【本の紹介】同じ授業を受けているのに、なぜ成績に差がつく?「考える習慣」が子どもの学力を変える

原田恭兵

原田恭兵

テーマ:書籍紹介

「同じ学校に通い、
同じ授業を受けているのに、
どうしてこんなに成績が違うのだろう?」

「うちの子も勉強しているのに、
なかなか成績が上がらない」

保護者の方から、
このような悩みを聞くことがあります。

勉強時間が足りないのか。

それとも、
もともとの能力に違いがあるのか。

そんな疑問について、
興味深い視点を示しているのが、
石田勝紀さんの著書
『同じ勉強をしていて、なぜ差がつくのか?』です。

この本で特に注目したいのは、
学力の差は、
机に向かっている時間だけで
生まれるわけではない
という考え方です。

著者は、
勉強ができる子は、
授業中や家庭学習の時間だけでなく、
普段の生活の中でも
学んでいると指摘しています。

これは、
単に勉強熱心だという意味では
ありません。

身の回りの出来事に
疑問を持ち、
自分なりに考え、
知っていることと結びつける。

そうした日常の積み重ねが、
学ぶ力を育てていくということです。

今回は、
この本の考え方をもとに、
子どもの学力を伸ばすために
家庭や学習塾で何ができるのかを
考えてみたいと思います。

勉強ができる子は、勉強していない時間にも学んでいる

本書の中心にあるのは、
勉強ができる子と
そうでない子の違いを、
単純な勉強時間だけで
説明しないという視点です。

例えば、
学校で雨が降る仕組みについて
習ったとします。

ある子は、
教科書に書かれている内容を覚え、
テストで正解できるように勉強します。

別の子は、
授業で習ったあと、
曇り空を見て
「今日はどうして雨が降りそうなんだろう?」と
考えるかもしれません。

どちらも授業で学んでいることは同じです。

しかし、
後者の子は、
教科書を閉じたあとも
学んだ知識を使っています。

もちろん、
日常の出来事に
疑問を持つだけで、
必ず成績が上がるわけでは
ありません。

ただ、
習ったことを
自分の生活と結びつける機会が多いほど、
知識を理解し、活用する経験も
増えていきます。

この考え方は、
私たちが
子どもの勉強を見るときにも
大切だと思います。

何時間机に向かったのか。

問題集を何ページ進めたのか。

そうした数字は
分かりやすいものです。

しかし、
本当に注目したいのは、
その時間に
子どもがどれだけ考えていたのか
ということではないでしょうか。

「なぜ?」と考える子と、答えだけを覚える子

本書では、
子どもの考える力を育てるために、
日常の問いかけを大切にしています。

その中でも、
特に分かりやすいのが
「なぜだろう?」という問いです。

例えば、
算数で割合を
勉強しているとします。

公式を覚え、
数字を当てはめれば、
問題を解けることがあります。

しかし、
数字や文章の形が少し変わると、
途端に解けなくなる子もいます。

なぜでしょうか。

一つの理由として、
公式を使う手順は覚えていても、
なぜその計算をするのかまでは
理解できていないことが考えられます。

そんなときに、

「どうしてこの式になると思う?」

と聞いてみる。

すると、
子どもが何を理解していて、
どこでつまずいているのかが
見えてきます。

ここで大切なのは、
すぐに正解を求めないことです。

子どもが間違った説明をしたとしても、
まずはどのように考えたのかを聞いてみる。

そのうえで、
必要な部分を一緒に整理していく。

答えを教えれば、
その問題は
早く終わるかもしれません。

しかし、
子どもが自分で考える機会まで
なくしてしまうと、
次に似た問題が出たとき、
また誰かの説明を待つことになります。

一問を早く終わらせることと、
一問を通して考える力を育てることは、
必ずしも同じではありません。

この違いは、
日々の指導でも
意識したいところです。

「要するに?」という問いが、理解の深さを教えてくれる

本書で紹介されている問いかけの中には、
「要するに?」という言葉もあります。

私は、
この問いは勉強において
特に大切だと考えています。

例えば、
中学生が社会の教科書を
読んでいるとします。

文章を何度も読み、
重要な部分に線を引く。

それだけでも
勉強した気持ちにはなります。

しかし、
教科書を閉じて、

「今読んだところは、要するにどういうこと?」

と聞かれたとき、
自分の言葉で説明できるでしょうか。

説明しようとすると、
意外と難しいものです。

何となく分かっていたつもりでも、
出来事の原因と結果が
整理できていなかったり、
重要な言葉の意味を
理解していなかったりすることが
あります。

反対に、
難しい内容を
自分の言葉で分かりやすく
説明できるなら、
理解が進んでいる
一つの目安になります。

これは数学や理科でも同じです。

「この問題は、要するに何を求めているの?」

「この実験で分かったことは、要するに何?」

と問いかけてみる。

そのとき、
子どもが言葉に詰まったとしても、
責める必要はありません。

むしろ、
説明できないところが
見つかったこと自体が、
次の学習につながる大切な発見です。

勉強とは、
知識を頭の中に入れるだけではなく、
その知識を整理し、
必要なときに取り出せるようにすること
でもあります。

「要するに?」という短い問いは、
その練習に役立つと思います。

親が答えを教えるより、問いかける方が難しい

本書では、
子どもの考える力を引き出すための言葉として、
「どう思う?」「どうしたらいい?」なども
紹介されています。

こうした問いかけは、
言葉だけを見ると
簡単そうに感じます。

しかし、
実際に家庭で続けるのは、
それほど簡単ではありません。

例えば、
子どもが宿題を始めずに
遊んでいるとします。

親としては、

「早く宿題をしなさい!」

と言いたくなるでしょう。

何度言っても動かないと、
つい強い口調になってしまうことも
あります。

そこで、

「今日はいつ宿題をする?」

「遊ぶ時間と宿題の時間を、どう決めようか?」

と聞いてみる。

最初は、
子どもがうまく答えられないかもしれません。

自分で決めた時間を守れないこともあるでしょう。

それでも、
毎回大人が決めるのではなく、
子ども自身が考える機会を
少しずつ増やしていくことには
意味があります。

ただし、
ここで誤解してはいけないのは、
問いかければ、
すべてを子ども任せにしてよいわけではない
ということです。

まだ時間の見通しを立てるのが難しい子には、
選択肢を示すことも必要です。

「夕食の前と後なら、どちらが取り組みやすい?」

と聞くところから始めてもよいと思います。

大人が決める。

大人と一緒に決める。

子どもが自分で決める。

成長に合わせて
少しずつ任せる範囲を
広げていくことが、
自分で考えて行動する習慣に
つながるのではないでしょうか。

未来舎が「自分で考えること」を大切にする理由

未来舎でも、
子どもが自分で考えながら
学習を進めることを
大切にしています。

もちろん、
分からない問題を
そのまま放置するわけではありません。

必要な説明や手助けは行います。

ただし、
子どもが少し考えれば
解けそうな問題まで、
すぐに答えを教えてしまわないように
しています。

なぜなら、
勉強で身につけてほしいのは、
目の前の問題の正解だけでは
ないからです。

例えば、
テスト本番で
初めて見る問題に出会ったとき。

「この問題は習っていないから分からない」

と諦めるのではなく、

「これまでに習ったどの考え方が使えるだろう?」

と考えられるようになってほしい。

そのためには、
普段から自分の頭で考える経験が必要です。

また、
子どもによって、
理解するまでに必要な時間も、
つまずく場所も異なります。

同じ問題を
何度も練習する必要がある子もいれば、
基本を理解したら
応用問題に進める子もいます。

大切なのは、
全員に同じ量の問題を解かせることではなく、
それぞれの理解度に合わせて
学習を進めることです。

そして、
できなかった問題が
自分の力で解けるようになったとき、
その変化を子ども自身が
実感できるようにする。

「教えてもらえばできる」から
「自分で考えてできる」へ。

この積み重ねが、
子どもの自信にも
つながっていくと考えています。

子どもの学力を伸ばすために、今日からできること

今回紹介した本の考え方を、
家庭ですべて実践しようとする必要は
ありません。

まずは、
一日一回でも、
子どもが自分の考えを話せる機会を
作ってみてはいかがでしょうか。

学校で習ったことについて、

「今日は何を勉強したの?」

と聞くだけでなく、

「それって、要するにどういうこと?」

と聞いてみる。

子どもが
何かに疑問を持ったときには、
すぐに答えを教えるのではなく、

「どうしてだと思う?」

と一緒に考えてみる。

また、子どもが間違えたときには、

「どうして間違えたの?」

と責めるのではなく、

「どこまで分かっていた?」

と確認してみる。

こうした小さなやり取りを重ねることで、
子どもが自分の考えを
言葉にする機会は増えていきます。

ただし、
子どもが疲れているときや、
話したくないときにまで
無理に問いかける必要はありません。

考えることが苦痛になってしまっては、
本来の目的から離れてしまいます。

大切なのは、
正しい答えをすぐに出させることではなく、
考えることそのものを大切にする姿勢です。

勉強時間を増やすことも、
問題集を進めることも、
もちろん必要です。

しかし、
それと同じくらい、
子どもがどのように考えながら
学んでいるのかにも
目を向けたいものです。

『同じ勉強をしていて、なぜ差がつくのか?』は、
学力の違いを
勉強時間や能力だけで捉えず、
日常の思考習慣から考えるきっかけになる
一冊です。

子どもの成績が伸び悩んでいるときこそ、
勉強量を増やす前に、
普段の学び方を見直してみる。

そんな視点を持つことも大切ではないでしょうか。

---

【今回紹介した本】


『同じ勉強をしていて、なぜ差がつくのか?』

著者:石田勝紀

出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン

2020年刊行。
2024年に携書版も発売されています。

本の詳細を見る

---

徳島県板野町の学習塾「未来舎」では、
小学生・中学生が自分で
考えながら学習を進めることを
大切にしています。

勉強しているのに成績が上がらない、
自分から勉強する習慣が身につかないなど、
学習についてお悩みの方は、
お気軽にご相談ください。

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原田恭兵
専門家

原田恭兵(塾講師)

学童塾 (株)未来舎

子ども達一人一人をよく見ること、いいところがあったらすぐ褒めること、コミュニケーションをしっかり取ることを重視しています。だからこそ、それぞれの伸ばすべき個性を生かし、人間力と学力を育みます。

原田恭兵プロは四国放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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