パソコンがおそいのは当たり前?ハイテクなのに我慢や辛抱とかはやめましょう
4月に入りましたが、止まらない値上げにトランプ関税も加わって私たちを取り巻く経済状況が大きく変わろうとしています。自動車などの大手企業だけでなく、日本全体に影響が及ぶものと懸念されています。私たちのような小規模事業者や一般庶民はどのように対処したらいいのでしょうか?そこで今回は、私たちのような庶民にも可能なITでできる経済対策を取り上げてみたいと思います。
不当の主張の裏に隠れている米国ITの経済的優位性
アメリカのトランプ大統領は先日、「トヨタは100万台米国で販売する一方GMやフォードはほとんど販売してない。米国の企業は他国で排除されている」と主張したことが報道されました。
確かに2024年のアメリカの対日自動車貿易赤字は、8.3兆円と予測されています。※Gemini Deep Research調べ
この数字をもって「貿易の不均衡」を主張してはいますが、今、アメリカと日本、いや、アメリカと世界の間には実は見えない大きな不均衡が存在しています。それは「対米デジタル貿易赤字」です。
--引用--
「2024年のデジタル赤字は6.6兆円 ITサービスの支払額が3割増」
2030年に赤字幅が10兆円に到達するとの予測も
財務省が2025年2月10日に発表した2024年の国際収支状況(速報)によると、デジタルに関連したサービス項目の海外支払額から受取額を引いた「デジタル赤字」は6兆6507億円と過去最高を更新した。前年比の伸び率は20.5%に達し、2020年以降で最も大きかった。
日経クロステック 2025.03.06
アメリカは日本の自動車輸出による貿易赤字を問題視していますが、一方で日本のデジタル分野における対米赤字は急速に拡大していて、記事にあるように2024年時点で6.6兆円に達しています。前年比の伸び率がこのまま続けば、数年で日本の対米貿易赤字は全体で逆転する可能性があるでしょう。ですから、自動車の貿易赤字をもって「貿易の不均衡」との主張はとても公平とは言えません。
さらに重要なのは、利益率と資本回収率の違いです。IT企業の営業利益率、資本回収率はどちらも自動車より何倍も高く有利なのです。
問題はこれだけではありません。GAFAMをはじめとする米国IT企業は、日本の膨大なユーザーデータを収集・活用し、それを資本としてさらなる成長を遂げています。時価総額が合計で数千兆円規模に達するというこれらの企業が持つデータの価値は、自国の自動車産業で発生していると主張する貿易赤字をはるかに上回る規模であり、その経済的価値は計り知れません。そして、一度市場を支配すれば、OSやクラウドのロックイン効果によってユーザーの自由は制限され、競争環境が固定化されていきます。
自動車貿易の不均衡を問題視するならば、IT市場の独占やデータの潜在的な価値こそもっと着目されるべきです。日本政府は、EUで進められているデジタル課税(DST)や独占禁止法の強化に倣い、米国IT企業の市場支配と収集データの利用に対して、ベネフィットを享受できるような政策を早急に検討すべき時期に来ているといえます。自動車とバーターすることも一つの方法です。
ITによって搾取されている今の状況を少しでも変えるにはどうしたらいいのでしょうか?ただでさえ物価高騰、人材不足などで経済状況の先が見えない中、私たちが取れる対策は限られています。庶民が経済的に少しでも負担を軽くする方法がないのか、微力ながらその対処法を探ってみました。
オープンソースソフトウェアの利用
プロプライエタリソフトウェアとは
私たちが日常的に使用するWindowsやMicrosoft Officeなどのソフトウェアは、「プロプライエタリソフトウェア」と呼ばれる有償のソフトウェアです。これは、特定の企業や個人が所有し、独占的に管理・販売するもので、利用にはライセンスが必要となります。
プロプライエタリソフトウェアのメリット
プロプライエタリソフトウェアは、広く普及しているため互換性が高く、さまざまな環境で問題なく利用できます。また、メーカーによる公式サポートが受けられる点も大きな利点です。
オープンソースソフトウェアとは?
これに対して、「オープンソースソフトウェア(OSS)」があります。OSSの最大の特長は、ソースコードが一般に公開されており、誰でも自由に使用・改変・再配布できる点です。さらに、無償で利用できるため、コストを大幅に削減できます。加えて、セキュリティ面でもメリットがあり、多くの開発者がコードを検証することで脆弱性の修正が迅速に行われるため、安全性が高いとされています。
OSSは、よくある有象無象の「無料のソフト」とは異なり、GNU一般公衆ライセンス(GNU GPL)などの厳格なライセンス規定に基づいて保護されています。
それぞれのデメリット
プロプライエタリソフトウェアの主なデメリットは、有償であることに加え、ライセンスの制約により自由に改変や再配布ができない点です。また、ソフトウェアの所有企業の方針や市場の動向によって、ユーザーが大きな影響を受ける可能性があります。例えば、市場で広く普及することで互換性が高まりますが、他のソフトウェアへ移行しにくくなるという逆効果にもなることがあります。このようにプロプライエタリソフトは選択の自由度が制限されることがあります。
一方、オープンソースソフトウェアのデメリットとしては、公式サポートがない場合が多く、問題が発生した際には自力で解決するか、コミュニティのサポートを頼る必要があります。しかし、これさえクリアできれば、OSSの経済的メリットはプロプライエタリソフトウェアを大きく上回ることがあります。
オープンソースソフトウェアを積極的に取り入れ、コスト削減や運用の自由度を実現することで混迷する経済状況を何とか乗り越えましょう。
代替可能なオープンソースソフトウェア
早速、どのようなソフトウェアが代替可能か比べてみることにします。
OS(オペレーティングシステム)
WindowsのようなOSに替わるOSはあるのでしょうか?実はあります!!聞いたことがあるかもしれませんが、「Linux(リナックス)」です。
Windows10のサポート終了が今年の10月に迫っています。乗り換えるにはまさにグッドタイミングです。特にWindows11に非対応だけど問題なく動いているパソコンを有効活用できるようになりますので経済的メリットは大きいでしょう。
Linuxについて私のホームページで詳しく解説していますのでご参照ください。
「WindowsからLinuxへ」
http://www.kumin.ne.jp/kiw/linuxplan2.html
具体的には「Ubuntu」「LinuxMint」「LMDE」などがWindowsからの移行には適しているでしょう。
LinuxMintの特徴
http://linuxmint-jp.net/feature.html
Officeソフト
Micorosoft Officeは年々価格が高騰していて、現在では買い切りのOffice Home&Businessで4万円近くします。オープンソースソフトウェアでMicrosoft Officeのような表計算やワープロ、プレゼンテーションソフトはさすがに無償ではないでしょう?と思うかもしれませんが「LibreOffice」があります。
LibreOfficeはMicorosoft Officeとの互換性が高く、様々な国、公共団体などで利用されています。PDF変換、作成なども可能です。
LibreOfficeについてはこちらのコラムを参照してください。
「買ったパソコンにワード、エクセルがない!そんな時は安全無料の「LibreOffice」が代わりになります」
https://mbp-japan.com/saga/pc-pro/column/4007150/
そのほか以下のようなオープンソースソフトウェアがあります。
●画像編集
Inkscape(Windows ストアアプリ版)
https://apps.microsoft.com/detail/9pd9bhglfc7h?hl=ja-JP&gl=JP
GIMP
https://www.gimp.org/
●動画編集ソフト
OpenShot Video Editor
参考記事:「ムービーメーカー代替のフリーソフトはOpenShotが最適」
https://mbp-japan.com/saga/pc-pro/column/4011792/#h2-6
●音声・音楽編集
Audacity
https://www.audacityteam.org/
●メールソフト
Thunderbird
https://www.thunderbird.net/ja/
このようにさまざまなオープンソースソフトウェアが存在しています。一般の業務や家庭などで必要とする多くの作業は、高価なソフトウェアを使わなくてもオープンソースで十分にこなせる場合があります。活用することで経済的な負担を軽減できます。「みんなが使っているから」や「高いソフトウェアを買えばそれなりの効果があるだろう」といった考え方は、あまりにも安易です。何事も適材適所。「帯に短したすきに長し」です。



