季節感や、自然の彩色を言葉で教えることが、「読解力」を向上させます!

小田原漂情

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テーマ:国語

 丸山薫という詩人の作品に、『北の春』という佳品があります。あまり長くないので、引用させていただきます(文理「WinPass」中学国語1年より引用)。

 北の春        丸山 薫

どうだろう
この沢鳴りの音は
山々の雪をあつめて
轟々と谷にあふれて流れくだる
この凄じい水音は

緩みかけた雪の下から
一つ一つ木の枝がはね起きる
それらは固い芽の珠をつけ
不敵な鞭のように
人の額を打つ
やがて 山裾の林はうっすらと
緑いろに色付くだろう
その中に 早くも
辛夷(こぶし)の白い花もひらくだろう

朝早く 授業の始めに
一人の女の子が手を挙げた
―先生 燕がきました

 この詩は小6から中2ぐらいの生徒に、この季節、好んで教えるのですが、「やがて 山裾の林はうっすらと/緑いろに色付くだろう」の季節感、色彩感を教えるのは、ちょっと大変です。

 冬のあいだ雪におおわれていた枯れ枝の山を、都会の子どもたちは知りません。知らないからわからない、で終わらせるのでなく、薄茶色の枯れ木の山に、一つ一つの木がそれぞれ淡い緑の芽を出して、全山がうす緑に染まって行く様子をイメージさせ、見知らぬ土地への想像をふくらませてあげるのが、国語という仕事です。写真や映像を見せるのではありません。言葉で表現された世界を、言葉でイメージさせるのです。

 これができるようになった子どもたちは、考える力も豊かになります。この詩の場合、丸山薫というすぐれた詩人が残してくれた魅力ある作品を、後代の私が受け取って、それを今の子どもたちに読み解いて手渡してやる、そういう営みです。そして言葉の持つ大きな力を、子どもたちが生きていく上で役立つように、子どもたち自身の力にして持たせてあげる、その点に、国語を教えることの価値と喜びがある。そのように私は考え、子どもたちを育てています。


五日市の春の山(落葉林ではありませんが)


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小田原漂情
専門家

小田原漂情(学習塾塾長)

有限会社 言問学舎

自らが歌人・小説家です。小説、評論、詩歌、文法すべて、生徒が「わかる」指導をします。また「国語の楽しさ」を教えるプロです。みな国語が好きになります。歌集・小説等著書多数、詩の朗読も公開中です!

小田原漂情プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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