“優しさ=自己犠牲”という思い込み 〜本当の優しさを“自分にも向ける”練習はどこから始められる?〜

内田梓

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“優しさ=自己犠牲”という思い込み
〜本当の優しさを“自分にも向ける”練習はどこから始められる?〜
はじめに
「人に優しくしたい」「誰かの役に立ちたい」——そう思う心は、とても美しいものです。
けれど、気がつけば人のことばかり考えて、自分のことが後回しになっていませんか?
人の悲しみには気づけるのに、自分の疲れには鈍感になってしまう。
「頑張りすぎて、少し心がしんどい…」そんな日々を過ごしていませんか?

それは、「優しさ=自己犠牲」という思い込みが、あなたの中に静かに根づいているからかもしれません。
でも、優しさは“自分を犠牲にする”ことで成り立つものではありません。
本当の優しさは、まず自分を大切にするところから始まります。

今日は、「自分に優しくする」練習を、少しずつ日常の中に取り戻す方法を、やさしく丁寧にお話しします。

1.なぜ「自分に優しくすること」が難しいのか
(1)「人を優先する=良いこと」と信じてきたから
子どものころから、「我慢できてえらいね」「人に譲ってあげて」と教えられてきた方も多いでしょう。
その積み重ねが、「自分より他人を優先することが正しい」と感じさせてしまいます。

意味: あなたの優しさは生まれつきの思いやりです。
でも、他人を大切にするあまり自分を置き去りにしてしまうと、心は静かに疲れてしまいます。

(2)「自分に優しくすると甘えるようで怖い」
「休んだら怠けてる気がする」「自分を優先したら、わがままに見えるかも」——そんな不安はありませんか?
でも、 “自分をいたわること”と“甘えること”は違います。

意味: 自分に優しくするとは、怠けることではなく、自分を大切に扱う練習。
それは、心の健康を守るために必要な行為なのです。

(3)「自分の疲れや悲しみに鈍感になっている」
人に寄り添う力がある人ほど、自分の気持ちを後回しにしがちです。
「まだ頑張れる」と思い続けているうちに、本当の疲れに気づけなくなってしまいます。

意味: 自分を大切にするとは、「心の小さなSOS」に気づいてあげることから始まります。

2. “自分に優しくする”とは、どういうこと?
① 自分の気持ちを見つめること
「私は今、どう感じている?」と問いかけてみましょう。
疲れている? 悲しい? 嫌だった? 安心したい?——その気持ちを否定せず、受けとめてあげてください。

意味: 優しさとは“判断しないまま聴くこと”。
他人に向けてきたその優しさを、自分にも向けてあげましょう。

② 「しなければならない」から、「したいこと」へ
「やらなきゃ」「頑張らなきゃ」が多いときは、心が少し硬くなっているサイン。
「今日は無理をしない日でもいい」「したいことをしてもいい」と、自分に許可を出しましょう。

意味: “したい”という感覚は、心が元気を取り戻す小さな灯りです。

③ 「できなかったこと」より、「できたこと」に目を向ける
「まだ足りない」ではなく、「ここまで頑張れた」に視点を変えましょう。
小さな成功や努力を認めることが、自分を癒す第一歩です。

意味: 「よく頑張ったね」と声をかけることで、心は穏やかに回復していきます。

3. “自分に優しさを向ける練習”を始める3つのステップ
ステップ1:「自分を“友達のように”扱ってみる」
友達が落ち込んでいたら、きっと「大丈夫だよ」「無理しないで」と声をかけますよね。
その言葉を、自分にも向けてあげましょう。

意味: 自分を友達のように扱うと、自己否定が少しずつやわらぎます。

ステップ2:「 “小さな安心”を感じる時間をもつ」
お気に入りの音楽を聴く、温かいお茶を飲む、空を見上げて深呼吸する。
たったそれだけでも、心は少し軽くなります。

意味: “安心”は優しさを注ぐための土台。
安心が増えるほど、他人への優しさも自然に広がります。

ステップ3:「 “やめること”を選ぶ勇気を持つ」
無理な期待に応えること、人の機嫌を気にしすぎること、「いい人」でいようとすること——
そのひとつを手放すだけで、あなたの優しさはもっと自由になります。

意味: “手放す”とは“あきらめる”ではなく、 “本当に大切な優しさを残す”選択です。

4. “自分への優しさ”を深める3つの習慣
習慣1:「一日一つ、自分を褒める」
「今日もちゃんと生きた」「無理せず断れた」——どんな小さなことでも大丈夫。
その一言が心の中に“安心”を育てます。

意味: 自分を認めることは、心に「優しさの居場所」を作る行為です。

習慣2:「 “ありがとう”を自分にも言う」
「今日も頑張ってくれてありがとう」「泣きながらも立ち上がってくれてありがとう」。
この一言が、自分の中の孤独を少しずつ溶かしていきます。

意味: 自分に感謝することで、 “自分との関係”がやさしく整っていきます。

習慣3:「 “完璧さ”より、 “温かさ”を選ぶ」
「失敗しないように」ではなく、「心を込めてやってみよう」。
その一歩が、あなたの優しさを自然体に変えます。

意味: “完璧な優しさ”よりも、 “温かい優しさ”を。
不完全なままでも、心を込めた優しさには深い力があります。

よくある心のQ&A
Q1. 自分を大切にすると自己中心になりそうで怖いです。
→ 自分を大切にすることは、他人を無視することではありません。
むしろ、自分を満たすことで、より自然に人に優しくできます。

Q2. 自分を労わる時間がもったいない気がします。
→ その“もったいない”時間が、心のエネルギーを再生させます。
短い休息が、長い優しさを支えます。

Q3. 自分に優しくしようとしてもうまくできません。
→ 最初は難しくて当然です。小さな「自分へのねぎらい」を重ねるうちに、心がやわらかくなっていきます。

Q4. 他人に優しくしながら、自分にも優しくすることは可能ですか?
→ もちろんです。 “自分を含めた優しさ”は、あなたの優しさを長く、穏やかに続けてくれます。

Q5. 自分を優先すると、周りを傷つけてしまいませんか?
→ 自分を大切にする姿は、周りにも「自分を大事にしていいんだ」という安心を伝えます。それは優しさの連鎖の始まりです。

おわりに:自分を大切にすることが、優しさの出発点
“人に優しくする”ことが自然にできるあなた。
だからこそ、次は“自分に優しくする”番です。

我慢ではなく、つながりを。
犠牲ではなく、循環を。

「本当の優しさは、他人のためだけでなく、自分のためにもある。」

あなたが自分を大切にするその姿こそ、周りの人への最高のメッセージになります。

今日の小さな一言
「優しさを、自分にも向けてみよう。
その瞬間から、世界は少しだけやさしくなる。」

Amazing Grace カウンセリングでは、
「優しさで疲れてしまう人」や「自分を後回しにしてしまう人」が、
“自分に優しさを向ける練習”を少しずつ始められるよう、
心の整え方を一緒に探していきます。

あなたの中にあるやわらかな思いやりが、
自分自身にも届きますように。

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内田梓
専門家

内田梓(メンタルヘルスカウンセラー)

Amazing Grace

発達障害、摂食障害、不登校から「やりたいことや気持ちをコントロールできない」といった悩みを抱える方まで、幅広いカウンセリング実績を持つ。数々の現場や理論で深めてきたカウンセリング術に定評がある。

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