【ことばの世界】梅雨なのに水無月?

テーマ:国語

 今日から6月。古い月の名を今の暦にそのまま当てはめると、「水無月~みなづき」ですね。これから梅雨に入るこの6月が「水無月=水のない月」とはどうして?と思われたことがありませんか?

 中高生に古文を教えている時は、現在の太陽暦と旧暦(太陰暦)の月割カレンダーを書かせて丁寧に指導しますが、これは旧暦の月が、現在の月よりも一ヶ月~一ヶ月半程度、おそく巡ることに起因しています。

 「旧正月」のことを思い浮かべて下さい。1月末から、年によっては2月の10日すぎぐらいに、旧暦の元日が巡って来ますね。そこから一カ月ずつ起算して、実際の季節の動きに合わせて行くと、旧暦ではちょうど今頃から、「皐月(さつき)」に入ります。皐月の雨=五月雨(さみだれ)、すなわちこれからはじまる梅雨の長雨が、あの(芭蕉の)最上川の水量を、滔々とみなぎらせたわけですね(旧暦の5月末から6月はじめに、「五月雨をあつめて早し最上川」にかかわる一連のできごとがあったようです)。

 そして梅雨が明けるころ、旧暦の6月=水無月に入って行くのだと考えれば、「水のない月」もなるほどと、考えられるのではないでしょうか。

 うつくしい豊富なことばの世界が、日々の生活を彩ってくれます。子どもたちの成長~教育の場面も、またしかり、です。

国語力に定評がある文京区の総合学習塾教師
小田原漂情
文京区の総合学習塾・言問学舎

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小田原漂情(学習塾塾長)

有限会社 言問学舎

<真の国語>とは?正解を見つける力ではなく、文章の本質を読みとり、自分の身に引きつけて、生きた考えを組み立てられる力のことです。それをすべての生徒が「わかる」ように、かつ「楽しく」指導します。

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