やさしさでつながる職場へ 一人ひとりの心が息づく関係づくり やさしさは、空気のように広がっていく。
思いを同じ方向に合わせる
同じゴールを見ているはずなのに…
すれ違う期待の下で、どうすれば心が通う？
はじめに
同じ職場で働いていても、
「話がかみ合わない」「どうしてこんなに伝わらないのだろう」
と感じることはありませんか？
同じ目標を持っているはずなのに、
どこかすれ違ってしまう。
それは決して、相手が間違っているわけでも、
自分の努力が足りないわけでもありません。
人はそれぞれ、感じ方や優先順位、
「こうあるべき」という価値観が少しずつ違うもの。
その違いが積み重なると、
“同じゴールを見ているのに届かない”という
もどかしさが生まれるのです。
今日は、そのすれ違いの中で
どうすればお互いの思いが通じ合うのか、
やさしく紐解いてみましょう。
1. 「同じゴール」でも、見ている景色は違う
たとえば「良い仕事をしよう」という言葉。
この“良い”という感覚は、人によってまったく違います。
・スピードを重視する人
・丁寧さを大切にする人
・結果よりもプロセスを重んじる人
同じ目標を口にしても、
そこに込められた意味が異なれば、
動き方や感じ方もズレていきます。
まずは、「相手は何を大切にしているのか？」を
やさしく聴いてみましょう。
そして、自分の中の“当たり前”を一度ほどいてみる。
「あなたにとって“良い仕事”ってどんなことですか？」
そんな一言が、すれ違いを理解へと変える
小さな扉になります。
2. “期待”を言葉にして共有する
人間関係のすれ違いの多くは、
「相手も同じように思っているはず」という
“無意識の期待”から生まれます。
「これくらい言わなくても伝わるよね」
「きっと分かってくれている」
そう思っていたことが、実は伝わっていない。
だからこそ、期待は“察してもらう”のではなく、“共有する”ことが大切です。
「私はこういう形で進めたいと思っているんですが、どう感じますか？」
「お互いにどんなところを大切にしたいか、話してみませんか？」
このように言葉にすることで、
誤解が減り、安心感が生まれます。
すれ違いの多くは、話し合いの不足ではなく、
“確認の不足”から起こるのです。
3. 違いは「対立」ではなく「補い合い」
考え方が違うとき、つい
「どちらが正しいか」で判断してしまうことがあります。
でも本来、違いは対立ではなく、
チームの中での“バランスの種”です。
たとえば、スピード重視の人と慎重な人がいるとき、
お互いの強みを組み合わせることで
「丁寧さと効率」を両立できるかもしれません。
「違う」という事実を責めるのではなく、
「どうすればお互いの良さを活かせるか」と考えると、
関係はやわらかく変わっていきます。
違いは“ぶつかるもの”ではなく、
“支え合う形”を見つけていくためのヒントなのです。
4. 「どちらも正しい」という視点を持つ
意見が食い違うとき、
つい「どちらが正しいのか」を決めようとしてしまいます。
でも、どちらか一方を選ぶ必要はありません。
「どちらも、その人にとっては正しい」と考えることで、
心の摩擦が減ります。
相手の背景には、これまでの経験や学び、
大切にしてきた価値観があります。
「その考え方も大切ですね」
と一度受けとめてから自分の意見を伝えると、
相手の心がふっと開きます。
思いを合わせるとは、同じ考えになることではなく、
“違いを理解した上で、同じ方向を向く”こと。
その柔らかな調和が、信頼を深めていきます。
5. “目的”に立ち返ると、心が通う
話し合いがかみ合わなくなったときは、
「私たちは何のためにこの仕事をしているのか」
という“目的”に戻ってみましょう。
目的に立ち返ると、
小さな違いよりも、共通している部分が見えてきます。
「より良いサービスを届けたい」
「チームを信頼で満たしたい」
そんな根っこの思いは、実は同じことが多いのです。
すれ違う心をつなぐのは、共通の願い。
そこに気づけたとき、
関係の空気がやさしく変わり始めます。
よくある心のQ&A
Q1. 「同じ目標を話しているのに、なぜか噛み合いません。」
目標の“言葉”は同じでも、そこに込める“意味”が違うことがあります。
まずは「あなたにとって、この目標の大切な部分はどこですか？」と聞いてみましょう。
相手の背景を知ることで、見えていなかったつながりが生まれます。
Q2. 「相手が理解してくれないと感じて、ついイライラします。」
イライラの奥には、 “わかってもらいたい”という願いがあります。
まずはその気持ちを自分で受けとめ、「私はこう感じている」とやさしく言葉にしてみてください。
感情を整理してから話すと、伝わり方が穏やかになります。
Q3. 「立場の違いで話がかみ合いません。」
立場が違えば、見えている景色も違います。
「上から」「下から」ではなく、「横に並んで」考えてみましょう。
共通の目的を確認し合うことで、対話がスムーズになります。
Q4. 「相手に合わせすぎて、自分が疲れてしまいます。」
“合わせる”と“我慢する”は違います。
自分の気持ちを置き去りにしてしまうと、心が摩耗してしまいます。
「私はこう思っています」と、自分の想いを小さくでも言葉にしてみましょう。
その誠実さが、相手との信頼を深めます。
Q5. 「何度話しても、結論が出ません。」
話し合いが進まないときは、 “結論”ではなく“理解”をゴールにしてみましょう。
「まずはお互いの考えを整理する時間にしよう」と伝えるだけで、空気がやわらぎます。
理解が深まれば、結論は自然に導かれていきます。
おわりに 〜違いを超えて、思いをひとつに〜
同じゴールを見ているはずなのに、
心がすれ違ってしまう。
そのもどかしさの中には、
「もっと良くしたい」「わかり合いたい」という
深い願いが隠れています。
思いを合わせるというのは、
意見をそろえることではなく、
“お互いの思いの根っこ”を見つけていくこと。
その過程の中に、信頼が芽生え、
関係が少しずつ整っていきます。
もし今、職場でのすれ違いに悩んでいたり、
「どう話せばいいかわからない」と感じている方は、
どうぞひとりで抱え込まないでください。
Amazing Graceのカウンセリングでは、
相手との関係の中で生まれるもやもやや誤解を、
一緒に整理しながら“伝わる会話”の形を見つけていくことができます。
心の距離が近づくと、仕事も人間関係も、
驚くほどやさしく流れ始めます。
あなたの思いが、やさしく届いていきますように。
Amazing Grace 内田梓
違いを超えて、心が通う関係づくりをお手伝いしています。
