「別れたい」の言葉に潜む「別れない理由探し」・・・夫婦の話

飯塚和美

飯塚和美

テーマ:カウンセリング

「もう、妻とは別れようと思います。別れたいんです」そんな言葉から始まったカウンセリングですが、1時間後には「せっかく一緒になったのだからもう少し努力してみようと思います」という言葉に変わります。これは結構多いパターンです。

自分の気持ちにフォーカスして、素直に気持ちを見つめると「本当は別れたくない自分の心」が見えてきます。私の所へ来たのも、心の底では「別れる踏ん切りをつけたかった」のではなく、「別れない理由」が欲しかったのだと分かります。

自分は努力していると思っていた夫婦生活も、本当は一方的な思い込みが多く、肝心な心は伝わっていない場合もよくあります。いつも強気なご主人でも、本当は奥様に嫌われて離婚されるのが怖い弱みを持っていたりします。それをごまかして、怒ったり怒鳴ったり・・・不器用な表現しか出来ない人も多いのです。

これは奥様側も同様です。「別れたい、別れた方が楽になる」などと言いながら、本当に相手が別れると言うと、ものすごくショックを受けて慌ててしまいます。

私はよく、カウンセリング中に「一番大切なものは何ですか?」と尋ねます。一番大切な物、失いたくない物が分からず、どうでもいい事にこだわって行動していると、大切なものを失います。その時どんなに後悔しても取り返しはつきません。だからこそ自分の本当の心の中の優先順位を知る事は大切なのです。

優先順位が決まれば、それを守るための行動も選べます。例えば奥様を失いたくない事が1番ならば、愛情があることを示す、そして自分の意見も伝わる言い方に変えて伝える工夫をします。「分かってくれない、分かって欲しい」とばかり一方的に言ったところで、相手に聞く準備と、相手に分かる言い方でなければ意味がありません。

相手に変わって欲しいと思うのなら、自分も伝え方を変えなければなりません。だって今までさんざん訴えたつもりになっていても相手に伝わっていなかったという事は、その言い方は相手に分かり辛かったという事になるからです。性格を変える必要はありませんが、言い方、態度は変えないと相手を変えることは難しいのです。

夫婦の問題は結構厄介で、他の人には簡単に言える事も、肝心なパートナーにはなかなか素直に言えません。
でも、本当に大切なものならば、変なプライドより、一番大切な人を失わない事を第一に考えましょう。

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飯塚和美
専門家

飯塚和美(心理カウンセラー)

カウンセリングルーム『大空』

電話相談含め8,000千人のカウンセリング実績。幼い頃からしみついた考え方の癖や枠を取り除き、生きづらさを解消します。リピーターが多く講座を含め日常で壁にぶつかると訪れたくなる、親しみやすさが好評

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