自分だけの当たり前
「最近、何を話しても返事をしてくれません。」
「勉強の話をすると、すぐに機嫌が悪くなります。」
「前は何でも話してくれたのに、今は部屋にこもることが増えました。」
保護者面談では、このようなご相談をいただくことがあります。
特に中学生になると、お子さんとの関わり方に悩む保護者の方は少なくありません。
小学生の頃は素直に聞いていた言葉にも反発する。
こちらが心配して声をかけているのに、
「分かってる。」
「うるさい。」
と言われる。
親としては、
「どうして急にこんなに変わったのだろう。」
と戸惑うのも当然です。
しかし、私は反抗期そのものを悪いものだとは考えていません。
もちろん、暴言や暴力、
家庭のルールを守らないことまで認めてよいという意味ではありません。
ただ、思春期に親と意見がぶつかったり、
自分の考えを強く主張したりすることは、
子どもが大人へ近づいていく過程で起こる大切な変化でもあります。
だからこそ、「反抗している」という表面だけを見るのではなく、
その奥にある子どもの成長を見てほしいと思います。
思春期は「親から離れたい」のではなく「自分で決めたい」時期
小学生の頃、子どもにとって親は「正しいことを知っている人」でした。
何を着るのか。
何時に寝るのか。
どこへ行くのか。
何を勉強するのか。
多くのことを保護者が決めても、それほど疑問を持ちません。
ところが中学生になると、自分なりの考えがはっきりしてきます。
「今日はこれをしたい。」
「自分はそう思わない。」
「自分で決めたい。」
という気持ちが強くなります。
保護者からすると、
「今まで素直だったのに。」
と感じるかもしれません。
しかし、これは単に親の言うことを聞かなくなったわけではありません。
子どもの中に、
「自分の人生を自分で動かしてみたい」
という気持ちが育ってきたということでもあります。
これはとても大切な成長です。
もし大人になっても、すべてを親に決めてもらわなければ動けないとしたら、
それはそれで心配です。
進学先も。
仕事も。
人間関係も。
最終的には、自分で考え、自分で選び、
その結果を引き受けていかなければなりません。
その練習が始まるのが、思春期なのだと思います。
だからこそ、親子で意見がぶつかること自体を、
すぐに「悪いこと」と決めつける必要はありません。
問題なのは、意見が違うことではなく、
違う意見をどう扱うかです。
親の考えを押し通すだけでもいけない。
かといって、何でも子どもの言う通りにする必要もない。
「私はこう思う。」
「あなたはどう思う?」
と、少しずつ対話できる関係に変えていくことが大切です。
「親が勝つ」より「話せる関係を残す」ことの方が大切
反抗期の子どもと話していると、ついこちらも感情的になります。
「そんな言い方するならもう知らない。」
「誰のおかげで生活できていると思ってるの。」
そう言いたくなることもあるでしょう。
保護者も人間ですから、毎回冷静でいることはできません。
ただ、ここで一つ考えてほしいことがあります。
親子の言い合いに勝ったとして、その後に何が残るでしょうか。
子どもが黙った。
親の言う通りにした。
それだけを見ると、親が勝ったように見えるかもしれません。
でも、子どもの中に、
「何を言っても否定される。」
「話すだけ無駄。」
という気持ちが残ってしまえば、次から何も話さなくなることがあります。
思春期の子どもにとって本当に大切なのは、
困ったときに、最後は親へ相談できることです。
学校で嫌なことがあったとき。
友人関係で悩んだとき。
進路で迷ったとき。
失敗したとき。
「怒られるかもしれないけど、話してみよう。」
と思える関係が残っていることは、とても大きな支えになります。
そのためには、普段の会話で、
「そう思ったんだね。」
と一度受け止めることが大切です。
受け止めることと、賛成することは違います。
例えば、
「もう塾に行きたくない。」
と言われたとき、
すぐに、
「そんなこと言ってたら受験に落ちるよ。」
と返すのではなく、
「どうして行きたくないと思ったの?」
と聞く。
疲れているのか。
授業が分からないのか。
友達との関係なのか。
単に面倒なのか。
理由が分からなければ、正しい対応もできません。
子どもの言葉の奥に何があるのかを知ろうとすること。
それが対話の第一歩です。
「放っておく」と「任せる」はまったく違う
思春期の子どもに対して、
「もう中学生なんだから好きにさせよう。」
と考える保護者もいます。
一方で、
「まだ子どもだから全部管理しないと。」
と考える方もいます。
私は、どちらか一方ではないと思っています。
大切なのは、少しずつ任せながら、必要なところでは支えることです。
例えば勉強。
小学生の頃は、
「宿題した?」
と毎日確認していたかもしれません。
中学生になっても同じように、
「今日は何ページやったの?」
「ワーク見せて。」
と細かく管理し続けると、子どもは自分で考える必要がなくなります。
反対に、
「もう知らない。自分でやって。」
と完全に放っておくと、まだ自己管理が十分にできない子は困ってしまいます。
そこで、
「今週はどうやって勉強する予定?」
と聞いてみる。
本人に計画を立ててもらう。
数日後に、
「うまくいってる?」
と確認する。
うまくいかなかったら、
「次はどうしたらいいと思う?」
と一緒に考える。
この関わり方なら、保護者がすべて決めるのではなく、
子ども自身が考える機会を持てます。
失敗することもあるでしょう。
予定通り勉強しないこともあります。
でも、その失敗から、
「このやり方ではダメだった。」
と学ぶことも、自立には必要です。
子どもが自分でできることまで親が奪わない。
でも、本当に困ったときには手を差し伸べる。
思春期の関わり方で難しいのは、この距離感なのだと思います。
反抗していても、子どもは親の姿をよく見ている
思春期になると、親の言葉を素直に聞かなくなります。
だから、
「何を言っても無駄。」
と感じることもあるでしょう。
でも、子どもは親の話を聞いていないようで、
実は親の姿をよく見ています。
親が約束を守っているか。
失敗したときに人のせいにしていないか。
人に対してどんな言葉を使っているか。
自分が間違えたときに謝れるか。
こうした姿勢は、言葉以上に子どもへ伝わります。
例えば親が、
「ちゃんと人の話を聞きなさい。」
と言いながら、子どもの話を途中で遮っていたらどうでしょう。
「約束は守りなさい。」
と言いながら、親自身が約束を簡単に破っていたらどうでしょう。
子どもは、言葉と行動の違いをよく見ています。
思春期になるほど、その矛盾に敏感になります。
だからこそ、この時期は「何を言うか」だけでなく、
自分はどんな姿を見せているかも大切です。
親も完璧である必要はありません。
間違えたら、
「さっきは言いすぎた。ごめん。」
と伝えていいと思います。
親が謝る姿を見ることで、
「間違えたときは謝ればいい。」
ということを子どもは学びます。
教育は、言葉だけでするものではありません。
日々の姿そのものが、子どもへのメッセージになっています。
思春期は「親子関係を作り直す時期」
小学生の頃は、
親が教える。
子どもが聞く。
という関係が中心だったかもしれません。
でも中学生になると、その関係は少しずつ変わっていきます。
これから必要になるのは、
「親だから言うことを聞きなさい。」
という関係ではなく、
お互いの考えを伝え、必要なときに相談できる関係です。
これは、すぐに完成するものではありません。
何度もぶつかります。
言いすぎることもあります。
子どもに無視されることもあるでしょう。
それでも、
「話を聞く。」
「必要以上に否定しない。」
「ルールは理由を伝えて決める。」
「任せられることは任せる。」
こうした関わりを少しずつ積み重ねていく。
それが、将来の親子関係を作っていくのだと思います。
未来舎でも、思春期の子どもたちに対して、
頭ごなしに「こうしなさい」と言うのではなく、
「どう考えている?」
と聞くことを大切にしています。
もちろん、すべて子どもの意見を通すわけではありません。
必要なことは伝えます。
でも、一人の人として話を聞く。
その姿勢が、子どもとの信頼関係につながると考えています。
思春期は、保護者にとっても子どもにとっても難しい時期です。
でも、それは親子の関係が壊れていく時期ではありません。
**子どもが「親に守られる存在」から、
「自分で人生を歩いていく一人の人」へ近づいていく時期です。**
だからこそ、保護者の関わり方も少しずつ変えていかなければなりません。
親がすべて決める関係から、
困ったときに相談できる関係へ。
思春期は、親子の関係を新しい形に作り直す大切な時間なのだと思います。
徳島県でお子さんの学習や思春期の関わり方、
高校受験などについてお悩みの方は、未来舎のホームページもぜひご覧ください。
未来舎では、学力だけではなく、子どもたち一人ひとりが自分で考え、
自立していく過程にも寄り添う教育を大切にしています。
▼未来舎ホームページはこちら
https://www.miraisha1994.info/


