ChatGPTとMicrosoft「Bing AI」Google「Bard」それぞれのAIを早速比較してみた

古賀竜一

古賀竜一

テーマ:ITテクノロジー、イノベーション

OpenAI、Microsoft、Googleが相次いでAIを日本語に正式対応としました。また、カスタマイズ機能も追加されています。Bardがリリースされてから約半年が経過しましたので、再度ChatGPT、Microsoftの「Bing AI」Googleの「Bard」を比較してみたいと思います。ChatGPT、Bing AI、Bardは、それぞれに長所と短所があります。使ってみた感想、違い、また適した使い方などについてそれぞれ評価してみたいと思います。

ChatGPT

まず、ChatGPTから見ていきましょう。ChatGPTは、OpenAIが提供するチャットボットです。



ChatGPTですが何と言っても非常に人間の会話に近く、様々な表現が可能な点が特徴です。いかにも翻訳ソフトから出力されたような"ぎこちない"文章はほとんどありません。また、構文も人が読んで受け入れやすい文章で非常に好感が持てるようになっています。

長所としては、なめらかな会話と文章の作成能力が優れている点です。言葉を引数としているため、ちゃんとした内容で質問をすれば相当な精度で質問に対する適切な回答結果を得ることができます。最近追加された機能としてカスタマイズ機能があります。ユーザーの利用状況に応じて回答を最適化させるためにユーザー自身が設定可能な「カスタム指示」が追加されました。

これまでは特に指示しない場合、世界の情報を中心に回答されるため国内の情報が欲しい場合は「日本では」などを前置きしなければなりませんでした。カスタム設定で指示しておけばその必要もありません。また、ユーザーの職種や興味などに応じて回答が最適化されるように指示することが可能となって、より親和性が高まりました。

短所としては、内容によって検索サイトのような正確性を得られない点です。ChatGPTは時々誤った情報を生成するようです。特に最新の情報には対応していません。質問に対する回答自体は質問内容をよく理解しており、まったく関係のない内容を返すような破綻を招くことはありません。ですが、だからといって内容に間違いがないわけではなく、うっかり信じてしまうと間違いに気が付かない場合があります。ですから、回答の利用の際には検証が不可欠です。

また、GPT-3.5版では最近負荷が高いのか回答が遅かったり途中で途切れたりするようです。

それから、注意したい点として回答の構文には文の構造や接続詞などにChatGPT特有の「癖」がある点です。回答をそのまま流用してしまうと明らかにChatGPTで作成したとわかってしまう場合があります。ですから、回答の丸写しには注意が必要です。

適した使い方としては、書類の作成や記事の作成、文章のカスタマイズ、プログラムのコードを拾うことなどに非常に役立つでしょう。探すのが大変なLinuxの設定コマンドも言葉だけで表示してくれます。

Bing AI

次にBing AIは、Microsoftが提供する言語モデルチャットボットです。



特徴としてはWeb情報にアクセスして最新情報から抽出することができる点です。ChatGPTよりも正確な情報が得られる場合があります。

長所としては、回答の元ネタを複数のURLで表示し、それに直接アクセスが可能な点です。複数のサイトから回答を構築しているので確度が高くなります。また質問に関連した画像などを表示してくれたりするようです。

短所としては回答の表示に時間がかかることです。また、回答文はスムーズな文章とはならず、切り貼りしたような感じの文章です。検索エンジンの発展型のようなもので、会話をするというような感じではないところがあります。これは今後の改良に期待したい部分です。

適した使い方としては、ネット検索を効率的に行いたい時やネタ元を知りたい、できるだけ正確な情報が必要な場合などに向いています。

Bard

続いてBardは、Google AIが提供するチャットボットです。



最大の特徴としては、最新のデータについても回答が得られるという点です。そこはやはり検索最大手のGoogleの強みといっても良いでしょう。Bing AIのようにネタ元がURLでソースとして表示される場合もありますが、すべての回答に表示されるわけではないようです。ですから確度の検証は必要でしょう。(「Googleで検索」ボタンが設けられWeb情報へ直接参照することが可能です。)「回答案を再生成」ボタンを押すと確度が上がるような傾向にあります。正確さについては今後改良されていくと思います。

長所としては、まず回答の速さです。他のAIよりも圧倒的に応答が早いです。また、「他の回答案を表示」ボタンを押すと他の回答案が3つ同時に表示される点が特筆です。それぞれに多少視点を変えた回答になっているため比較して自分に合った、またはより詳細な回答を選択できるので非常に安心感があります。

また、データを抽出する能力が高く、例えば「○○年のメーカー別の自動車生産台数を教えて」などの質問をすると表データとして一発で得られます。

短所としては、日本語の構文がChatGPTほどスムーズではない点が挙げられます。チャットを進めるうちに前データを誤参照することもあります。いづれこの点は改良が進むものと思われます。また、正確さについてもひどい間違いをすることがあるので今後の改良に期待したいところです。

適した使い方としては、最新のデータを入手して様々な用途に使用できるほか、検索で一般にはすぐに探し出せない、入手できないようなデータが取得できる点は非常に有用です。

以上、それぞれに得手不得手や特徴があるので用途に応じた使い分けをすることで相乗効果はすさまじくなると思います。

それぞれどんな用途に向くのか

文章を扱うことが多く、クリエイティブな作業も行うという場合はChatGPTが最適でしょう。例えば、文章の要約やカスタマイズ、レポートや記事の作成など。また、クリエイティブな質問にも対応可能で、人間の大学教授や専門家に一蹴されそうな質問でも「興味深い」といって否定することなく回答します。創造的な会話が可能でブレインストーミングに役立ちます。

ネット検索を効率化したいという場合はBing AIが適していると思われます。直接ネタ元にアクセスできる点は安心です。候補も複数表示されるのでその場で比較検討が可能です。

Web上のデータを活用したりWeb情報を深堀したい場合にはBardが適していると言えるでしょう。検索では探すのに大変な内容でもピンポイントで回答を得られます。質問だけでデータ表を取得することも可能です。ネット検索で詳しく調べることになると様々なページを訪れることになりますが、その際に余計なトラッキングやスクリプトなどでブラウザを汚されることがあります。それがなくなるだけでも有用です。

以上、始まったばかりのAIですが今後改良などが加えられてより使いやすく高度になっていくのは間違いないでしょう。今のところ用途に応じた使い分けが適していますので、自分に合ったものを探す意味でもそれぞれを比較してみることをお勧めします。

また、複合した利用法としてそれぞれに同じ質問を投げかけてみて、確度の検証や最適な回答取得を行うといったことも可能です。質問の内容によって使い分けたり、複合させたりすることでより最適な回答が得られます。

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古賀竜一(システムエンジニア)

九州インターワークス

ITのユーザーサポートの現場で実際に問題を解決しながら、ITの最新の状況とその問題点を追及している専門家です。多様で複雑になってきたITのことをユーザーにわかりやすく丁寧にお伝えします。

古賀竜一プロは九州朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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