やさしさでつながる職場へ 一人ひとりの心が息づく関係づくり やさしさは、空気のように広がっていく。
信頼をもう一度あたため直す
信頼が揺らいだときにできる3つのこと
関係を修復する“静かな勇気”。
はじめに
「もう信じられないかもしれない」
「どうしてあんなことを言われたんだろう」
信頼が揺らぐとき、心の奥に重たい痛みが残ります。
それは、あなたが本気で人と向き合い、
心を開いていた証拠でもあります。
信頼は、一度傷つくと簡単には戻りません。
けれど、失われるばかりではなく、
時間をかけて“育て直す”こともできるのです。
今日は、信頼が揺らいだときにできる
3つの小さなステップを一緒に見つめていきましょう。
どれも、すぐにではなく、ゆっくりと心を整えるための方法です。
1. “傷ついた自分”を静かに受けとめる
信頼が揺らいだとき、
私たちはまず“相手”を責めたくなります。
「どうしてあんなことを言ったのか」
「私を裏切った」――そんな思いが、心を覆います。
でも、その下には「悲しかった」「寂しかった」という
自分の本当の気持ちが隠れていることが多いのです。
まずは、自分の中にある痛みを否定せずに
静かに受けとめてあげましょう。
「私は今、傷ついているんだな」
「それだけ、この関係を大切に思っていたんだな」
その気づきが、心を修復に向かわせる最初の一歩になります。
2. “今の距離”を大切にする
信頼を取り戻したい気持ちが強いほど、
「早く元に戻したい」と焦ってしまうことがあります。
でも、関係には“回復のリズム”があります。
相手の心がまだ整っていないときに
無理に距離を縮めようとすると、かえってすれ違ってしまうことも。
だからこそ、今の距離をそのまま受けとめてみましょう。
近づきすぎず、離れすぎず。
「必要なら、いつでも話せるよ」と、
静かな気配でそばにいることが、信頼の再生を支えます。
関係を急がずに待てる心――それは、とても深いやさしさです。
3. “小さな信頼”から積み直す
壊れた関係を一度で元通りにすることはできません。
でも、“小さな信頼”を少しずつ積み重ねていくことはできます。
・挨拶をする
・短い言葉を交わす
・仕事で一言感謝を伝える
その一つひとつが、失われた信頼を“編み直す糸”になります。
相手がどう受けとるかは、すぐにはわからなくても大丈夫。
大切なのは、あなたの中に“もう一度つながりたい”という
やさしい気持ちがあることです。
その思いは、時間をかけて相手の心にも届いていきます。
4. “わかってもらえない”ときの孤独に寄り添う
信頼が揺らいだとき、
いちばん苦しいのは「どうしても伝わらない」と感じる瞬間です。
でも、“わかってもらえない”ことと“愛されていない”ことは違います。
人はそれぞれ、気づくスピードも受けとめ方も違うもの。
「今はまだ、相手の中で整理がついていないだけ」と
心の中でそっとつぶやいてみてください。
その一言が、あなたの中の孤独をやわらげ、
関係の再生をゆっくり支えてくれます。
5. “信頼を築く”ことは、 “期待を手放す”こと
信頼は、 “完璧さ”の上には成り立ちません。
お互いに間違え、戸惑いながら、それでも向き合おうとする中で育つものです。
相手に“こうあってほしい”という期待を少し手放すと、
相手の中にある“本来の良さ”が見えてくることがあります。
信頼とは、「相手を思い通りにすること」ではなく、
「相手をそのまま見つめること」。
そのやさしいまなざしが、関係を静かに回復させる光になります。
よくある心のQ&A
Q1. 「信頼を裏切られたと思うと、もう関われません。」
無理に関わろうとしなくて大丈夫です。
今は“距離を置くことで守る”時期かもしれません。
心が落ち着いてから、関係を見つめ直せばいいのです。
Q2. 「相手の謝罪を受け入れられません。」
受け入れるには時間が必要です。
“許す”ことは“過去をなかったことにする”ことではなく、
“その出来事を心の中に整理する”ことです。
焦らず、少しずつで大丈夫です。
Q3. 「何もなかったように振る舞うのがつらいです。」
無理をして笑うと、心がどんどん疲れてしまいます。
「今は少し距離を取りたい」と言葉にしてもかまいません。
正直でいることが、信頼を再び築く土台になります。
Q4. 「自分の言葉で信頼を壊してしまいました。」
後悔があるということは、あなたが真剣に向き合っていた証です。
「そのときは余裕がなかった」と正直に伝えるだけでも、
関係は少しずつ修復していきます。
Q5. 「相手を信じることが怖くなりました。」
その怖さは、あなたが“もう傷つきたくない”と思っている証拠です。
焦らず、まずは“自分を信じる”ことから始めましょう。
自分の気持ちを大切にできるようになると、再び誰かを信じる力が戻ってきます。
おわりに 〜信頼は、静かに育て直せるもの〜
信頼は、一度壊れたら終わりではありません。
時間とともに、言葉とともに、静かに育て直せるものです。
焦らず、責めず、少しずつ。
その歩みの中で、あなた自身もやさしく変わっていきます。
もし今、信頼関係の中で心が疲れていたり、
「もうどうしていいかわからない」と感じている方がいたら、
どうぞ安心できる場所で話してみてください。
Amazing Graceのカウンセリングでは、
人との信頼関係の傷をやさしく整理し、
再び“人を信じる力”を取り戻すお手伝いをしています。
信頼は、壊れるものではなく、育て直せるもの。
あなたの中の“静かな勇気”が、もう一度つながりを生み出しますように。
Amazing Grace 内田梓
信頼をもう一度あたため直す時間を、やさしくご一緒しています。



