【本の紹介】子どもはなぜスマホから離れられない?『スマホ依存から子どもを救う』を読んで考えたいこと

原田恭兵

原田恭兵

テーマ:書籍紹介

「スマホばかり見ていないで勉強しなさい」

「もうスマホやめたら?」

子どもに、こんな言葉をかけたことがある保護者の方も多いのではないでしょうか。

未来舎でも、これまで何度か子どもとスマホについて記事を書いてきました。

それだけ、今の子どもたちの学習や生活を考えるうえで、スマホは避けて通れないテーマだと感じています。

今回紹介するのは、2026年8月に発売されたばかりの一冊です。

久場川哲二
『スマホ依存から子どもを救う
児童精神科医による予防と治療の処方箋』

著者の久場川哲二さんは、
50年以上にわたり
児童精神医療に携わってきた医師です。

本書ではネットゲームやSNS、
さらにAIまで含め、
現在の子どもたちを取り巻く
デジタル環境とスマホ依存について
取り上げています。

スマホを使う子どもが
珍しくなくなった今、

「スマホを持たせるか、持たせないか」だけではなく、
「持ったあと、どう付き合っていくか」

を考える必要があるのではないでしょうか。

「スマホをやめなさい」だけで解決する問題なのか?

子どもが何時間もスマホを触っていると、

「いい加減にやめなさい!」

と言いたくなります。

勉強をしない。

寝る時間が遅くなる。

家族と話していてもスマホを見る。

少し時間が空くと、すぐスマホを触る。

保護者からすれば、

「自分でやめればいいのに」

と思うかもしれません。

しかし、
本書はスマホ依存を
単純に子ども個人だけの問題として
捉えるのではなく、
時代や社会の変化も含めて
考える立場を取っています。

これは、
子どもを甘やかすという意味では
ありません。

むしろ、

「本人の意志が弱いから」で終わらせてしまうと、
本当の対策を考えにくくなる

のではないでしょうか。

スマホの中には、
ゲームがあります。

動画があります。

SNSがあります。

友達との連絡があります。

調べものもできます。

今ではAIもあります。

一台の中に、
子どもが興味を持つものが
いくつも入っています。

だからこそ
「我慢しなさい」と言うだけではなく、
スマホとの距離をどうつくるのかを
大人も一緒に考える必要があると私は思います。

スマホの問題は「使っている時間」だけを見ればいい?

保護者として気になるのは、

「一日何時間までなら大丈夫なの?」

ということだと思います。

もちろん、
使用時間は一つの目安になります。

ただ、
未来舎では時間だけでなく、
スマホによって何が失われているのかも
見てほしいと思っています。

例えば、

スマホを見るために
寝る時間が遅くなっている。

宿題を始める時間が遅くなっている。

勉強中も何度もスマホを確認している。

家族との会話が減っている。

外で遊ぶ時間が減っている。

本を読む時間がなくなっている。

こうした変化が起きているのであれば、

「一日○時間以内だから大丈夫」

だけでは判断できません。

本書でも、
デジタル技術そのものを否定するのではなく、
便利さに生活のすべてを委ねず、
読書や対面でのコミュニケーション、
親子で現実の時間を共有することの
重要性が示されています。

スマホを何時間使ったかだけではなく、
スマホ以外の時間がどうなっているのか。

ここも家庭で一度見てほしいと思います。

スマホを取り上げれば、それですべて解決するわけではない

未来舎では以前、

中学3年生の受験期には、
スマホを保護者が預かることも検討してほしい

という記事を書きました。

これは今でも変わりません。

特に、
自分で使用時間をコントロールすることが
難しい場合、

「触らないように頑張りなさい」

と本人の意志だけに任せるのではなく、
物理的に距離を取ることも
一つの方法だと考えています。

ただし、

「スマホを取り上げれば、
すべての問題が解決する」
という意味ではありません。

大切なのは、その先です。

なぜスマホを長時間使っていたのか。

スマホがなくなった時間をどう過ごすのか。

家庭ではどんなルールにするのか。

再び使うときには、どんな使い方をするのか。

本書では、
著者が実際に診療した5組の親子の症例をもとに、
依存が深まる過程だけでなく、
診断、治療、回復までが紹介されています。

単純な「禁止する・しない」ではなく、
その子の生活全体を見る必要がある
ということを考えさせられる本です。

関連記事
【高校受験】中3の2学期からスマホは親が預かってほしい―夏期講習を終えて感じたこと

子どもだけの問題にせず、家庭全体で考えてみる

スマホについて考えるとき、
もう一つ大切にしたいことがあります。

子どもには、

「スマホばかり見ないで」

と言いながら、
大人も食事中にスマホを見ていないでしょうか。

子どもには、

「寝る前はスマホをやめなさい」

と言いながら、
大人は布団までスマホを持っていないでしょうか。

もちろん、
大人には仕事の連絡もあります。

調べもの、買い物、家族との連絡など、
スマホが必要な場面もたくさんあります。

だから、

「親もスマホを使ってはいけない」

という話ではありません。

一度、

「わが家ではスマホをどんな道具として使うのか」

を家族で話してみてもいいのではないでしょうか。

食事中は置いておく。

勉強するときは別の部屋に置く。

寝室には持っていかない。

使用する時間帯を決める。

家庭によってルールは違っていいと思います。

大切なのは、
子どもだけにルールを押しつけるのではなく、
なぜそのルールが必要なのかを一緒に考えることです。

そもそも「何のためにスマホを持たせるのか?」

未来舎では以前、

「どうしてスマホ?キッズケータイではダメですか?」

という記事も書きました。

スマホを持たせる理由として、

「子どもと連絡を取りたい」

「帰宅したか確認したい」

「何かあったときに連絡できないと心配」

という保護者の方も多いでしょう。

では、
その目的を達成するために、
本当に多機能なスマートフォンが必要なのか。

これは一度考えてもいいと思います。

もちろん、家庭によって事情は違います。

スマホが必要な家庭もあります。

だから、
未来舎として
「スマホを持たせてはいけない」と
言うつもりはありません。

ただ、

「周りが持っているから」ではなく、
「何のために持たせるのか」を最初に考える。

目的がはっきりすれば、

必要な機能は何か。

どこまで使えるようにするか。

どんなルールにするか。

も考えやすくなります。

関連記事
【子どもとスマホ】どうしてスマホ?キッズケータイではダメですか?

未来舎がスマホについて繰り返し発信する理由

未来舎では、
スマホについて
何度も記事を書いています。

それは、

「スマホは悪いものだから禁止したい」
からではありません。

日々子どもたちの学習を見ていると、

「何時間勉強したか」

だけでなく、

「一つのことに集中する時間をつくれているか」

がとても重要だと感じるからです。

未来舎では、
ケアレスミスが多い子ほど
スマホを長く使っているように
感じることがあります。

ただし、
これは未来舎で子どもたちを見ていて
感じている傾向であり、これだけで、

「スマホを使うからケアレスミスが増える」

と因果関係を断定することはできません。

だからこそ以前の記事では、
スマホと注意・集中についての研究も
確認しながら考えました。

関連記事
【中学生】ケアレスミスが多いのはなぜ?スマホと集中力の関係を考える

今回紹介した『スマホ依存から子どもを救う』は、2026年8月に出版されたばかりの本です。

ネットゲーム、SNS、AIまで含めた現在のデジタル環境を背景に、長年児童精神医療に携わってきた著者が、実際の診療例をもとにスマホ依存を考えています。

スマホを、

「使わせるか、禁止するか」

だけで考えるのではなく、

「子どもがスマホとどう付き合っていくのか。
そのために大人は何ができるのか」

を考えるきっかけになる一冊だと思います。

スマホは、これからもなくならないでしょう。

だからこそ、

ただ遠ざけるだけでも、

すべて本人に任せるだけでもなく、

自分でスマホとの距離を取れるようになるまで、
周囲の大人がどう支えるか。

未来舎でも、
これから子どもたちと
スマホの関係について
考え続けていきたいと思います。

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【今回紹介した本】
『スマホ依存から子どもを救う―児童精神科医による予防と治療の処方箋』

著者:久場川哲二
出版社:幻冬舎
発売:2026年8月

子どもたちを取り巻く
ネットゲームやSNS、AIなどの
デジタル環境を背景に、
児童精神医療に
長年携わってきた著者が、
実際の診療例をもとに
スマホ依存について考えた一冊です。

ご購入はこちら↓
『スマホ依存から子どもを救う』

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原田恭兵
専門家

原田恭兵(塾講師)

学童塾 (株)未来舎

子ども達一人一人をよく見ること、いいところがあったらすぐ褒めること、コミュニケーションをしっかり取ることを重視しています。だからこそ、それぞれの伸ばすべき個性を生かし、人間力と学力を育みます。

原田恭兵プロは四国放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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