「大阪ハリストス正教会」:木造ビザンチン様式
「文化審議会」は、明治時代に建築された現存する最古の刑務所「旧奈良監獄」(奈良市)や、洋式農場の先駆けとなった「小岩井農場」(岩手県雫石町)の施設など、9件65棟の建造物を「重要文化財」に指定するよう答申しました。
答申通り告示されると、建造物の「重要文化財」は2465件(うち国宝223件)になります。
「旧奈良監獄」は扇形に並ぶ赤れんが造りの監房やアーチ型の入り口が特色で、1908年(明治41年)に完成しました。
明治の五大監獄(千葉、長崎、鹿児島、金沢、奈良)の中で唯一当時の姿をとどめ、現在、「奈良少年刑務所」として使われていますが、今年度末で閉鎖される予定です。
今後、「PFI(民間資金を活用した社会資本整備)法」に基づき、土地や建物を保有したまま運営権を民間に売却し、ホテルを軸に再活用が検討される模様です。
「PFI」により改修が見込まれる文化財を「重要文化財」に指定するのは初めてです。
「旧奈良監獄」は、明治政府による第一期監獄改築計画の一つとして計画され、設計は司法省営繕課長の「山下啓次郎」といわれ、 明治41年に完成しています。
敷地中央に建つ中央看守所及び事務所を中心として5棟の舎房を扇形に並べるほか、敷地内には附属工場や拘置監など一連の施設が良好に保存されています。
中核となる建物群は、ロマネスクを基調とした煉瓦壁の外観で統一され、左右対称の整然とした計画の配置で、意匠的にも優れています。
明治政府が、刑事施設の国際標準化を目指して計画した監獄の希少な遺構として歴史的に高い評価を受けています。
(讀賣新聞16.10.22抜粋)
タウ・プロジェクトマネジメンツ一級建築士事務所