい目に遭(あ)うのは、あなたかもしれません。」

 惨たらしい目に遭うのが「あなた」、すなわち自分であるかも知れない、と考えることが荒唐無稽な空想であると思う人は、現在の日本でも多くはないだろう。仮定、仮想の段階を超え、もしかしたら実際にそうした事態が生じるかも知れないと、思わないわけにはいかない、現在の国際情勢である。

 こども代表による「平和への誓い」では、被爆後の広島で生き抜いた人たちが「あきらめなかった」から、広島が緑と命のあふれる街の姿をとり戻した、という意味のことが語られた。現在の、ともすれば兵器には兵器で対抗すればいい、という意見が拡大しがちな状況にあってこそ、より高次の視点から、あきらめない行動と努力を尽くすことが必要であろう。

 核兵器禁止条約を日本政府が締結促進するよう、松井市長の平和宣言は求めた。アメリカの核の傘の下にある日本が、アメリカの意向を忖度するのは、戦後72年ずっとつづいて来たことであり、それだけの理屈なら誰にでもわかる。そこから踏み出し、独自の立場を打ち立てることこそが、真に偉大な為政者の為すべきことではなかろうか。そのような為政者の政策・方針であるなら、国民が正面から意思表示に向かうことも、また必然のつとめとなるであろう。

2017年8月6日
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