役割をやさしく見える化する “頼られすぎてつらい”とき 境界線を引く優しさが、信頼を守る。

内田梓

内田梓

テーマ:職場の人間関係

役割をやさしく見える化する
“頼られすぎてつらい”とき

境界線を引く優しさが、信頼を守る。

はじめに

「あなたにしか頼めない」と言われると、
少しうれしくて、でもどこかで重く感じることはありませんか。

人のために動けることは素晴らしいことです。
けれど、「頼られる人」ほど、自分を後回しにしてしまいがち。

気づけば、いつも周りのことでいっぱいになっていて、
自分の心の声が聞こえなくなっている…。
そんなとき、必要なのは「冷たくなること」ではなく、
“優しい境界線”を引くことです。

今日は、「頼られすぎてつらい」と感じるときに
どうすれば心を守りながら、人との信頼を保てるかを
やさしく一緒に見つめていきましょう。

1. 「頼られる=愛されている」と思いすぎない

頼られることは嬉しいものです。
それは、あなたが信頼されている証拠でもあります。

でも、「頼られない=価値がない」と思ってしまうと、
いつの間にか、自分をすり減らしてしまいます。

“頼られる”ことと“愛される”ことは、似ているようで少し違います。
愛は相互のやりとりの中で育つもの。
でも頼られる関係は、一方的にエネルギーを渡してしまうこともあるのです。

「頼まれたら断れない」「期待に応えなきゃ」と感じるとき、
その背景には「嫌われたくない」「がっかりされたくない」という
やさしい気持ちが隠れています。

だからこそ、まずはこう言ってあげましょう。
「私は、誰かを助けたいと思えるほど、優しい人なんだ」と。
その気づきが、心のバランスを取り戻す第一歩になります。

2. “断ること”は、関係を壊すことではない

断るのが苦手な人ほど、「冷たく思われたらどうしよう」と不安になります。

でも、断ることは、相手との信頼を壊すことではありません。
むしろ、正直に「今は難しい」と伝えることは、
関係を長く続けるための優しさなのです。

無理に引き受け続けると、心は静かに疲れていきます。
そしてその疲れは、やがてイライラや無言の距離となって
関係そのものを曇らせてしまいます。

「相手のため」と思ってやってきたことが、
結果的にお互いを苦しくしてしまう――
そんな悲しいすれ違いを防ぐためにも、
“断る勇気”は“信頼を守る力”なのです。

3. “境界線”は、冷たさではなく思いやり

「境界線を引く」というと、
まるで人との間に壁を作るように感じるかもしれません。

でも、本当の境界線は、壁ではなく“心の線”。
それは、お互いを尊重するためのやさしいガイドラインです。

「私はここまでできるけど、それ以上は難しい」
「今は自分の時間を大切にしたい」
その言葉には、自分と相手の両方を大切にする意志があります。

境界線を持つことは、冷たいことではありません。
むしろ、相手の自立を信じる温かな行為です。

“私が全部やらなきゃ”から、 “お互いに支え合おう”へ。
関係が健やかに育っていくための第一歩です。

4. “助けたい気持ち”と“助けすぎてしまう癖”を見分ける

優しい人ほど、「相手が困っていると放っておけない」と感じます。

けれど、その優しさが行きすぎると、
相手の成長の機会を奪ってしまうこともあります。

“助けたい気持ち”は相手を思う力。
でも“助けすぎる癖”は、自分の安心のために動いてしまうこと。
たとえば「相手が困っているのを見るのがつらい」と感じるとき、
それは自分の不安を和らげたいという自然な反応です。

どちらが良い・悪いではありません。
ただ、自分の内側にある動機を見つめてみることで、
“やさしさのバランス”が少しずつ整っていきます。

5. “自分の時間”を取り戻す勇気

誰かのために頑張りすぎているときほど、
自分の時間を持つことに罪悪感を感じる人がいます。

でも、心は空気のようなもの。
自分を満たす時間がなければ、相手に優しさを届け続けることはできません。

「今日は少し早めに帰ってゆっくりしよう」
「週末は誰のためでもなく、自分のために時間を使おう」

そんな小さな選択が、心をやさしく回復させてくれます。
“自分を大切にすること”は、 “人を大切にできる力”を取り戻すこと。
それが、本当の優しさの循環です。

よくある心のQ&A
Q1. 「断るとき、どうしても罪悪感を感じます。」

罪悪感は、 “相手を大切にしたい”という思いの表れです。
でも、断ることもまた思いやりのひとつ。
「今は難しいけれど、応援しています」と言葉を添えると、
やさしい印象で伝えられます。

Q2. 「頼まれると、つい『いいよ』と言ってしまいます。」

反射的に答える前に、深呼吸を一つ。
「少し考えてからお返事してもいい?」と間を置く練習をしましょう。
その一呼吸が、あなたの心を守ってくれます。

Q3. 「人を頼れず、自分ばかり頑張ってしまいます。」

頼ることは、弱さではなく信頼の証です。
「お願いしてもいい?」と口にしてみることで、
お互いに支え合える関係が少しずつ育っていきます。

Q4. 「断ったあと、相手に嫌な顔をされて落ち込みます。」

相手も一時的に戸惑っているだけかもしれません。
時間が経てば、「あのときは無理をさせていたかも」と気づくこともあります。
“すぐにわかってもらえなくても大丈夫”と心に留めておきましょう。

Q5. 「助けたい気持ちと、距離を取りたい気持ちの間で揺れます。」

その揺れは、あなたが人を思いやる心を持っている証です。
「どちらの気持ちも自分の一部」と受けとめてみましょう。
心のバランスは、 “正解”ではなく“調整”で育っていきます。

おわりに 〜境界線は、信頼のかたち〜

「頼られすぎてつらい」と感じるとき、
その奥には「誰かを支えたい」「関係を大切にしたい」という
あたたかな思いが隠れています。

だからこそ、あなたの優しさを守るために、
境界線を引くことが必要なのです。

優しい境界線は、信頼を壊すものではなく、
お互いを長く支え合うための見えない約束。

もし今、「もう頑張れない」「疲れた」と感じている方がいたら、
どうぞ安心して、その気持ちのままお話しください。

Amazing Graceのカウンセリングでは、
“優しさ”を失わずに人と関わる方法、
“自分をすり減らさない関係づくり”を一緒に整えていくお手伝いをしています。

心の優しさを守ることは、あなた自身を大切にすること。
そしてそれは、まわりの人をも優しく包む力になります。

Amazing Grace 内田梓
人との関係を整え、自分らしいやさしさを取り戻すカウンセリングを行っています。

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内田梓
専門家

内田梓(メンタルヘルスカウンセラー)

Amazing Grace

発達障害、摂食障害、不登校から「やりたいことや気持ちをコントロールできない」といった悩みを抱える方まで、幅広いカウンセリング実績を持つ。数々の現場や理論で深めてきたカウンセリング術に定評がある。

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