「期待に応える自分」を生きすぎてきたあなたへ ―― 自分を後回しにしてきた人生が、あなたを守り、同時に縛ってきた理由
「期待に応える自分」を生きすぎてきたあなたへ
―― もし“誰の期待にも応えなくていい時間”が1日だけあったとしたら、私は何を選び、何を選ばないだろうか?
「もし、今日は誰の期待にも応えなくていいとしたら」
そう想像してみて、あなたの心には何が浮かんだでしょうか。ほっとした感じでしょうか。
それとも、少し不安になったでしょうか。
あるいは、何も思い浮かばなかったかもしれません。何も浮かばなかったとしても、心配はいりません。
それは、あなたが空っぽだからではなく、
これまでずっと「誰かの期待」を基準に生きてきた証だからです。
1.「期待に応えること」が、人生の軸になっていた
あなたはきっと、
「求められることに応えるのが当たり前」
「役に立っている自分でいたい」
そんな思いを、大切にしてきた人なのだと思います。
頼まれたら引き受ける。
困っている人がいたら手を差し伸べる。
場の空気が重ければ、明るく振る舞う。
それは決して、自己犠牲だけの人生ではありませんでした。
あなたなりの誠実さであり、愛情の形でもありました。
けれど、その生き方が長く続くと、
「自分が何を選びたいのか」を考える機会そのものが、少しずつ減っていきます。
2.「選ばない」ことを、たくさん積み重ねてきた
期待に応える人生では、
実は、たくさんの「選ばなかったこと」が積み重なっています。
疲れていたけれど、休まなかった。
本当は違和感があったけれど、飲み込んだ。
断りたかったけれど、引き受けた。
その一つひとつは、とても小さな選択だったかもしれません。
けれど、それが何年も、何十年も続くと、
「選ばないこと」が癖として身体に残ります。
だから、「何を選びたい?」と聞かれると、
心が戸惑ってしまうのは、とても自然なことなのです。
3.もし“誰の期待にも応えなくていい1日”があったなら
ここで、少しだけ想像してみてください。
今日は、誰にも説明しなくていい。
誰にも評価されない。
誰の役にも立たなくていい。
そんな1日が、もし与えられたとしたら——。
あなたは、何を選ぶでしょうか。
そして、何を選ばないでしょうか。
何か特別なことをしなくてもいいのです。
大きな夢や目標でなくてもいい。
・予定を入れない
・一人で静かに過ごす
・何もしない時間を持つ
もしそんな選択が浮かんだとしたら、
それはあなたの心が、ずっと求めてきたものかもしれません。
4.選べない自分を、責めなくていい
「何も浮かばなかった」
「よくわからなかった」
そんな自分に、がっかりしなくて大丈夫です。
長いあいだ、期待に応えることを優先してきた心は、
すぐに自分の欲求を思い出せないように、やさしくブレーキをかけてきたのです。
それは、あなたを守るためでした。
だから必要なのは、
「もっとちゃんと考えなきゃ」ではなく、
「まだ思い出せていないだけなんだな」という、やさしい理解です。
5.選ぶことは、裏切りではない
自分のために選ぶことに、
どこか罪悪感を覚える人もいるかもしれません。
「誰かを置いていく気がする」
「冷たい人になりそう」
けれど、自分を選ぶことは、誰かを裏切ることではありません。
むしろ、
自分を置き去りにしない生き方へ、戻っていく行為です。
あなたがあなたの人生に戻ってくることは、
誰かの人生を奪うことではないのです。
6.よくある心のQ&A
Q1.何を選びたいか、どうしてもわかりません。
A.
それは、長いあいだ選ばなくても生きられるように、心が工夫してきた結果です。
わからないこと自体が、回復の途中にあるサインです。
Q2.自分のために時間を使うと、落ち着きません。
A.
期待に応えることが安心につながっていた場合、静かな時間は不安を連れてきます。
慣れるまで、少しずつで大丈夫です。
Q3.結局、人の期待を気にしてしまいます。
A.
それは癖であって、失敗ではありません。
気づけたときに、少し立ち止まれたら十分です。
Q4.選ばないと、何も変わらない気がします。
A.
変化は、大きな選択からではなく、
「今日は無理をしない」という小さな選ばなさから始まります。
Q5.こんなことを考える自分が、わがままに思えます。
A.
わがままではありません。
それは、あなたの心が「もう一度、自分とつながりたい」と伝えている声です。
7.人生の終わりに、何を選んだと振り返りたいか
人生を振り返るとき、
私たちは「何を我慢したか」よりも、
「何を大切にしたか」を思い出すのかもしれません。
誰かの期待に応え続けた日々も、
確かに尊い時間でした。
けれど同じくらい、
自分の心を感じた瞬間も、人生の深さになります。
これからの人生に、
あなた自身を選ぶ時間が、少しずつ増えていきますように。
8.カウンセリングという、静かな選択肢
もし、
「ひとりで考えるのは少し苦しい」
「誰かと一緒に、整理してみたい」
そう感じたときは、
カウンセリングという選択肢もあります。
カウンセリングは、答えを出す場所ではありません。
正しい選択を探す場所でもありません。
誰の期待にも応えなくていい時間を、安心して過ごすための場所です。
Amazing Grace では、
あなたのペースを何より大切にしています。
話せなくてもいい。
迷っていてもいい。
あなたがあなたの人生に戻っていく、その時間に、
そっと伴走できたらと思っています。
どうか、ひとりで抱えすぎないでください。
Amazing Grace
内田梓



