古代中国における食医の役割とは?
(写真は、漢方生薬「芍薬」)
中国の医学を知る上で、どうしても外せない書物が存在します。
それは三大古典と呼ばれている
・「黄帝内径」
・「傷寒論」
または「金匱要略方論」
・「神農本草経」
の三書です。
これらは中国や日本などで漢方医学の聖典として非常に重要な位置を占めており、今日の中国医学、漢方医学の骨幹となる医書といっても過言ではありません。
今回は、その内容について簡単に触れていきます。
●「黄帝内径」
約2000年前、中国における戦国時代に書かれたとされる中国最古の医学書です。著者は不明となっていますが、混乱の世に出されたこの書物には、本質を見極めて「人」を治すという考え方が記されています。
構成は素問編と霊枢編から成り立っており、身体の仕組みや診断、治療法、そして予防に至るまで広く解説されていて、歴代の経験や努力が結集している一冊なのです。
●「傷寒論」「金匱要略方論」
どちらも後漢時代、黄帝内径が基礎となり張仲景が記したとされていますが、真偽のほどは定かではありません。
これらは高度な医術を伝えているだけではなく実用的であるため、今日でも重宝されています。
どちらも黄帝内径よりもさらに踏み込み、各疾患の症状や原因など詳細に書かれていることが特徴です。
傷寒論では、疾病は常に変化するものであり、各々の時点で診断を下すことの重要性を記しています。
また、治療方法や薬物の使い方などの治療体系がまとめられています。
一方、金匱要略方論は傷寒論よりも後に書かれたとされており、慢性疾患が中心となった医学書になります。
●「神農本草経」
上述した書物が医術について書かれているのに対し、こちらは薬学に特化したものになります。中国最後の薬学書ですが、その著された時代も人物も不明とされています。
神農本草経は365種類もの植物や鉱物など、薬となる有効成分について体系的に書かれていることが特徴であり、現代に通じる重要な生薬についても詳細に記されている貴重な書物です。