子連れ再婚後、夫婦仲が悪くなったら?

平田えり

平田えり

テーマ:ステップファミリー

――子どもを変える前に考えてほしいこと

「再婚してから、子どものことで喧嘩ばかりしています」

ステップファミリーのご相談を受けていると、こうしたお話を伺うことがあります。

結婚する前は仲が良かった。

「この人となら、子どもも含めて幸せな家庭をつくれる」

そう思って再婚したはずなのに、一緒に暮らし始めると、

「もっとちゃんと子どもをしつけてほしい」

「そんなに私の子どもを否定しないで」

「結局、いつも子どもの味方だよね」

「あなたは私の子どもが嫌いなの?」

そんな言葉が増えていく。

気づけば、夫婦の会話のほとんどが「子どもの問題」になっていることもあります。

でも、本当に子どもだけの問題なのでしょうか。

子どもの問題に見えて「夫婦の問題」になっていることがある


ステップファミリーでは、実親と継親で子どもとの関係のスタート地点が違います。

実親には、子どもと一緒に過ごしてきた年月があります。

楽しかった時間も、大変だった時間も、離婚や死別など家族の変化を一緒に経験してきたこともあるでしょう。

一方、継親にはその時間がありません。

結婚したからといって、その日から実親と同じような親子関係ができるわけではありません。

ところが、一緒に暮らせば、

片づけ、食事、ゲーム、スマートフォン、勉強、門限、お金、生活時間、言葉遣い……。

さまざまな場面で「家庭のルール」の違いが見えてきます。

そこで継親が注意すると、実親は子どもを守りたくなる。

実親が子どもをかばうと、今度は継親が、

「私はこの家族の中で一人なんだ」

と感じる。

こうして、もともとは子どもの生活習慣についての話だったはずなのに、

「あなたは私の気持ちを分かってくれない」

という夫婦の問題に変わっていくことがあります。

「あなたの子どもを何とかして」の奥にある気持ち


継親から、

「あなたの子どもを何とかして」

と言われたら、実親は傷つくと思います。

「自分の子どもを否定された」と感じるからです。

でも、その言葉の奥には、

「私の居場所がない」

「私ばかり我慢している」

「あなたはいつも子どもの味方」

「私もこの家族のために頑張っているのに」

という、継親の孤独が隠れていることがあります。

つまり、子どもへの怒りのように見えて、実は、

「パートナーであるあなたに分かってほしい」

という気持ちなのかもしれません。

実親が子どもを守りすぎてしまうのにも理由がある


反対に、実親が継親のしつけに敏感になることもあります。

それも単純に「子どもを甘やかしている」からとは限りません。

離婚や死別を経験させた。

転居や転校を経験させた。

そして自分の再婚によって、もう一度生活を大きく変えることになった。

そんな経験から、

「これ以上、この子を傷つけたくない」

「自分の再婚で子どもを不幸にしたくない」

という気持ちを抱えている実親もいます。

そのため、継親が子どもを注意すると、必要以上に子どもを守ろうとしてしまうことがあります。

実親にも継親にも、それぞれ理由があるのです。

実親は「橋渡し役」を意識してみる


ステップファミリーでは、実親の役割がとても重要です。

私は、実親には子どもと継親の**「橋渡し役」**になってほしいと考えています。

継親に、

「結婚したんだから、あなたも親でしょう」

と子育てを丸投げしない。

でも反対に、

「あなたは本当の親じゃないんだから口を出さないで」

とも言わない。

子どもの気持ちを聞きながら、継親の気持ちにも耳を傾ける。

どちらか一方を選ぶのではなく、二つの関係をつないでいくことが大切です。

継親は「親になろう」と頑張りすぎなくてもいい


そして継親にも、お伝えしたいことがあります。

家族関係が悪くなっているときほど、

「もっとちゃんと親にならなければ」

と頑張りすぎないでください。

一度、

「親になる」から「安心して一緒に暮らせる大人になる」へ

役割を戻してみてもいいのです。

挨拶をする。

一緒に食事をする。

子どもの好きなものを知る。

困っていたら少し手を貸す。

話しかけられたら話を聞く。

そんな小さな積み重ねでも十分です。

親子関係は、婚姻届を出した日に完成するものではありません。

子どもを夫婦喧嘩の「仲裁役」にしない


実親と継親の仲が悪くなったとき、特に気をつけてほしいことがあります。

それは、子どもを二人の間に入れないことです。

「あなたもあの人がおかしいと思うでしょう?」

「お母さんには内緒にしてね」

「新しいお父さんの言うことなんて聞かなくていい」

このように子どもを味方につけようとすると、子どもは大人同士の問題を背負うことになります。

「お母さんに伝えておいて」

「○○さんに聞いてきて」

と、子どもを伝書鳩にすることも避けたいものです。

大人同士の問題は、大人同士で話す。

子どもに、

「どちらの味方になるの?」

という選択をさせないことが大切です。

「子どもと私、どっちが大事?」にしない


ステップファミリーでは、ときに、

「結局、子どものほうが大事なんでしょう?」

という気持ちが継親側に出てくることがあります。

でも、親子関係と夫婦関係は比べるものではありません。

実親が子どもを大切にすることと、パートナーを大切にすることは両立できます。

だから、

「子どもより私を選んで」

ではなく、

「私との関係も大切にしてほしい」

と伝えてみてください。

同じ寂しさを伝える言葉でも、相手への届き方はずいぶん変わります。

「あなたの子どもが問題」から「私たちが困っていること」へ


夫婦で話し合うときには、主語を少し変えてみてください。

「あなたの子どもは片づけない」

ではなく、

「家の片づけについて、私たちでルールを考えたい」

「あなたの子どもの態度が悪い」

ではなく、

「みんなが嫌な気持ちにならない話し方を考えたい」

「あなた」ではなく「私たち」を主語にする。

相手を責める話し合いから、一緒に問題を解決する話し合いへ変えていくための、小さな工夫です。

子どもを変える前に、大人同士の関係を整える


子連れ再婚後に問題が起きると、

「子どもをどうしたらいいでしょうか?」

というところから考えがちです。

でも、その前に一度、

「私たち夫婦の関係はどうなっているだろう?」

と振り返ってみてください。

子どもの問題に見えて、その奥には、

「寂しかった」

「分かってほしかった」

「味方になってほしかった」

「頑張っていることを認めてほしかった」

という大人同士の気持ちが隠れていることがあります。

ステップファミリーだからといって、実親と継親がいつも同じ意見である必要はありません。

大切なのは、違いが出てきたときに、

「誰が悪い?」ではなく、「私たちはどうしたら一緒に暮らしやすくなる?」

と話し合えることです。

ただし、暴力、威圧、脅し、人格否定、過度な束縛などがある場合は、単なる夫婦のコミュニケーションの問題として扱わず、安全を優先してください。

そして、何度話し合っても同じ喧嘩を繰り返してしまうときは、夫婦だけで解決しようとしなくてもいいのです。

第三者やカウンセラーに入ってもらい、それぞれの気持ちを整理することも一つの方法です。

子どもを変える前に、大人同士の関係を整える。

子どもに夫婦の問題を背負わせない。

実親も継親も、一人で頑張りすぎない。

ステップファミリーは、再婚したその日に完成する家族ではありません。

それぞれの気持ちや立場の違いを知りながら、時間をかけて、

「私たちらしい家族の形」

をつくっていってほしいと思います。

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平田えり
専門家

平田えり(カウンセラー)

NPO法人M-STEP

自身もステップファミリーやシングルマザー当事者であるカウンセラーが、「100日間カウンセリング」を実施。自信を持って自分の行動を選べる人になれるようサポートをします。不登校の悩みにも対応しています。

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