「気づいたら自分ばかりが我慢している」 その優しさは、あなたを傷つけていませんか?

内田梓

内田梓

テーマ:人間は生き物、心と自然

「気づいたら自分ばかりが我慢している」
その優しさは、あなたを傷つけていませんか?
人に合わせることが得意な人は、
本来とても優しくて、相手を大切にする力を持っています。
その力は、本来であればあなたの魅力であり、美しい才能です。

しかしその優しさが「自分を削る優しさ」に変わり、
いつの間にか 過剰適応 になってしまうと、
心と身体は深く疲弊していきます。

・断れない
・頼まれると無理してしまう
・嫌われないように振る舞う
・空気を読みすぎてしまう
・相手の気持ちを優先してしまう

こうした行動の裏側には、
「相手を大切にしたい」という優しさと同時に、
“自分を後回しにするクセ” が潜んでいます。

過剰適応は「生き物として不自然な状態」
自然界の動物たちは、自分の限界を知っています。
疲れたら休み、危険を感じたら距離を取り、
怖いときは逃げる――それが自然な反応です。

けれど私たち人間は社会の中で生きるあまり、
本来の自然な反応を無理に抑えてしまいます。

・疲れていても笑顔で頑張る
・怖いのに平気なフリをする
・逃げたいのに「逃げてはいけない」と思う
・嫌なのに「大丈夫」と言ってしまう

こうして身体の声よりも“社会的な正しさ”を優先することで、
心はどんどんすり減っていきます。

過剰適応が続くと起こる心身の変化
過剰適応は「自分の自然な感覚を抑え続ける状態」です。
そのため、心と身体には次のような影響が出やすくなります。

人前で緊張しやすい
本音が言えない
不安が増える
気を遣いすぎて疲れる
感情がわからなくなる
夜眠れない・寝ても回復しない
うつのような落ち込み
自律神経の乱れによる体調不良
これは「性格の弱さ」ではありません。
本心を押し殺し続けた結果、
自然な心のエネルギーが枯れてしまっただけなのです。

なぜ、過剰適応してしまうのか?
背景には、幼少期から育ってきた環境や経験があります。

・怒られないように生きてきた
・迷惑をかけてはいけないと言われ続けた
・親の顔色を見て育った
・我慢することで褒められた
・誰かを守る役割を担っていた

こうした環境の中で「自分より相手を優先する」
という方法で生き延びてきたのです。

その生き方は、当時のあなたにとって必要だった。
だからこそ、今もそのクセが続いているだけなのです。

今日の問い:
私は最近、どんな場面で「本音より相手」を優先しただろう?
この問いは、あなたの心が
「本当はどう感じていた?」
とそっと内側に目を向けるきっかけになります。

・あのとき本当は休みたかった?
・本当は嫌だったのに笑っていた?
・断りたかったのに頷いた?

ただ思い出すだけで構いません。
その小さな気づきは、心が本来の場所に戻るための確かな一歩です。

よくあるこころのQ&A ― 過剰適応から抜け出せない理由とケア
Q1:嫌われるのが怖くて断れません。
「断れない人」は、弱いのではなく、
「人との関係を大切にしすぎる人」です。
それはあなたの優しさの証拠でもあります。

断る=関係が壊れる
ではありません。
本来は、境界線を作ることが関係を守るのです。

Q2:人に合わせすぎて、自分の気持ちがわかりません。
長く過剰適応を続けてきた人ほど、本音は凍っています。
感じないのは、あなたの心が壊れているからではなく、
「守るために閉じているだけ」です。

安心が増えるほど、少しずつ感覚は戻ってきます。

Q3:過剰適応をやめたいのに、体が反応してしまいます。
それは条件反射のようなものです。
何年も続けてきた生存戦略は、すぐには変えられなくて当然。

責めるのではなく、
「これが私の生き延び方だったんだね」
と受け止めることが第一歩です。

Q4:人と話したあと、ぐったり疲れます。
それは“つながり”で疲れているのではなく、
「相手に合わせ続けた疲れ」です。

あなたが悪いわけではありません。
その人間関係に、あなたの本来のペースが反映されていないだけです。

Q5:過剰適応が原因で、不安や不眠がありますか?
大いにあります。
過剰適応は自律神経を乱しやすく、不安・不眠・落ち込みなど
さまざまな不調につながります。

身体は「本音と行動が一致しない」状態を最も嫌うため、
緊張が続くのです。

カウンセリングで「本来の自分」を取り戻す時間
Amazing Grace のカウンセリングでは、
過剰適応で疲れ切った心に寄り添いながら、
ゆっくりと“自分のペース”を取り戻すお手伝いをしています。

・本音がわからない
・断れない
・相手の顔色を見てしまう
・つい頑張りすぎてしまう

こうした悩みの背景には、それぞれの“生きてきた理由”があります。
その理由を否定せず、やさしくほどきながら、
あなたが自然な自分へ戻れるようサポートしています。

最後に ― あなたが疲れていたのは、弱かったからではありません
もし今、
不安が強い、うつのような落ち込み、
眠れない、疲れが取れない、涙が出てしまう――
そんな状態があるなら、それは
「過剰適応で心が限界を迎えています」
というサインです。

あなたは弱くありません。
むしろずっと、誰かのために頑張り続けてきた人です。

どうかひとりで抱え込まないでください。
あなたが本来の姿に戻れるまで、
Amazing Grace は静かに寄り添い続けます。

自然のようにやさしく、あなたの心が“本当の自分”へ帰る道を
一緒に歩んでいきましょう。

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内田梓
専門家

内田梓(メンタルヘルスカウンセラー)

Amazing Grace

発達障害、摂食障害、不登校から「やりたいことや気持ちをコントロールできない」といった悩みを抱える方まで、幅広いカウンセリング実績を持つ。数々の現場や理論で深めてきたカウンセリング術に定評がある。

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