思いを同じ方向に合わせる やることより“やらないこと”を決める勇気 大切なものを見失わないために。

内田梓

内田梓

テーマ:職場の人間関係

思いを同じ方向に合わせる
やることより“やらないこと”を決める勇気

大切なものを見失わないために。

はじめに

私たちは毎日、たくさんの「やること」に囲まれています。



仕事の期限、会議の準備、メールの返信、誰かへの気配り…。
気づけば心の中が「やらなければ」でいっぱいになってしまうこともあります。



けれど、どれだけ努力しても、
「本当に大事なこと」が見えなくなってしまう瞬間があるものです。



そんなときに必要なのは、“やることを増やす力”ではなく、“やらないことを決める勇気”。



それは、怠けることでも、逃げることでもありません。
むしろ、自分とチームの思いを同じ方向に整えるための、
とても大切な選択です。



今日は、「やらないことを決める勇気」が、
どうやって信頼と安心を育てるのかを、一緒に見つめていきましょう。

1. “全部やろうとする”と、心は迷子になる

誰かの期待に応えたい。
成果を出したい。
チームの役に立ちたい。



その思いが強い人ほど、
つい「全部やらなきゃ」と頑張りすぎてしまう傾向があります。



でも、“全部やる”ということは、
同時に“どれも中途半端になる”リスクを抱えることでもあります。



人の心と時間には、限りがあります。
だからこそ、本当に必要なことに力を注ぐには、
「やらない勇気」が欠かせません。



それは冷たさではなく、
「大切なものを守るための優しさ」なのです。

2. “やらないこと”を決めると、チームの思いがそろう

チームの中で混乱が起きるとき、
実は「やること」よりも「やらないこと」が曖昧な場合が多いです。



たとえば、
・ 今は“急ぎではない仕事”を後回しにする
・ “完璧”を求めすぎない
・ “誰がやるか”を明確に決める



こうした「やらないルール」を共有するだけで、
チーム全体のエネルギーが整い、
無駄な摩擦が減っていきます。



“やらないこと”を決めるのは、
一見、消極的に見えて、実はとても創造的な行為です。

それによって、「本当に大切にしたいこと」に集中できるようになるのです。

3. “やらないこと”は、自分を信じるサイン

「これをやめたら、嫌われるかもしれない」
「手を抜いていると思われるかもしれない」



そんな不安から、 “やらない”を選べない人も多いでしょう。
でも、 “やらない”とは、自分の判断を信じるということ。



自分が今、どこに力を使うべきかを見極め、
そこに集中することができる人は、
本当の意味で信頼される存在になります。



自分を信じる勇気は、周りからの信頼を呼び、
結果的にチームの信頼関係を深めていくのです。

4. “断る”ことは、関係を壊すことではない

日本では特に、「断る=冷たい」という印象があります。

けれど、誠実に断ることは、相手への信頼の表れでもあります。



「今はその仕事に十分な時間を取れそうにないので、
責任を持てる形で関わりたいです」



そう伝えることで、相手も本気で向き合える準備ができます。



無理に引き受けて疲れ切るよりも、
“できる範囲”を明確にして続ける方が、
関係は長く、あたたかく保てるのです。



断ることは、関係を断つことではなく、
“信頼を守るための線を引くこと”。
その線があることで、安心して関われる関係が育ちます。

5. “やらない”からこそ、見えてくるもの

やることを減らすと、
一見、効率が落ちるように感じるかもしれません。



でも、空いたスペースの中に、
人の笑顔や対話の時間、深呼吸できる余裕が戻ってきます。



“やらない”という選択は、
「心の余白を取り戻す」ための行為。
その余白の中でこそ、
新しいアイデアや、思いやりの言葉が生まれます。



忙しさで見えなくなっていた“やさしさ”が、
また静かに息を吹き返していくのです。

よくある心のQ&A
Q1. 「やらないと罪悪感があります。」

それは、あなたがまじめで責任感が強い証拠です。
でも、すべてを抱え込むことが誠実さではありません。
「やらない」と決めたことは、 “信頼して任せる”という形で力を循環させることでもあります。
勇気をもって手放してみましょう。

Q2. 「忙しすぎて、何をやめていいかわかりません。」

まずは「今すぐでなくてもいいこと」を一度リストにしてみてください。
“今日やるべきこと”と“後で見直すこと”を分けるだけで、
心が少し落ち着きます。
整理することで、 “本当に必要なこと”が見えてきます。

Q3. 「頼まれると断れません。」

断るのが苦手な人ほど、人に優しい方です。
断るときは「やらない理由」ではなく、「相手への気持ち」を添えてみましょう。
「力になりたいけれど、今は責任を持てない」と伝えるだけで、印象はまったく違います。

Q4. 「やらないことを決めたら、サボっているように見えないか心配です。」

“やらない”は“サボる”ではなく、 “集中する”ということ。
信頼される人ほど、目的に沿って行動を選んでいます。
何をしないかを明確にすることで、成果の質も高まります。

Q5. 「上司や周囲に合わせるのが苦しいです。」

誰かに合わせることは、思いやりでもあります。
でも、限度を超えると心がすり減ってしまいます。
「ここまでは協力できる」とやさしく線を引くことで、
長く関係を続ける力が生まれます。

おわりに 〜 “やらない勇気”が、本当の優しさを育てる〜

“やらないこと”を決める勇気は、
自分と人との信頼を守るための大切な力です。



本当に大切なものを守るために、
何を手放すかを選ぶこと。
それは、優しさの成熟した形です。



仕事でも人間関係でも、
すべてを抱え込まないことで、
心に余白が生まれ、思いやりが戻ってきます。



もし今、「頑張りすぎて疲れてしまった」
「手放したいのに手放せない」と感じている方は、
どうぞ少し立ち止まってください。



Amazing Graceのカウンセリングでは、
“やらない勇気”を持つための心の整理や、
他人との境界線の作り方を、やさしく一緒に整えていきます。



手放すことで、見えてくる温かさがあります。
心が軽くなると、あなたの優しさはもっと自然に届くようになります。



どうぞ安心して、あなたのペースでお話しください。



Amazing Grace 内田梓
“頑張りすぎない優しさ”を取り戻すカウンセリングを行って

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内田梓
専門家

内田梓(メンタルヘルスカウンセラー)

Amazing Grace

発達障害、摂食障害、不登校から「やりたいことや気持ちをコントロールできない」といった悩みを抱える方まで、幅広いカウンセリング実績を持つ。数々の現場や理論で深めてきたカウンセリング術に定評がある。

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