小学生の親御さん必見!「だれでもできる読書感想文の書き方 その①あらすじのまとめ方」
昨日お話ししたことばの「調べ」と「手ざわり」のうち、書いた文字でお伝えしやすい「手ざわり」について、前後に置かれた言葉を対比しながら、具体的にご説明しましょう。
横光利一の『春は馬車に乗って』から、引用します。歴史的仮名遣いの文章で、「スヰトピー」は「スイトピー」です。
A.一艘の舟が傾きながら鋭い岬の尖端を廻つていつた。
B.知人から思はぬスヰトピーの花束が岬を廻つて届けられた。
A、Bともに、「岬」を「廻つて」と、同じ言葉が使われています。一読して、どのような印象を受けましたか。
Aの方は、「岬」に「鋭い」、「廻つて」に「尖端を」という修飾語がついていて、さらに動作の主体である舟は、遠ざかっていきます。
Bでは、「岬を」「廻つて」のいずれにも修飾語はなく、また文の動作の主体であるスヰトピーの花束は、こちらへやって来ます。
あえて、小説全体の流れには触れずに検証しますが、Aの方は、修飾語の語感と、遠ざかる動きから、「岬」は尖鋭な、危ういイメージのものとして受けとられることが多いのではないでしょうか。そしてBは、「岬を」廻ってくるものが「花束」であり、それが贈り物であることからも、明るい、やさしい印象が「岬」にあるのではないでしょうか。
これがお話しした、ことばの「手ざわり」の例です。「調べ」については、音声を伴わないとお伝えすることはむずかしいので、こちらは言問学舎へお出でいただく機会のある時に、お伝えしたいと思います(中長期的には、音声もWebを利用してお伝えできるようにする考えです)。
言問学舎の国語教育の一端、そのベースとなっていることの一部分を、お伝えさせていただきました。教材となる文章のすみずみにまで、こうした理解の行き届いている言問学舎の国語教育で、ぜひお子さんの国語力を伸ばすよう、お考えになってみて下さい。
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