小規模事業所の社内IT環境と意識の改善で業務効率アップ!それは管理者・経営者次第

古賀竜一

古賀竜一

テーマ:専門家からの提言と考察

管理者不在の劣悪なIT環境

●ITについて正しく理解している事業所は、コストをかけるところと落とすところをちゃんとわかっています。セキュリティーに対しても理解度が高く、健全な運営が行われています。

●ところが、端末環境やネットワーク環境などITのインフラ部分に対して異様なまでにディスカウントを試みる事業所があります。そういうことをすれば、結局あとからそのひずみが出てきて余計にコストと貴重な時間、それに顧客の信頼も失うことになります。そのため結果的に劣悪な環境から離脱できずに非効率な状況がループ状態になってるところもあります。

●どんなに優秀なアプリケーションソフト、プログラム、便利なWebサービス、高性能なデバイスの導入などを行ってもそれらを使用する人のリテラシーや管理環境が整っていなければ効率は上がりません。結局、目指したであろう効率アップは図られることはありません。当然かけた経費分の費用対効果も上がりません。効率アップを見込んだはずの投資に対し回収は遅れる一方となります。

●一度、ネットワークやシステムを導入し、その後保守契約が満了して特に問題が出ていなければ、多くはその後も継続使用されることになります。ところがその際に保守契約も終了するとと同時に管理責任者も不在となってしまうことは珍しくありません。

●いったん保守管理が途絶えるとそれまで来ていたシステム会社の担当者は来なくなります。本来なら社員が引き継ぎをするなどしてその後の管理を継続するのが当たり前です。しかし、ITに対しての意識がないと何か問題が起きるまでそのまま放置状態になってしまっている事業所は多いものです。

●そのような船頭さんがいなくなったIT環境は保守・改善がされることなく、時間とともに劣悪化していく一方です。何かトラブルが起きるたびにその場しのぎの対応で持ちこたえている・・というところもあります。これではセキュリティーリスクも高まります。


●このように劣悪な環境では働く人と管理者の間でIT環境への考え方、アプローチがすれ違い、非効率的な環境を自らが作り出していることもあります。
たとえば

○ハード的に古い、遅い端末とネットワーク環境
〇古いOS混在と古いMS Officeなどのビジネスアプリケーション環境、特にサポート終了のOSやアプリがそのままの状態で運用。
〇メールやOSをはじめWebサービスのパスワードなどアカウント管理が不明、ルーターやデバイスのログイン情報も不明といった致命的な状況のIT環境。
〇全台数のOSインストールドライブがネットワーク上でフル共有された事業所。
〇バージョン管理なしでアクセス管理も出来ていない、いつの間にかファイルがたびたび消失する危険なファイルサーバーとネットワーク環境。
〇社内で一番利用負荷が高く、経理など重要な用途のメインPCが現場用途のファイルサーバとして全端末とフル共有。
〇配線はどれが何の配線か不明。たびたびブレーカが落ちる事務所。UPSはない。
〇端末ごとに違うセキュリティー対策ソフト、しかも古いバージョン。
〇バックアップは思い出した時。USBの外付けHDDを持ち回り。
〇近くのリサイクル屋またはオークションで買ってくる怪しげな追加PC・・・
〇社員が事業所と自宅間でパソコンを持ち回り。


などなど・・社員も普段からこういった状況がどうにかならないのかと思っている人もいます。しかし、「あまり環境の向上を訴えると不平不満と思われそう」ということで我慢しているかもしれません。

社内でコンセンサス形成がされず問題だらけに

●経営側または管理側で「問題があるなら現場から何か言ってくるはずだ。何も言ってこないということはきっとうまくやっているのだ」と、双方ですれ違いになってることも。

●そのような場合、ITマネジメントとしては双方に正しく状況と現状を伝えて、状況の分析と改善点、メリットを提示し意思疎通が図られるように促します。しかし、経営者側から必ず出てくるのがコスト面についての話です。

●費用対効果が見える形で現れないような部分は頭からカットしようとします。しかし、潜在的な効果ということも重要な部分です。それを理解できない場合は改善に向けた計画はなかなか進展しません。

●一番最悪なのは、経営者がITは自宅へ返って家で学ぶもの・・とかIT教育に使う時間とお金があるほどうちは暇じゃない・・または、見積や請求、日報、管理表など社内の書類がいまだに手書きという事業所です。もうそれは今時事業を営んでいるとは言えませんね。

●会社が一体となってITについて理解を深めて、IT環境を改善し創意工夫をしていくことが小規模事業所でも必要です。これからはシステム屋さんに丸投げするのではなく、ある程度社内で対応しITへの理解を深めることでT化の促進にもなって、一石二鳥の効果が期待できます。

●社員も経営側も社内ITへのかかわりを本業の妨げと捉えるのは、これからの時代を考えると遅れた考え方ではないでしょうか?

●今や、地方の中小零細企業の中には大型通販サイトなどに頼ることなく、独自で通販を行い社内で管理運用に成功しているところも数多く出てきました。

●事業所のIT環境をもう一度見直して社員と経営者が一体となってITを駆使していく姿こそ、これからの日本の中小零細企業が生き残る道となると思います。

筆者実績 http://www.kumin.ne.jp/kiw/index.htm#ss

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専門家

古賀竜一(システムエンジニア)

九州インターワークス

ITのユーザーサポートの現場で実際に問題を解決しながら、ITの最新の状況とその問題点を追及している専門家です。多様で複雑になってきたITのことをユーザーにわかりやすく丁寧にお伝えします。

古賀竜一プロは九州朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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